宮原知子「あとはよくなることばかり」。五輪代表を目指す8時間睡眠

宮原知子「あとはよくなることばかり」。五輪代表を目指す8時間睡眠

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  • 更新日:2017/11/13
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11カ月ぶりの試合出場となったNHK杯で日本人最高の5位となった宮原知子

宮原知子にとって、昨年12月の全日本選手権以来、320日ぶりの復帰戦となった今季のグランプリシリーズ(GP)第4戦NHK杯。3連覇を飾った全日本後に左股関節の疲労骨折が判明し、昨季後半戦に出場予定だった四大陸選手権、世界選手権も欠場を余儀なくされた。練習の虫だった19歳は、氷上練習ができない期間も我慢強く治療とリハビリに取り組んで、何とか自身にとっての五輪シーズンのGP初戦に間に合わせてきた。

「特に自分の名前がコールされたときに、いままで以上に声援が大きく聞こえて、やっと自分もこの大きな舞台と仲間たちのもとに戻ってこられた気持ちが大きかったです。自分が想像していたより気持ちよく滑ることができたし、演技は納得していないけど、悪い滑りではなかったと思います。やっとここ(試合に出るところ)までくることができたので、元気で滑っている姿を見せたいと思って演技しました。

復帰戦までを振り返ると、早かったかなと思います。悔しい気持ちはありますが、ひとまずここまで演技ができたので、全日本選手権まで、これからだなと思います」

ショートプロラム(SP)の『SAYURI』では、冒頭に3回転ルッツ+3回転トーループの連続ジャンプを予定していたが、ルッツが回転不足となり、2本目は2回転となった。それ以外のエレメンツは、ステップでレベル3になる取りこぼしがあったものの、しっかりとまとめてみせ、65.05点をマークしての6位発進。本人も濱田美栄コーチも納得の結果となった。

夏のアイスショーで見たときはジャンプがまったく跳べず、宮原本人も言うように「ボロボロだった」印象があった。それが、11カ月ぶりとなる競技会で、しっかりとしたジャンプを跳んでみせただけに、その復調ぶりは喜ばしい。

濱田コーチによると、「NHK杯に出そうかどうか、すごく迷っていた」そうだが、当初考えていた復帰計画スケジュールよりも順調に仕上がっていたことで、出場できると決断したという。それでも、コンディションとしては7割程度の状態だった。

「夏の『THE ICE』のときには結構ボロボロだったので、(それに比べれば)今日は大きなミスなく、何とかジャンプを降りることができたので、そこがほっとしたところです。もっと足が震えたり、大変なことになっちゃうかなと思ったんですけど、思っていたよりは落ち着いて滑れました。特に昨季は力が入りすぎたというか、自分を追い込みすぎるような気持ちになるときがあったんですけど、今季はせっかくここまで来られたから、思い切ってやればいいかなと、去年よりも軽い気持ちで臨むことができています」

予想外にしっかりと結果がついてきたことで、手応えを掴んだのは間違いない。

そして迎えたフリー『蝶々夫人』では、「いまの状態でできることはやり切った」と胸を張ったように、3回転ルッツ+3回転トーループ、2回転アクセル+3回転トーループなど、難度の高い連続ジャンプを跳んでみせて、復調ぶりをアピールした。

ただし、回転不足が2つと、3回転を跳ぶはずだったフリップとサルコウが2回転になる失敗があって、技術点が伸びずに出場選手中7番目の58.23点にとどまった。結局、フリーは126.75点の6位。それでも、演技構成点ではカロリーナ・コストナーとエフゲニア・メドベデワに次ぐ3番目の68.52点を叩き出し、トップ選手に引けを取らない演技の健在ぶりを示すことができた。

「点数よりもフリーの演技はまずまずの感じだなと思うので、(次に)いい演技をすれば点数は上がっていくと思うので頑張りたいです。3回転+3回転がなかなかプログラムに入らなかったのですが、絶対に跳びたいと思っていたので、(跳べて)よかったです。

いまは体調面ではまったく違和感も痛みもなくて、体は元気なので、あとはスケートをもっと上げていくだけかなという感じです。今回の試合で一番よかったのは、本番でもいままでみたいにすごく足が震えて、ということがなくて、いいイメージを持ってスタートが切れたと思います。これからはプログラム全体を滑りきる体力と、細かい部分まで気を配れるようにしていきたいです」

