
日本時間11月22日(金)から開幕するFIFA ビーチサッカー ワールドカップ パラグアイ 2019。今年3月に行われたAFCビーチサッカー選手権タイ2019で優勝した日本代表は、アジア王者として世界大会に挑む。チームを率いる”闘将“ラモス瑠偉監督に、ビーチサッカーの魅力、ラモスジャパンの特徴、W杯への意気込みを聞いた。
ブラジルに勝って世界一になりたい
――ラモス監督とビーチサッカーの出会いは。
私が生まれたブラジルのリオ・デ・ジャネイロは“ビーチサッカーの聖地”です。コパカバーナビーチでは、大人も子どもも、朝から晩までみんながビーチサッカーをやっています。私は9歳から12歳のころまでは、ビーチサッカーばっかりやっていました。現役時代にオーバーヘッドをよくやっていたのはビーチサッカーの影響だと思います。
――ラモス監督が考えるビーチサッカーの魅力とは?
たくさんありますが、一番は「青い空の下で、白い砂の上でボールを蹴れる」ということです。グラウンドが砂なのでボールを浮かせたほうが正確にプレーできる。だから、必然的にアクロバティックなプレーが多くなります。GKからのスローを、そのままオーバーヘッドするとか。初めて見た人、サッカーをあまり見たことがない人でも楽しめると思います。
――戦略的な要素もあるのでしょうか。
もちろんあります。どこのチームも、それぞれの監督の考えがあります。セットを組む時もあるし、1人ずつメンバーを入れ替える時もある。私が最も重要だと考えているのがGKです。80%ぐらいはGKで決まるといっても過言ではないぐらい。W杯に向けてGKだけの専門合宿もやってトレーニングしています。
――ワールドカップでの目標は、どこに設定していますか。
冗談抜きで、決勝に行きたいです。今は世界中で、本当にみんなが力を入れている。ブラジル、スペイン、ロシア、ポルトガル、イタリア、スイス、ウクライナ、イラン、タヒチ。どこも強いです。ただ、W杯決勝に行くのは夢じゃないと思っています。私の夢はブラジルに勝って世界一になること。今のメンバーだったらきっとできます。
――グループリーグの組み合わせはパラグアイ、アメリカ、スイス。開幕戦では開催国のパラグアイと戦います。
こんな素敵なことはありません。W杯の開幕戦は世界中が注目する。ただの試合じゃない。だから、そこで勝つことには大きな意味があります。グループの中で一番の格上はスイスだと思います。スイスは3人のすごい選手がいて、どこからでも点を取れます。ただ失点が多くて、大味なゲームになることが多い。しっかりと本番に向けて分析していきたいです。
オズ選手は世界で3本の指に入る選手

――「ラモスジャパンはこういうチーム」というのを教えてください。
絶対にあきらめない、戦えるチームです。
――今回選んだメンバーの基準も「戦える」ことでしょうか?
当然です。うまいから選んだわけじゃない。ハードワークできる選手しか、私のチームにはいません。ラモスが監督になってから日本代表は変わったと言ってもらうこともあります。でも、変わったわけじゃない。彼らが持っているものを、引き出しているだけです。日本人の粘り強さは半端じゃありません。
――AFCビーチサッカー選手権でMVPになった、キャプテンの茂怜羅オズ選手については。
私が今まで見た中でも3本の指に入る選手です。彼と同じレベルの選手は2人しか見たことがありません。オズ選手はたとえブラジル代表であってもポルトガル代表であってもエースになれる力があります。彼が本当にすごいのは、日本のビーチサッカーを発展させるために帰化して日本人になったことです。感謝しかありません。
オズ選手のポジションは「フィクソ」という守備の要です。彼とマッチアップすることによって日本のアタッカーのレベルも上がっています。そんな素晴らしい選手が日本にいるということを、みなさんにもっと知ってほしいです。オズ選手のプレーを見るだけで感動するはずです。
――世界一になればビーチサッカーの注目度も上がると思います。
自分たちの力を信じてブレずにやっていけば、チャンスはあると思います。世界を驚かせてみせます。
――J SPORTSを通じてワールドカップを見る視聴者の方に向けてのメッセージをお願いします。
ぜひ、この素晴らしいスポーツを見てください。日の丸を背負って戦う選手たちを見てください。1回だけでもいいです。テレビの前で応援してくれる声は、必ずパラグアイにも届きます。みなさんに良い報告をできるように全力で戦ってきます。
(インタビュアー 北 健一郎)
ビーチサッカーの見どころは?