上達の突破口は『木こり』と『ブランコ』!「ザ・ゴルフィングマシーン」の原則から上達を考える【中編】

上達の突破口は『木こり』と『ブランコ』!「ザ・ゴルフィングマシーン」の原則から上達を考える【中編】

  • みんなのゴルフダイジェスト
  • 更新日:2021/11/25
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「ゴルフの科学者」ことブライソン・デシャンボーの「教科書」であり、50年以上も前に米国で発表された書物でありながら、現在でも多くのPGAプレーヤー、また指導者に絶大な影響を与え続ける「ザ・ゴルフィングマシーン」。その解釈に向かい続け、現在はレッスンもおこなう大庭可南太に、上達のために知っておくべきゴルフの原則と練習方法を紹介してもらう。

みなさんこんにちは。「ザ・ゴルフィングマシーン」研究者およびインストラクターの大庭可南太です。前編の記事ではゴルフを上達していくための原則論として、「木こりの三機能」と「ブランコの三原則」を紹介しました。今回は木こりの三機能について深掘りしていきたいと思います。

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「ゴルフの科学者」ことブライソン・デシャンボーの「教科書」であり、50年以上も前に米国で発表された書物でありながら、現在でも多くのPGAプレイヤー、また指導者に絶大な影響を与え続ける「ザ・ゴルフィングマシーン」。その解釈に向かい続け、レッスンを行う大庭可南太から上達のために知っておくべき「原則に沿った考え方」や練習方法を教えてもらおう。

www.golfdigest-minna.jp

「木こりの三機能」とは?

前回もお話しました通り、木こりの三機能とは、オノで効率的に木を切るのに必要な三つの条件のことです。おさらいで具体的に言うと、

【1】オノの刃が正しい角度で入る
【2】毎回同じところにオノの刃が入る
【3】できる限りオノの刃を加速できる

以上の三つになります。これはゴルフスウィングにも同じことが言えて、オノをゴルフクラブに置き換えればそのままよいインパクトのために必要な要素になるんです。

まず【1】のオノの刃の向きですが、これは地面と平行、木に対して垂直の関係になるほうが、エネルギーのロスを減らせます。これが斜めになってしまうと最悪オノの刃が欠けてしまうかも知れません。

そして【1】ができていても、【2】の毎回同じ場所に刃を入れることができていなければ、木のいろんなところにキズがつくだけで木は一向に伐採することができません。さらになるべく早く木を伐採したいのであれば、【3】の先端をできる限り加速することが必要でしょう。

ゴルフで言うなら、インパクト時のフェースの向きが適切(オノの刃が正しい角度で入る)で、毎回同じ場所にヘッドを下ろす(刃を入れる)ことができ、ヘッドが加速している(オノの刃を加速できている)状態でインパクトすること。全部当たり前のことですが、これら三つが「同時に」達成できていることが重要です。

では難解なことで有名な「ザ・ゴルフィングマシーン」では木こりの三機能をそれぞれどのように表現しているかというと、

【1】フラットレフトリスト(インパクトで左手首は背屈しない)
【2】プレーンライン(ボールに当たる平面上にクラブシャフトを動かす)
【3】クラブヘッドラグ(クラブヘッドの遅れを活用して加速を行う)

の三つを「ゴルファーの基本的責務」としています。

まず【1】のフラットレフトリストですが、写真Aの成田美寿々選手のドライバースウィングを見てみると、左手首がほぼ真っすぐになっていることがおわかりでしょうか。ゴルフクラブにはそもそも番手ごとに異なるロフトがついていますが、そのロフトを有効に活用するには、インパクトを左手首が真っすぐな(あるいはやや掌屈した)状態で迎えることが必要なのです。そうすることによって自然にいわゆる「ハンドファースト」の状態にもなります。

写真A:成田美寿々のドライバースウィング。左手首は背屈せず、ほぼ真っすぐな状態になっていることがわかる(写真は2021年のTポイント×ENEOSゴルフトーナメント 撮影/大澤進二)

逆にこれができていない状態をフリップなどと言いますが、写真Bのようにインパクトまでに左手首が背屈してしまうと狙い通りのロフト角にならないだけではなく、エネルギー効率も悪くなり、さらには手前の地面を叩く(ダフる)といったことも起きやすくなります。

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写真B:左手首が背屈してしまうと、ロフト角も適切にならずダフリのミスの原因にもなる(撮影/姉崎正)

次に【2】のプレーンラインについて。クラブヘッドをボールにコンタクトできる位置に振ってくるための考え方として、そもそも腕やクラブの長さが変わらず、またスウィングの中心軸がブレないのなら、ボールに当たる平面上をクラブシャフトが動いてくれば必ずボールに当たるはずです。つまり毎回同じ場所にヘッドを入れられる根拠があるということになります。

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ザ・ゴルフィングマシーンにおけるプレーンラインとは、腕の長さ・クラブの長さが変わらずスウィングの中心軸もブレない前提であれば、ボールに当たる平面上(赤線)でシャフトを動かせばヘッドは必ず同じ場所にコンタクトできる、という考え方(撮影/姉崎正)

最後の【3】クラブヘッドラグですが、クラブを振る際、その先端であるクラブヘッドには多かれ少なかれ「遅れ」が発生します。ゴルフクラブは野球のバットや、テニスラケットと比較しても、ヘッドの重量配分が大きい道具です。それをバックスウィングからダウンスウィングに切り返そうとすると、クラブヘッド重量の慣性でヘッドがその場に留まろうとする力が発生します。

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切り返しで発生するクラブヘッドの遅れ=ラグがヘッドの加速に影響を与える(写真は2021年のTポイント×ENEOSゴルフトーナメント 撮影/大澤進二)

この「遅れ」のことを、ゴルフ英語では「ラグ(LAG)」と呼んでいて、欧米のレッスンではありふれた単語です。このラグをどのよう保持し、インパクトでエネルギーとして放出するかが、ヘッドの加速、ひいては飛距離に直結します。逆にこのラグの量を意図的に減らすことで飛距離の調節も可能になります。

ザ・ゴルフィングマシーンではこのラグの管理をとても重視していまして、インストラクター同士のあいだでは「Sustain The Lag!」(ラグを保ち続けよう!)という合い言葉がメールの結びとして使われているそうです。

私のレッスンでは、つねに生徒さんがこの三つの機能をどの程度のレベルで達成できているかと、そのバランスを確認することから始まります。この三つがすべて完璧ということはほぼありません。

再三申し上げているように、これら三つは「同時に」達成できていなければいけません。たとえばヘッドスピードが50m/s以上だとしても、フェースの向きもボールコンタクトもバラバラだとすると、ご本人にもケガのリスクが高くなるでしょうし、周りの人もボールを探すのが大変です。

そしてこの「木こりの三機能」を達成するための条件となるのが、「ブランコの三原則」になります。つまり「三機能」が達成できていない原因として、「三原則」が守られていない可能性があるのです。後編では「ブランコの三原則」についてより詳しく解説をしていきます。

※後編は2021年12月2日(木)6時30分公開予定です。

大庭可南太

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