「謝れ」絶叫妻と家出娘と10円ハゲの父

「謝れ」絶叫妻と家出娘と10円ハゲの父

  • PRESIDENT Online
  • 更新日:2017/09/15
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恋愛、結婚、離婚、再婚、婚活、浮気、不倫……。世は変われども、男と女のいさかいが尽きることはありません。行政書士で男女問題研究家の露木幸彦氏のもとには、そんな泥沼状態を抜け出そうと、毎日多くの相談者がやってきます。その痛切なトラブルエピソードを、ぜひ他山の石としてもらえればと思います。

第2回のテーマは、「ある年収1000万円世帯」を襲った母娘不和による悲劇。お金では処理しきれない話です。前後編の後編をお届けします。

前編のあらすじ:家事の一切を娘に押し付け、夜遊びを繰り返す妻。そんな母親のヒステリックな言動により、クラスのリーダー的存在だった娘は不登校になり、心療内科に通わざるえない状況となった。そして、母親からの”暴言”をきっかけに家出。妻(母)から娘を守るために、父親が取った行動とは――。

大事な娘が失踪――10円ハゲができた父親はLINEを送った

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写真はイメージです

「家事を私に押し付けてきて、もう我慢の限界! 昼も夜も家にいないのは母親じゃない! もうママとは一緒にいたくない!」

そう吐き捨てた高校3年の長女(以下、娘)は顔を真っ赤にして部屋を飛び出し、そのまま帰ってこなくなりました。家出から3日。心配のあまり胃痙攣を起こし、頭髪には10円ハゲができた父親の達也さんは私は相談にやってきました。概要を聞いた私はこう助言しました。

「家出の件について娘さんを責めないほうがいいですし、家に帰れと強く促すのはかえって逆効果です。現在の心境を推し量った上で、まずは娘さんの気持ちに寄り添うような文面をLINEで送ることはできませんか」

<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)>
夫:梶浦達也(52歳)→会社員(年収900万円)☆今回の相談者
妻:梶浦智子(51歳)→パートタイマー(年収80万円)
長女:梶浦茜(18歳)→高校生
長男:梶浦暁(14歳)→中学生

▼推敲に推敲を重ねたLINEの文面

達也さんは推敲に推敲を重ねた末、神に祈るような気持ちで次のようなLINEを送りました。

「テストの前日にライブに行ったことを悔やんでいるよね。(それを咎めた)ママにも『悪いことをしてしまった』と内心思っているから、どんな顔をして家に戻ったらいいか悩んでいるんじゃないかな。(母に相談せず進路として決めた)専門学校のことはパパも悪いから一緒に謝るよ」

しばらくしてLINEが「既読」に切り替わり、娘から返事が届きました。どうやら「母親から暴力を受けている」などと言って、友達の家を転々としていたようです。そして家出から4日目。娘は落ち着きを取り戻したようで、達也さんが友達の家に出向き、自宅に連れ帰ることに成功しました。

しかし……。

「謝れ! 謝れ! 私に謝れ!」妻は娘を罵倒した

娘を連れて帰宅すると、妻はまたしてもヒステリックな声で叫びました。それは家出の前に娘を罵倒していたときと同じでした。

「謝れ! 謝れ! 私に謝れ!」

専門学校への進学という進路は、娘と夫の2人だけで決め、母親である自分には何の相談もなかった……。自分をないがしろにした娘の態度に激怒し、「謝罪」を求めたのです。

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達也さんは母娘の間に割って入りました。

「こっち(父娘)で決めてしまい悪かったけれど、しょうがなかったんだ……」

本当は、「だって、進路の相談をしようにも、昼(パート)も夜(ママ友との飲み歩き)もお前は家にいないことが多いじゃないか!」と言ってやりたいところでしたが、火に油を注ぐことは確実だったので、ぐっと堪えました。そんな腰の引けた言い方だったからか、妻はさらに勢いづきます。

▼「お前(娘)は頭がおかしい! 完全に狂っている!」

「お前たちの発言はすべて整合性がとれていないのよ! お前(娘)は頭がおかしいし、完全に狂っている! 病院に連れて行け!!」

その言動はもはやヒステリックという言葉の次元を超えたものであり、家族全員が恐怖心を抱いたそうです。なにより達也さんがショックだったのは、娘が家出という危険信号を発したにも関わらず、妻が娘に寄り添おうとしなかったことでした。

達也さんも娘の「SOS」を察知できたのは、家出があったからです。だから、娘の状態を前もって察することができなかったことについて贖罪の気持ちがありました。一方、妻はどうだったでしょうか?

