川内川あらし、観光資源に 気象予報士ら鹿児島でプロジェクト 川下る濃霧「奇跡の絶景」

川内川あらし、観光資源に 気象予報士ら鹿児島でプロジェクト 川下る濃霧「奇跡の絶景」

  • 西日本新聞
  • 更新日:2017/12/06
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海に向かって吹き抜ける川内川あらし。河口付近の風速は秒速5~6メートルになる(川内川あらしプロジェクト提供)月屋山展望所からの眺望。川内川あらしが見えなくても朝日が川霧を照らす絶景に出合えるかもしれない

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街を覆っていた深い霧が川を下るように海へと吹き抜ける-。晩秋から初春にかけて鹿児島県薩摩川内市の川内川河口付近で発生するこの珍しい現象を、気象予報士や地元有志が「川内川あらし」と名付け、観光資源として売り出すプロジェクトを進めている。「神々しく荒々しい。奇跡の絶景を目に焼き付けて」とメンバーはアピール。人を呼び込み、地域おこしの“嵐”を巻き起こせるか。

「強い風ではダメ。風が弱い時に霧が流れていく」。11月25日、川内川河口にある高速船ターミナル。地元イベントの一環で開いた気象教室でプロジェクトリーダーの気象予報士、今村聡さん(47)=鹿児島市=が手作りの模型を使ってあらしが起きる仕組みを説明。集まった子どもたちは興味津々に再現実験を見つめた。

あらしは11月から3月の、風が弱く晴れて冷え込んだ朝によく発生する。まず、平地の市街地で発生した濃霧が東寄りの風とともに川に沿って海側に移動する。大きな河川は下流域で両岸に扇状に平地が広がる地形が多いが、川内川は1級河川ながら河口に近づくにつれ、両岸に山が迫り、風の通り道が狭くなる特異な地形だ。このため、霧は狭い通り道に集まってどんどん勢いを増し、嵐のように海に吹き抜け、神秘的な光景を作り出す。

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地元でよく知られたこの光景は朝の通勤通学時に視界を遮る厄介ものだった。ところが、NHKの気象キャスターでもある今村さんが取材で川内川を訪れ「とても珍しい現象」と気付いた。愛媛県大洲市の肱(ひじ)川では同じ現象を「肱川あらし」と命名。「世界でも大洲でしか出合えない」と売り出していたからだ。昨年、同市を訪ねた今村さんは街のあちこちにポスターを張ったり、市がガイドブックを作ったり肱川あらしが観光の目玉になっていることを実感したという。

そこで川内川あらしの眺望スポットの月屋山(標高160メートル)がある薩摩川内市水引地区のコミュニティ協議会に「町おこしに生かせるのでは」と提案。今年2月には鹿児島のテレビ局で気象キャスターを務める気象予報士や地元の写真家らと「川内川あらしプロジェクト」を立ち上げた。

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今村さんたちはすぐにホームページを作成。メンバーが撮影した写真や動画の公開を始めた。気象教室のほか気象キャスターらによるPR隊も結成し、市内外のイベントに参加したり、ニュースで川内川あらしを取り上げたりして魅力を紹介。地元の協議会も月屋山頂にある展望所への登山道に階段を整備し、見物客の呼び込みを図っている。

今村さんによると、あらしの発生はシーズン中に20回程度。自然現象だけに、見られるかどうかは天候次第だ。発生も明け方から午前10時ごろまでに限られる。「空振り」でも泊まって再チャレンジできるよう、協議会は周辺観光地と水引地区の散策を組み合わせた観光ルート化も模索する。協議会の小平敏明会長(77)は「自治体とも連携しながら、川内川あらしをきっかけに地域を元気にしたい」と話す。

11月28日朝、記者も月屋山展望所に登ったが空振り。それでも雲の切れ間から、朝日が川霧を照らす幻想的な光景に息をのんだ。近くの柳山(標高389メートル)など見物スポットも多く、あらし目当てに地域を巡れば、別の絶景に出合えるかもしれない。

=2017/12/02付 西日本新聞朝刊=

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