【GSOMIA破棄】韓国の暴挙、朝鮮半島へ中国と米国が軍事介入の可能性も

【GSOMIA破棄】韓国の暴挙、朝鮮半島へ中国と米国が軍事介入の可能性も

  • Business Journal
  • 更新日:2019/08/24
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2019年 韓国「光復節」 文大統領の退陣を要求(写真:アフロ)

7月1日、「安全保障上の輸出管理に不備がある」として、経済産業省が韓国向けの半導体材料について「包括的輸出許可」を「個別輸出許可」に切り替えたが、これを契機に日本と韓国の間で深刻な対立が発生している。

その後、日本が優遇措置の対象国であるホワイト国から韓国を除外することを決定すると、これに対抗するかたちで韓国側も日本を優遇対象国から除外する決定を行った。さらに韓国政府はこの問題を理由に、日韓で防衛秘密を共有する日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄にまで踏み切った。

韓国側の一連の決定はまったく根拠のない暴挙である。日本側に理があっても「すべて日本が悪い」と無理難題を吹っかけてくる韓国側のいつもながらの行動と言えないこともないが、出るのはため息ばかりである。

韓国のトラウマ

筆者は2003年10月から2011年3月まで内閣官房に出向し、内閣情報調査室内閣参事官として経済面を中心にインテリジェンス情報の収集・分析に当たっていたが、在籍中に聞いた韓国政治の専門家からの指摘が今でも忘れられない。

「インドのように植民地時代から独立運動を行い『宗主国を自らの力で追い出した』という体験を国民全体が共有できれば、植民地時代のトラウマは癒やされる。だが第2次世界大戦中にほとんど独立運動が起きなかった韓国にはそのようなサクセスストーリーはなく、永遠に宗主国であった日本を恨み続けるのではないか」

日本製品の不買運動が激化している韓国では、光復節(韓国の独立記念日)に当たる8月15日、ソウル光化門広場に市民約10万人が集まり、「独立運動はできなかったが、不買運動はする」と叫んだが、このことは上記専門家の指摘が今でも正しいことを示す一つの証左だろう。

一連のやりとりのなかで筆者が注目したのは、日本が韓国をホワイト国から除外することを決定した8月2日、文在寅大統領が「我々は日本に勝てる。北朝鮮との経済協力が実現すれば、日本に一気に追いつくことができる」と国民に対して訴えたことである。

昨年の韓国のGDPは約1.6兆ドルと日本のGDPの3割だが、人口が日本の4割である韓国の1人当たりのGDP(昨年は世界30位)がこのまま推移すれば、5年以内に日本の1人当たりのGDP(世界21位)を上回る可能性が出てきている。北朝鮮のGDPは韓国のGDPの100分の1にすぎないが、「隠し玉」は北朝鮮の鉱物資源のようである。韓国商工会議所が2007年に公表した報告書によれば、北朝鮮の鉱物資源は総額6.4兆ドルであり、内訳は金が2000トン、鉄鉱石が5000億トンなどとなっており、レアアースも豊富であるとされている。

当時内閣情報調査室に勤務していた筆者はその根拠について調べたことがあるが、韓国側が示したデータのほとんどは日本統治下時代に日本企業が行った、非常に大雑把な調査結果に基づいていたことを記憶している。鉱物資源の埋蔵量は、採掘の持続性や経済性などの観点から精査していくと2桁以上その量が減少していくのが当たり前であることから、北朝鮮に鉱物資源が存在したとしても、その価値は相当割り引いて考える必要があるだろう。

「一寸先は闇」の朝鮮半島

仮に北朝鮮の鉱物資源が期待外れであったとしても、「朝鮮民族の統一」という大義は揺らぐことはない。しかし約7600万人の人口を擁する大国が朝鮮半島で誕生することを国際社会は容認するだろうか。

朝鮮戦争は1953年7月に戦火は収まったが、停戦状態のまま現在に至っている。戦争の実質的な当事者であった米国や中国などにとって、朝鮮半島は「現状維持」以外の選択肢はないという状況は現在も変わっていない。米国との国交正常化を悲願と位置づける北朝鮮にとって、トランプ政権の誕生は千載一遇のチャンスである。北朝鮮の後ろ盾は中国とされているが、北朝鮮にとって中国は最も嫌いで、かつ、最も恐るべき隣国である。

トランプ政権は貿易紛争を激化させる中国への牽制という観点からか、北朝鮮との首脳外交を活発化させている。米国の動きに乗じて「朝鮮民族の統一」を夢見ているとされる文在寅大統領が北朝鮮との融和に突き進めば、中国は黙ってみているわけにはいかない。

紀元前2世紀に漢が楽浪郡を設置して以来、朝鮮半島は中国歴代王朝の帰趨を制する「藩塀」の役割を果たしており、中国としては朝鮮半島に敵対勢力が進出することはなんとしてでも阻止しなければならない。朝鮮戦争以来「血の同盟」を結んできた北朝鮮までが米国に靡けば、中国は朝鮮半島に軍事介入する可能性があると筆者は懸念している(1949年に建国したばかりの中国は、国際社会の予想に反して朝鮮半島に大量の義勇軍を投じた経緯がある)。

朝鮮半島での軍事演習にさえ否定的なトランプ大統領が、朝鮮半島での戦争開始を決断するとは想像しずらい。だが、1950年1月に「朝鮮半島には軍事介入しない」とするアチソンラインを設定したにもかかわらず、これを好機と捉えた金日成が韓国へ軍事侵攻すると、手のひらを返すようにトルーマン大統領が米軍の投入を決断したという前科がある。

地政学の教えによれば、ランドパワーとシーパワーが激突しやすい半島で戦争が起きやすいとされている。紛争当事国の思惑がすべて外れた結果、意図せざる大戦争に発展したのが朝鮮戦争である。

このように朝鮮半島は「一寸先は闇」であるが、文在寅大統領はすでにパンドラの箱をあけてしまったのかもしれない。

(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)

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