「カッピング」は疑似科学、米大学教授が警戒を呼び掛け

「カッピング」は疑似科学、米大学教授が警戒を呼び掛け

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2019/05/30
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賢い人でも、人は簡単にだまされる──。

人々がどれほど簡単にだまされ、自らの利益に反する結果を招く投票をしてしまうかを示した米国と英国の有権者のことを言っているのではない。

代替医療や統合医療、漢方薬、エネルギー医学その他のさまざまな「医療」について言っているのだ。これらは全て、単にマーケティングの目的でつけられた名称だが、医師や科学者を含め、数多くの人たちがこれらに魅了されているようだ。

それらのうちの一つが、「カッピング(吸い玉)」だ。人気は高まっているようだが、これはかなり奇妙な治療法だ。ガラスのカップの中に熱した空気を入れ、それを肌の上に乗せていく。

温められた空気は膨張しているため、冷えるにつれてカップの中で収縮する。それによって、吸引力が発生。カップの中で皮膚を引き上げる(熱ではなく、ポンプを使って同じ効果を得ようとする場合もある)。

カッピングの施術を行う専門家たちは、この施術は実際には存在しない神秘的な生命力、「気」を整えるものだと考えている。そして、より具体的な説明を求められると、カッピングは「血流を改善する」という。だが、それは科学的な根拠のない、ほぼ何にでも使える便利な表現だ。

医師でブロガーのデービッド・ゴースキによれば、カッピングで実際に起きるのは、次のようなことだ。

「カップの形のあざが残ることが多いのは、カッピングによって皮膚が吸い上げられることで毛細血管が切れるからだ…同じ部分の皮膚が長期間にわたって繰り返し損傷を受けると…その部分の皮膚が死んでしまう場合もある」

つまり、カッピングはあなたにとってあまり良いものではないということだ。

カッピングは、ばかげた治療法だ。何らかの利益をもたらすという科学的・医学的な証拠はない一方で、危害を与えるリスクがあるのは明らかだ。

米国立生物工学情報センター(NCBI)のサイトには、「アスリートに対し、カッピングの施術を勧めることも、控えるよう助言することもできない。さらなる研究が必要だ」と結論付けた論文が掲載されている。

疑似科学を擁護する人たちは、自分たちの偽りの主張が科学で証明されなかったときには常に、こうした言い方をする。もっと研究させてほしいと主張し、そして最終的には、筆者たちがこれまでそうだと考えてきたことが裏付けられる。これは、良くない科学を生み出すことにつながる。

米国立衛生研究所(NIH)の一部門である国立補完統合衛生センター(NCCIH)も、「幾つかの研究は行われてきたが、大半は品の低いものにとどまっている」「痛みを軽減することはあるかもしれないが、その根拠はそれほど明確に証明されていない」「その他の症状の改善にも役立つと結論付けることができるほど質の高い研究は十分に行われていない」などとして、カッピングを支持するには至っていない。

NCCIHはさらに、カッピングについて次のように警告している。

・持続的な皮膚の変色、傷痕、やけど、感染症などの副作用を引き起こし、湿疹や乾癬を悪化させる可能性がある
・まれではあるが、頭蓋内出血や失血による貧血など、重篤な副作用の例が報告されている

それでも、その他の面では賢い人たちが、「私には効果がある」と言う──返す言葉がない。お金を節約し、そして同時にあなたの皮膚を守るべきだ。誰かのカップに、吸い取らせてはいけない。
(筆者は米ジョンズ・ホプキンズ大学のブルームバーグ特別教授。専門は医用生体工学と計算機科学、生物統計学)

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