娘の家出のきっかけは、妻の“暴言”です。不登校気味だった娘の進路決定を祝福せず、なじったのです。再度、娘が家を飛び出してしまうことがないように、妻は言動をあらためる必要があります。

達也さんは、せめて一時でも妻が反省し、改心し、娘への接し方を変えてくれるのではないかと期待していたのですが、娘のことを「完全に狂っている」と言い出すなどその期待はいとも簡単に砕け散りました。達也さんは裏切られ、打ちひしがれました。

身勝手極まりない妻の人間性を変えるのは無理

ただ、心療内科の医師に「本人を1人にしておくと危険です。できるだけ家族がそばにいるように」と言われるほど心理状態が弱くなっている娘が、このまま誰とも口をきかず、自室に引きこもって完全な不登校の状態になってしまう事態は回避しなければなりません。学校に通えなくなれば、卒業も進学もあきらめなければならないのです。

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母と娘との確執を含め、家庭内不和の原因は、長年の積み重ねの結果です。特に、家事を放棄するなど身勝手極まりない妻の人間性を根幹から変えることは難しいでしょう。達也さんは妻と娘の関係を修復することはあきらめているようでした。

私は達也さんに対して「娘さんが前向きな気持ちで学校へ通えるよう、妻と娘さんを一時的に“隔離”するのはいかがでしょうか」と、家庭内別居を提案しました。

完全に別居してしまう方法もありますが、妻を一時的にでも家から追い出した場合、娘さんはどう思うでしょうか。「私のせいでママがいなくなった」と自分を責めるでしょうし、母親不在の責任を感じて、精神的にますます不安定になるでしょう。むしろ逆効果になる恐れがあります。

▼母娘が直接話さなくてすむ「家庭内別居」

私が提案した「家庭内別居」とは、母娘が直接話さずに済むような方法です。例えば、事前に2人の行動パターンを把握しておき、ともに自宅にいる時間帯ではすれ違わないようリビングや洗面所、お風呂などに滞在する時間をずらす。相手にどうしても頼みたい・聞きたいことがある場合には、直接話すのではなく、必ず達也さんを間に入れるようにします。

家のなかで娘と妻が接点を持たないような工夫なのですが、妻からは不評でした。

「すぐそこにいるんだから直接言えばいいじゃない!」

妻が娘に何かを伝えたい場合、妻⇒達也さん⇒娘という具合に、達也さんを介さなければなりません。その手間が億劫で、そんなふうに逆上したそうです。さらに妻はプライドが高く、「私をのけ者扱いする奴(娘)は許せないわ!」と憤慨しました。

夫婦関係もずいぶん前から冷え切っていた

「家庭内別居」にはもうひとつネックがありました。

妻と達也さんとの夫婦関係はずいぶん前から冷え切っていました。よって娘以上に達也さんと話すことを毛嫌いしており、今回のルールができたことで妻は「あんたと話すなんて懲り懲りなの!」と怒っているそうなのです。このままではせっかくの「家庭内別居」も意味がないものになってしまい、母娘戦争が再燃してしまうかもしれません。

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何かうまい方法はないか。私は達也さんに対して、ひとつ質問しました。

「奥さんが最も心配していることは何でしょうか?」

達也さんが答えるまでもなく、それは「娘の再度の家出」でした。家事を押し付けるダメ妻(母)とはいえ、娘への愛情はあります。そこで、私は達也さんに「娘さんの家出は今回で最後とは限らない」ということを妻に伝えるように助言しました。

「また家出して(僕たち親を)困らせようとするかもよ」

達也さんは「潜在的リスク」を説明し、だから「当面、母娘で家庭内別居のような形をとろう」と妻に言いました。妻が冷静さを取り戻してくれるかもしれない。そんな願いもありました。

娘の家出で、妻は肉体的にも精神的にもボロボロになっていました。学校や警察へ足を運ぶことになり、娘の友達の親御さんには「暴力を振るった母親」というイメージが広まりました。娘には間違っても同じことを繰り返してほしくない。同じ目に遭うのは御免だ。心の底からそう思っているはずです。それは娘のためではなく、自分のためかもしれませんが、この際それはどちらでも構いません。

「今回の話(家庭内別居)は、(娘の)茜だけでなく、君のためでもあるんだよ。わかってほしい」

達也さんは妻が自分のことしか考えていないことを見越した上で、「妻のため」という点を強調しました。その結果、妻はようやく今回の提案を受け入れたのです。

▼妻は「(娘にとって)いないほうがいい存在」

達也さんが私のところへ相談に来てから3カ月が経ちました。今のところ、達也さんからの連絡はありませんが、「便りのないのはよい便り」なのでしょうか。何も起こっていないから何も言ってこないのだと信じたいところです。

達也さんが妻のことを「(娘にとって)いないほうがいい存在」と断言できれば離婚という選択肢もあったかもしれませんが、そこまで言い切ることは難しいでしょう。

離婚となれば、住環境や教育環境、そして家族構成も変化します。それは娘に対して大きな影響を及ぼすはずです。娘の不安定な心理状態が、離婚で悪化する可能性があるのです。

このような状態では、すぐに離婚を決断するのではなく、次善策として「家庭内別居」という方法が有効です。離婚したほうがいいのか、離婚しないほうがいいのか。「子供のため」に悩んでいるとすれば、「家庭内別居」という選択肢があることを思い出してください。

▼前編の記事はこちら
娘を家出させた家事放棄妻の"馬乗りの夜"http://president.jp/articles/-/23119

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