小池百合子劇場を予言? 作家・橋本治が発見したアメリカ映画とは

小池百合子劇場を予言? 作家・橋本治が発見したアメリカ映画とは

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  • 更新日:2017/10/13
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橋本治(はしもと・おさむ)/1948年東京都生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、『桃尻娘』で小説現代新人賞佳作を受賞。評論家としても活躍。『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、『三島由紀夫とは何者だったのか』で小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、『双調平家物語』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。近著に『たとえ世界が終わっても』『知性の顛覆』『いとも優雅な意地悪の教本』等

投票まで1週間を切った衆院選。作家の橋本治氏は、台風の目となった小池百合子氏のこれまでの動きについて、あるとんでもない発見をしたという。思わず納得の発見について、橋本氏に話を伺った。

──橋本さんの著書『知性の顛覆 日本人がバカになってしまう構造』のまえがきに“「そうならなきゃいいな」と思っていた知性は、顛覆してしまった”という一節があります。安倍首相による突然の「衆議院解散」と、その後目まぐるしく変化する「政局」を見ていたら、思わずそのフレーズを思い出しました……。『知性の顛覆』の最終章は、小池百合子率いる「都民ファーストの会」誕生の話で終わっていますよね?

橋本:そう、だから、その続きを書かなきゃいけないと思って「小説トリッパー」で連載をまた始めたんですけどね。で、実は私、小池百合子と希望の党について、最近、とんでもないことを発見しちゃったんです。去年、日本で公開されたザック・スナイダー監督の「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」っていう映画に、すべては「予言」されているんですよ(笑)。

──ええっ「バットマン vs スーパーマン」……に、ですか?

橋本:映画のあらすじを簡単に説明すると、悪者のレックス・ルーサーJr.に巧みに操られたバットマンとスーパーマンが戦い始めるんですね。で、なぜか最後に「ワンダー・ウーマン」が出てきて怪物を倒しちゃう……っていう、まぁそんな内容で。去年、初めて見た時には「なんだかワケわかんない映画だなぁ」って思ったんですけどね。

で、最近、その映画をもういっぺん見直してみたのが、偶然、小池百合子が「すべてをリセットして、私が希望の党の代表に就任します」と発表した時だったんですけど、そうしたら突然「ああ、なるほど、そういうコトか!」……と分かったんです。

つまり、新党立ち上げでガタガタやっていた細野豪志と若狭勝がスーパーマンとバットマンで、「いつまでも二人でモメてるんだったら、私がさっさと行くわ!」って、小池百合子のワンダー・ウーマンが出てきて怪物を倒してしまうんですね。ちなみに映画だと、最後はスーパーマンのお葬式のシーンなので、現実でも最後は誰かが「終わっちゃう」のかも(笑)。

──つまり、小池百合子はワンダー・ウーマンだと。

橋本:あんな娯楽映画見てこんなことを考えているのは、この世の中で私だけでしょう(笑)。『知性の顛覆』の続きとして「小説トリッパー」で書いている連載のテーマが、「父権制の顛覆」なんですね。で、この映画の中ではスーパーマンもバットマンも「父親」がいないという設定で、それってつまり「お父さんはもういない」≒「指導者はもう来ない」そういう「父権制」が死んでしまった世界を象徴している。

そうやって「オヤジによる秩序」が消滅した世界に、突然「葛藤のない女」が出てきて暴れまくる……。そのストーリーと「しがらみのない政治」とか言って、小池百合子が希望の党を立ち上げる姿が重なって「ああ、あの映画ってこういうコトだったんだ!」って、余りのコトに呆れ果てましたね(笑)。

──それにしても、彼女はなぜ、それほどのパワーを手にしたのでしょう?

橋本:都議選でいわゆる「小池旋風」が吹き荒れた、今年7月の都議会選挙以降、暴言騒ぎの豊田真由子とか、不倫騒ぎの山尾志桜里とか、あと、防衛大臣を辞任した稲田朋美や、内閣改造でいなくなった「ヤジ将軍」の丸川珠代……と。立て続けにいろんな女が「ボロ」を出して痛い目に遭っている中で、小池百合子だけが勢いを増してきた。その理由は彼女に長年、政治の世界で「オヤジ」たちの中でもまれてきた「経験知」があり、「私は絶対にボロを出さないわよ」という自信を持っているからだと思います。

そもそも、小池百合子を今のポジションに引き上げた去年の都知事選って「熟年離婚」と同じ構造なんですよ。母親が「うちのダンナは本当にろくでもないことが分かってしまったので、私は別れます!」って、いきなり離婚届を突き付ける。で、その時に子供たちはどっちにつくか……というと母親に付くことになって、そこから「母親の専横」が始まるわけです。

──つまり、彼女が都知事選や都議選で「自民党のオヤジたち」に勝ったのは、この国の政治から「オヤジの秩序が崩壊した」から。言い換えれば、既に進んでいた日本社会の「父権制」の喪失を可視化し、象徴する出来事だと。そして、そういう「父親はいない」≒「リーダーのいない」世界に戸惑う男たちを押しのけて「ワンダー・ウーマン」が暴れているのだと……。

橋本:そう。小池百合子は「私は自民党のオヤジたちと戦います」と言って都知事となった。そして、さらに都議選でも自民党都議連のオヤジたちを倒して「勝ち組」になった。おそらく彼女は都議選のかなり早い段階から、自分を明らかな「勝ち組」だと自覚したと思うし、その自信が今回の総選挙で見せる一連の「強気」にも繋がっている。自分にはそれだけの人気があるから何でもやれると思い込んでいる。

そして、その後の展開がさっき話した「バットマン vs スーパーマン」なわけです。父権制という旧来の秩序を失った息子たちがウダウダしていると「もういい! 母さんがやります」って出てきて、「民進党も邪魔ね!」って、一気に吹き飛ばしてしまうという(笑)。

ただし、小池百合子の人気が凄いものだと「思い込んでいる」のは、おそらく「小池百合子本人」と、彼女にいいようにやられて、すっかり「負け組」の感覚が染みついた自民党のオヤジたちだけ。普通に考えれば、自分が「勝ち組」だと思った瞬間に、そこから先は「下り坂」なんですね。

ところが、本人はそれが分かっていないから「排除いたします」なんて言い出して、早くも嫌われはじめている。今も「私はボロを出さない女なのよ!」という顔をしているけど、実際には既に「ボロが出てきちゃっている」状態なんだと思いますね。

(取材・構成/川喜田研)

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