兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (136) 連続特集・カレー沢薫と「IT用語」(76)ファイアウォール

兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (136) 連続特集・カレー沢薫と「IT用語」(76)ファイアウォール

  • マイナビニュース
  • 更新日:2017/11/20
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今回のテーマは「ファイアウォール」である。

○ファイアウォールと進撃の巨人

今さらかよ、と思ったが、当方今までファイアウォールのことをウイルスバスターなどと同じように「ファイアウォール」というウィルスソフトがあるものだと思っていた。だが、どうやら違う、と今回初めて知った。

今まで、知ったは良いが一生使わないであろうIT用語を学んできたというのに、灯台もと暗しである。マイナンバーを交換するまでの仲になったのに名前は知らない、ぐらいの迂闊さだ。

しかし、ネットでは「お互いの顔も名前も知らないが、性癖だけは熟知しあっている」という関係性がよくあるので、ファイアウォールを知らないというのも割とよくあることなのかもしれない。

では、ファイアウォールとは何か。進撃の巨人で最初にぶっこわされたやつかというと、やはり相手は巨人ではなく、ウイルスとかそういう脅威のようだ。

ファイアウォールとは、あるコンピュータやネットワークと外部ネットワークの境界に設置され、内外の通信を中継・監視し、外部の攻撃から内部を保護するためのソフトウェアや機器、システムなどのこと。原義は「防火壁」であり、外部ネットワークからの攻撃に対する防御を、火事の炎を遮断して延焼を防ぐことになぞらえている。(IT用語辞典 e-wordsより)

つまり、個別の脅威対策ソフトを指すのではなく、そういった物の総称である。理屈としては進撃の巨人と同じで、自分のPC周りに壁を作って、巨人のような脅威が入れなくしてしまおうというわけだ。

ただ、もちろん違いはある。進撃の巨人の壁の場合、巨人以外、例えば安全な上に可愛いおキャット様すらそれに阻まれて入れないという、不敬極まりない事態になってしまっていると思う。

ファイアウォールの場合は、外部の物をすべてシャットアウトするわけではなく、危険な巨人は入れないがおキャット様はかわいいから入れる、と選別し、脅威のみを遮断してくれるのだ。

また、防ぐのは外部の物だけではなく、内部から外部へ出ていくのも防いでくれる。それも嫉妬深い彼女に監禁されて、外部との接触を一切絶たれる、というわけではなく、危険性のある望まない通信を防ぎ、情報流出を避けてくれるというわけだ。

○わざわざ作ってもらった壁をぶちこわす存在

何度も言っているが、「すべてネットにつないでしまえ」のIoT社会がやってくるのだ。つながりまくる、ということは、それだけあらぬものが入ってしまったり出てしまったりする可能性が高まるということである。

ウィルスほか、PCクライシスに遭う原因と言ったら、いまだに怪しいアダルトサイトを見たせいというイメージかもしれないし、もしかしたら今でも原因ランキングの第1位はそれかもしれないが、IoT社会を待たずして、インターネットをまったく見ない人でも被害に遭う可能性はあるのだ。

たとえばUSBメモリの読み込みなど、PCを使う上でインターネット以外でも通信しなければいけないものは思いのほか多く、知らない内に通信して、知らない内にあらぬものを入れたり出したりしてしまっていることもあるのだ。

おそらく、通信する前に「通信しますけどいいですか? 」と注意ぐらいは出ているのかもしれないが、「読まずに『はい」を押す」でおなじみの我々である。アダルトサイトを見た人間が「知らないウィルスに感染した」と主張するのと同じように、「知らない内に通信して知らない内に何かやばいことになってた」と言うに決まっている。

ともかく、人間は注意力がなく、危機意識が低く、さらに過ちを認めないので、人間が知らない内に何か入れたり出したりしているのを、ファイアウォールさんが監視し、ヤバイ時は止めてくれているのである。

よって、PC他通信機器に電源を入れる予定がない、もしくはみかん箱をPCと呼んでいる人以外は、必ずファイアウォールを入れたほうがいい。

もちろん、「何故か自分だけは被害にあわないと確信している」でおなじみの我々である。入れたほうがいいと言われても入れるわけがないので、Windowsには「Windowsファイアウォール」というファイアウォールが標準装備されている。

行き届きすぎじゃないか、と思うが、入れてやらないと「知らない内に何かなってた」でコールセンターがうるさくなるだけなので、お互いの業務円滑のために最初から入っていた方が良いだろう。しかし、それだけ介護されても、まだ我々はわざわざ作ってもらった壁を、自らの手でぶち壊してしまったりするのだ。

例えば、インターネットの海原で、何らかのお宝を見つけ、ダウソしたり、インストールしようとしたりする。するとファイアウォールさんが「船長。それはやばいので開けない方がいいっす、捨てましょう」と止める。

船長はどうするか。ファイアウォールさんの方をだんびらで両断してしまうのである。つまり、お宝が見たくてしょうがないので「自らファイアウォールをオフにする」のだ。

どれだけファイアウォールの性能がよくなってもこれではお手上げである。まず、人間よりファイアウォールの権限を上にして、勝手に止めようとしたら、リアルファイアを出して愚かな人間を焼き払う機能をつけるべきだろう

<作者プロフィール>

カレー沢薫

漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「やわらかい。課長起田総司」(2015年)、「ねこもくわない」(2016年)。コラム集「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年~)、コラム集「ブス図鑑」(2016年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。本連載を文庫化した「もっと負ける技術 カレー沢薫の日常と退廃」は、講談社文庫より絶賛発売中。

「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2017年11月21日(火)掲載予定です。

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