50代転職「年収維持」にこだわらないのが幸せな訳

50代転職「年収維持」にこだわらないのが幸せな訳

  • 東洋経済オンライン
  • 更新日:2023/01/25
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元の仕事とおなじくらいの年収を求めてしまいがちですが……(写真:ijeab/PIXTA)

これまで1万人超の採用・昇降格面接、管理職・階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席し、アドバイスを行ってきた人事コンサルタント・西尾太氏による連載「人事の超プロが教える、リストラ時代を生き抜く戦略」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けする。

50代の転職では、何を軸にするか改めて考える

リストラに怯えながら働くより、転職や独立などの準備を進めよう。希望退職などでプレミアムな条件を出されたら、退職して新しい人生をスタートさせましょう。

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アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です

この連載では、そんな提案をしてきました。

今回は、転職先を選ぶときの重要なポイントについてお伝えしたいと思います。

50代の転職で忘れてはいけないのは、何を「軸」にするのかを改めて考えることです。職種なのか、待遇なのか、会社なのか、忙しいのか、忙しくないのか。何を基準とするかによって、転職先も今後の人生も変わってきます。

希望する仕事で、年収アップもして、プライベートも充実させる。もちろんそんな転職ができれば理想的ですが、50代に限らず、すべてを満たすような転職はそうそうできるものではありません。

なぜなら、転職側と企業側のニーズが100%マッチすることはまずないからです。転職したら、年収は下がるのが一般的。年収を維持できたら幸せですが、おそらく今より高度な仕事を求められます。となれば当然、仕事は忙しくなり、プライベートを充実させるのは難しくなるでしょう。

逆にプライベートの充実を求めるとしたら、年収維持どころか、お給料が大幅に下がるかもしれません。ポジションも低くなるかもしれません。

高年収を得るためには、永続的に新たな知識を吸収し、幅広い人脈を作り、つねに時代の動向に敏感でいることが当然とされます。極端にいえば、オンオフの区別もなく、24時間、プライベートの時間でも仕事について考え続けることも想定しておかないと、過酷なサバイバルを勝ち残ることはできません。

何かを得るためには、何かを失う覚悟が必要です。仕事か、お金か、プライベートか。自分にとって大切なのは何か、改めて考えてみてください。

仕事か、お金か、あるいは会社か

仕事を軸にする場合は、自分の売りを改めて考えることが重要です。営業力があるのか、企画力があるのか、マーケティング力があるのか、経理が強いのか、人事総務が強いのか、技術力があるのか。自分の強みの延長線上で転職できれば、年収もこれまでと近いものが見込めるかもしれません。

そのためには、自分のスキルが他社でも通用するのかを知っておくことが大事です。人材紹介会社や顧問のマッチングサービスに登録したり、副業可能ならタダでもいいので他社の仕事を手伝って自分の市場価値を確かめておくことをおすすめします。

お金を軸にするのは、私はあまりおすすめできません。役員クラスでも部長クラスでも、年収アップを目的に転職すると失敗する確率が高いです。1割5分から2割くらいの年収ダウンを想定して、「今は1200万もらっていますけど、900万ぐらいもらえれば大丈夫です」などと言って、自分のやりたいことをアピールすべきです。

年収は一時的に下がっても、転職先で評価されれば、あとで上げることもできます。転職するときは、目先のお金にとらわれないことが重要です。

「風通しのよさ」や「意見が何でも言える」といった、会社の雰囲気や社風を軸にしたい人もいるでしょう。この場合も年収維持は難しいかもしれません。

ただし、経営の意思決定に近いところを担う人であれば、会社の魅力や意思決定のプロセス、社長がどのような人物なのかを軸にして、転職先を選ぶのもありでしょう。業績アップに貢献できれば、年収アップの可能性もあります。

「自分の時間を充実させる」という選択肢はありか?

自分の時間の充実させたい、ワークライフバランスを大事にしたい。そういう希望を持っている人もいますよね。それはそれで、ありだと思います。

50代になると、子どもが成人して社会人として独立したり、住宅ローンを完済したりして、それほど多くのお金は必要ないという人もいるでしょう。ブラックな会社を辞めて、もっとラクな仕事をしたいと考えている人もいるかもしれません。

年収が下がったり、仕事のやりがいは減るかもしれませんが、プライベートの充実を軸にするのも、考え方の1つだと思います。

この場合は、正社員になるのは難しいかもしれません。しかし契約社員として働いたり、週2・週3勤務の顧問として働いたり、業務委託で営業支援をしたり、専門職のフリーランスとして複数の会社の仕事と契約をするといった選択肢もあります。

最近は、働き方が多様化しています。正社員や年収維持にこだわらなければ、やりたい仕事をすることも、自分の時間を充実させることも可能です。

将来に備えて、田舎に土地を買って農業を始めて、足りない収入は兼業でまかなう。そんな働き方もいいのではないでしょうか。

50代で新しいことを始めても、一流になることは可能

仕事を軸にするにしても、プライベートを軸にするとしても、考えておきたいのは、定年後の働き方です。

私たちの世代は、60歳を過ぎても、あと10年、20年と働くことになるかもしれません。50代は、そのための準備期間として有意義に過ごすことが大事です。

自分には特別なスキルも経験もない。ボーッとしたまま50代になってしまった。今さら頑張っても遅い。そんなふうに思っている人もいるかもしれませんが、あきらめてしまうのはまだ早いです。私たち50代には、まだまだ多くの時間があります。

「1万時間の法則」というのをご存じでしょうか。仕事でも勉強でも、あることを1万時間やれば、その分野のエキスパートになれるという考え方です。

1日3時間、何かに取り組み、年間365日10年間続ければ、1万時間を超えます。

50歳から新しいことを始めても、60歳で何らかのエキスパートになれるのです。

また、50代になれば、これまでやってきた仕事は1万時間を超えているでしょう。すでに一流の粋に達しているわけですから、そこに新たな領域を加えれば、これは強いです。60代、70代を生き抜く新しいスキルを身につけることは十分可能です。

そのために、「自分の時間を充実させる」という選択をするのも大いにありだと思います。転職先を選ぶときは、こうした考え方も取り入れてみてはいかがでしょうか。

50代は人生の終わり、あとは余生を過ごすだけ……。そんな考え方をしているとしたら、もったいないです。私たちの人生は、まだまだこれからです。50代からの1万時間を大切に過ごして、充実した60代、70代を過ごせる選択をしましょう。

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(アルファポリスビジネス編集部)

アルファポリスビジネス編集部

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