ここまでは疲労骨折の再発に細心の注意を払って、練習量を昨季の7割程度に落としてきた。ジャンプも1日10本に制限して、量より質を重視して取り組んできた。半年近くジャンプを跳ばず、スケーティングやステップ、スピンの強化を図ってきた中で、ジャンプ練習を本格的に始めたのは10月からだという。

だが、先週受けた3回目の血液検査の結果がよく、疲労骨折などの体調不安を払拭できたようで、次戦のスケートアメリカ(11月24日~26日)後の12月からは、追い込んだ練習を組んでいくという。NHK杯の演技内容を見ても、すでにプログラムの滑り込みはできている。ジャンプが復調して、狙い通りのプログラム構成にジャンプを組み込むことができれば、NHK杯で出した191.80点から得点は上積みされるだろう。平昌五輪の代表争いでひとつの目安となる合計200点台をマークすることも十分可能だ。

大会から一夜明けた宮原に、あらためてNHK杯の結果と今後の戦いに向けた手応えを聞いたところ、こう話した。

「今回はもう、できることはできたかなという感じだった。ただ演技には満足はしていないので、しょうがない気持ちです。スケートアメリカに向けて、今回、調子を一段上げることができたので、もっともっと元の状態、それよりも上の状態にもっていけるようにできればいいなと思っています。点数的には、SPは70点で、フリーは140点くらい必要かなと思うので、昨季の自己ベスト(218.33点)を超えられるようにするのが最終目標と思っています。大会を重ねるごとに少しずつ上げていければいいです」

濱田コーチも宮原がようやく戦える状態まできたことを素直に喜ぶ。

「リハビリはきっちりしてきましたが、再発が怖かったので、とにかく慎重に、栄養と睡眠を徹底して、あまり疲れさせないようにしてきました。ジャンプについては、1本1本はまだマシだけど、あの子自身の心理的なことですごく不安があったと思います。練習していないことが不安なので、12月に入ってからもう少し追い込めるかなと思っていますが、あまり焦って再発しても困るので、慎重にしていきたいです。

今回の演技を見て、あとはジャンプをはめ込むだけ。ステップもスピンもうまかった。あとはスピードとパワーがまだちょっとなかった。筋力はまだ7割しか戻っていないのですが、筋力はすぐに戻るので、あと3週間でそこをしっかり戻していきたい。スケートアメリカには、もうちょっと試合として攻撃的にもっていきたいなと思っています。体のほうがよくなってきているので、これからよくなることばかりだと思います」

一方、宮原とタッグを組んで2人3脚で体調面やフィジカル面に取り組んでいる出水慎一トレーナーは、いまの宮原の状態をこう語る。

「疲労骨折の回復具合は、まったく問題がなく大丈夫です。血液検査の結果については、結局、数値が上がらないとまたいつ折れてもおかしくないという状況だったので、練習もすべて制限して、という状態がずっと続いていました。それが先週の血液検査の結果では正常(な数値)になっていました。

私としては”ホップ・ステップ・ジャンプ・着地”というスケジュールで考えています。今回のNHK杯がホップでスケートアメリカがステップ。全日本選手権がジャンプで、それでオリンピックに行けたらオリンピックで着地するという考えです。段階的に上げていき、やっぱり全日本選手権には1回、100パーセントに持っていかないといけないとは思っています」

チーム宮原は、五輪代表最終決定戦となる全日本選手権に照準を合わせ、現在は一度弱った身体を整えながら強化しているところだという。ケガの再発をしないためにも、栄養をしっかりと補給することが第一で、少なくとも8時間の睡眠時間を確保することが大前提だと、出水トレーナーは力説した。

平昌五輪代表入りを目指す宮原は、シニアデビューシーズンだった4年前、ソチ五輪代表まであと一歩のところまで迫りながら、五輪切符を手にできなかった。それだけに今回2度目となる五輪代表レースは負けられない。混戦模様の代表争いに向けて、このNHK杯で参戦準備完了の狼煙(のろし)をあげたと言えるだろう。一時は間に合わないと思われていた宮原が復活してくる可能性は高い。

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