米株高、利益確定前に考えるべき5つのポイント

米株高、利益確定前に考えるべき5つのポイント

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/12/07
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米株式市場でほぼ全面高の状況が続く中、「このタイミングで株式を売り、ポートフォリオの現金比率を高めるべきか」と悩んでいる投資家は多い。

資産運用のプロの多くは、ごく一般的な回答として、現金がすぐに必要なら保有株式の一部売却は理にかなうと指摘している。ただし、長期的な視点で投資し、主に次の調整局面を警戒しているだけなら、利益確定は避けた方が得策だとも述べている。

もっとも、この回答はあくまで一般的なものだ。個人投資家は現金、すなわちポートフォリオの未投資資産や預金口座などの低金利資産をどれだけ保有するのが妥当かについても把握しておく必要がある。さらに、その現金をどこに置いておくべきか、長期投資戦略に支障を来すことなく現金を積み上げる最善の方法とは何か、といった疑問も沸く。

株式の現金化は、相場の流れが変わるたびに反射的に行うのではなく、資金ニーズに基づいて、あるいは長期的な資産運用計画で定めた目標に沿うように行うべきだというのがプロの意見だ。

JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、デービッド・ケリー氏は「今回の上昇局面では、『今こそ資金を引き揚げるべき理由が幾つもある』と多くの人が何度も指摘してきたが、結局それは正しくなかった」と述べた。

ポートフォリオの現金比率を大きく高める前に検討すべき5つのポイントを以下に挙げる。

1.バリュエーションが高いなら、株式から現金にシフトすべきでは?

Tロウ・プライス・キャピタル・アプリシエーション・ファンドを運用するデービッド・ジルー氏は、一般的には、株価が大幅安となった時点で株式をより積極的に買い、バリュエーションが大きく上昇した段階で株式リスクを減らせば、リターンを高めることができると話す。足元では米国株のバリュエーションが長期平均を上回るため、株式保有比率を便宜的に下げることは妥当かもしれないと言う。

ただ、便宜的な戦略には投資家の想定を超えるリスクが伴う。主な問題は、それを効率的に行うために株式から資金を引き揚げる時期と株式投資を再開する時期の両方を正確に見極めなければならないことだ。フィデューシャリー・トラストのピーター・アンダーセン最高投資責任者(CIO)はこう指摘する。

短期金利が上昇している(利率の高い預金で1~2%)といっても、ポートフォリオの現金比率を大きく高めると、株高が続いた場合に機会損失が生じかねない。いずれにせよ、これは非常に難しい問題であり、便宜的な取引が自らを不利な状況に追い込むことがあり得るとアンダーセン氏は言う。

2.保有株式の一部現金化は賢明なやり方か?

ベター・マネー・デジジョンズの共同経営者でシニアアドバイザーのケイト・スタルター氏は、現金化の規模は6カ月ほどの資金需要に基づいて決めることが望ましいと語る。実際の資産配分が運用計画で定めた目標から乖離(かいり)した場合は、保有株式の一部売却を検討すべきだとも述べている。例えば、運用計画で株式保有比率を60%と設定したが、株価上昇に伴い実際の比率がこれを大きく上回ったとする。その場合は株式保有比率を60%まで落とし、株式売却で得た現金を他に振り向けることになる。

一方、イントレピッド・キャピタル・ファンドの運用責任者であるマーク・トラビス氏は、市況に関係なく株式や投資信託に毎月一定額を投資する「ドルコスト平均法」とは逆の取引を提案している。つまり、相場が上昇するなか一定規模の資産を毎月機械的に売却し、現金化を徐々に進めていくというものだ。

トラビス氏は、同ファンドの資産配分を徐々に変え、市場のバリュエーション動向に応じて現金比率を増減させる手法を好む。

3.最適な現金の置き場はどこか?

ブライン・モー・トラストの資産運用ストラテジスト、ポール・ガウディオ氏は2つの場所を提案している。1つは「投資ポートフォリオの中」で、株式・債券の追加取得費用や手数料・税金支払いの原資にするというものだ。ガウディオ氏が運用しているポートフォリオの現金比率は全体の5%以下と控えめだが、一部の顧客向けに現金比率を高めている。現金比率の問題に関しては、2018年1-3月期末ごろに顧客と再び検討する予定だという。

もう1つは「計画的な出費ないし臨時出費に備えた現金をためておく口座」だ。預金口座が1つの選択肢になるが、マネー・マーケット・ファンド(MMF)や短期米国債に現金の一部を振り向けるパターンもあるとガウディオ氏は述べている。

4.現金を株式に再投資する時期をどうやって決めるか?

コンサルティング会社ケイン・アンダーソン・ラドニックのマネジングディレクター、スパッズ・パウエル氏は、相場の調整入り後に再投資する好機かどうかを見極めようとするのではなく、事前に株式購入計画を立てておくべきだと述べている。株価が急落するまで決定を先送りすると、投資家の多くは株価の底入れがまだずっと先だと考えて身動きが取れなくなってしまうからだという。

望ましいのは、「市場の平均株価が一定割合下落したら、ポートフォリオの現金の一定水準を株式に再投資する」という戦略をアドバイザーと共に練っておくことだ。証券口座で運用している場合は、株価が一定水準下がった時点で買えるように「指し値注文」を出す設定をしておくだけで、同じ効果が得られる。

5.誘惑に負けず現金比率を抑えることがもっと簡単にできる投資戦略は?

ブライン・モー・トラストのガウディオ氏は指し値注文について、株式の購入時期を計画する上で役立つばかりか、相場の急激な調整に対するヘッジ機能もあると指摘する。指し値注文を設定しておくと、株式やETFの価格が一定割合ないし一定水準まで下落した場合に自動的に売り注文が出るため、それ以上の損失拡大を抑えられる。

ただそうした売りは、株価が下落直後に急反発すると自滅行為になりかねない点に留意すべきだと同氏は言う。

ケイン・アンダーソン・ラドニックのパウエル氏が採用した解決策は、利払いと配当金から毎月安定的に得られる収入を配分するポートフォリオを策定することだ。そうした定期収入があれば、投資家の一部が抱いている市場への不安を打ち消すのに大いに役立つと同氏は述べている。

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