ビットコイン、いよいよ規制すべき時か

ビットコイン、いよいよ規制すべき時か

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/12/05
No image
No image

「買い手は注意せよ」。ビットコインはこの最も強力な投資アドバイスを裏付ける理想的な証拠となっている。

中央銀行の干渉を避ける手段とはやされる仮想通貨のデイトレーダーは、何かあった時に運営組織に訴え出るつもりはなさそうだ。マネーロンダリング(資金洗浄)を抑えるために監督機関が介入することは時々あった。しかし、金融規制当局はほとんどビットコインにかかわらずにきた。

当局が長く様子見を続ける公算は小さいが、それは残念だ。言いくるめられて少額のビットコインを価値のない「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」に投じる人や、ビットコインの証拠金取引をするデイトレーダーは、信頼と安全に関する重要な教訓を学ぶ。ビットコインの素人は、早いうちに小さな損失を被って、出来すぎた投資話は恐らく信じるべきでないのだと学ぶ方がいい。学ばずに後で大胆な投機に出て全財産を失うよりました。

残念ながら、仮想通貨はあまりに大きくなりつつあり、当局が無視できなくなる日は近い。彼らには消費者保護を巡る心境の変化以外に、確固とした介入の理由が2つあり、いずれもビットコインと他の仮想通貨の存続に壊滅的な結果をもたらす可能性がある。

まず、最も重大なのはビットコインとの関わりを深める過程で金融システムに及ぶ危険だ。両者の関係は今まさに構築され始めている。数十の新規ファンドがビットコインを主流の投資家に売り込む一方、来週にはビットコインの先物取引が開始される。

この危険は甘くみられがちだ。仮想通貨の上位約1000種類の時価総額は3500億ドルと、フェイスブックを下回っている。それに、明日それらが無価値になっても、銀行はほとんど気づかないだろう。

だがビットコインにかかわる従来型の投資家が増えるにつれ、業界は当局に口出しをさせないよう活動を強める。当局が長く待つほど規制するのは難しくなる。それはつまり、近く介入が必要なことを示唆している。

ビットコインが今年のような上昇を来年も繰り返した場合、その時価総額はカナダに上場する企業を全て合わせた金額、あるいはロンドン上場株の時価総額の半分を上回る。

ただ、規模だけでは危険にはならない。過去にバブルが崩壊した時、その影響は規模だけでなく、借入への依存度にも左右された。ITバブルが2000年に崩壊して株価が暴落した時には、レバレッジが低かったこともあり、米経済は標準的な定義でいうリセッション(景気後退)を回避できた。

一方、1982年にはじけたクウェートの私設株式市場「スーク・アル・マナーハ」のバブルは、崩壊の度合いでは史上最大級のバブルだった。規制を受けないクウェートの店頭市場(かつてのラクダ市場)は1981年、投機熱を受けて世界で9番目に活発な株式市場となった。先日付小切手にあおられ、同市場で取引されるペルシャ湾岸二流企業の時価総額は20倍に膨らんだが、その後のバブル崩壊がこの小国に残したのは、現金化されていない小切手900億ドル相当、広範にわたる不良債権、深刻なリセッションだった。

ビットコイン近く崩壊しても大きな問題にはならないだろう。だが従来の金融システムがビットコインとかかわるほど、それが投げ掛ける危険は増える。投機筋がドルを借りてビットコイン相場の変動に賭け、当局が懸念を強めるとみられるからだ。

他にも危険はある。中銀や当局からするとより重大なのは、ビットコインが崩壊しない可能性だ。ビットコインへの投機熱が、ドルの代替通貨として広く使われる前触れにすぎないのなら、ビットコインは中銀によるマネー独占を脅かすだろう。

ビットコインは本当の通貨になれるほどスピーディーな取引はできないが、コードの変更や他の仮想通貨で成功するかもしれない。中銀当局者にはそれを許すことはできない。本人が職を失うし、経済に壊滅的な打撃が及ぶからだ。

ビットコイン推進派は中銀の通貨発行がインフレを誘発することを懸念しがちだ。だが、連邦準備制度理事会(FRB)がバランスシートを拡大し始めてから8年間にこれといったインフレはない。皮肉にも、ビットコインの供給が年に約4%増加する一方で、FRBは米国のマネタリーベース縮小に着手している。だがビットコインが最終的にデフレを迎えるのは本当だ。供給に上限があるのだから。

推進派は、ビットコインが普及すれば19世紀の金本位制がデジタル版としてよみがえったと歓迎するだろう。中銀当局者はもっと現実的で、当局が危機を座視することは政治が許さないと認識している。英国は手に負えなくなると、金本位制を何度も中断した。大恐慌中の米国はさらに先を行った。個人が金貨や金塊を保有することを禁じたのだ。

イングランド銀行(英中央銀行)に勤務した経験を持つエコノミストのトニー・イエーツ氏によれば、中銀当局者は「(ビットコインを)深刻に受け止めている。マネーサプライの制御権を失いたくないからだ」

中銀はビットコインを発行できないため、世界中が法定通貨からビットコインに切り替われば、新たな通貨を発行して危機を和らげることはできなくなる。

当局が本腰を入れる前に、ビットコインがさらに上昇する可能性もある。だがビットコインが圧倒的な脅威となれば、各政府は自ら発行する通貨の衰退を黙って見ていないだろう。

中間にあるのは、ビットコインが通貨としては失敗しながら、金の代替としての役割を見いだす結末だ。ビットコインがそれだけで終われば、当局の不安は和らぐ。ただ投機筋にとっては残念なことに、彼らはそれもあまり歓迎しないはずだ。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

経済カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
【投資のヒント】強気の評価が減った銘柄は
個人投資家スマイルマン:12月はIPO銘柄がアツい!!注目2銘柄のご紹介!!【FISCOソーシャルレポーター】
民泊新法の施行で健全な市場を 百戦錬磨の上山康博社長に聞く
【報ステ】2018年度税制改正の最終案まとまる
セブン、深刻な客数減サイクル突入...ファミマ、経営統合失敗で客数減地獄
  • このエントリーをはてなブックマークに追加