『#山崎実業』の不思議 「勝手にバズる」商品のカラクリ

『#山崎実業』の不思議 「勝手にバズる」商品のカラクリ

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2020/09/17
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「ステイホーム」で自宅にいる時間が長くなり、「室内をより快適な空間にしたい」と考える人も多いだろう。

テレビのリモコンの置き場所やキッチンの細々とした調味料の整理、便利だがデザイン性に欠ける収納スペースなど......。こうした「室内のちょっとした不具合」を改善していくことで、より充実した在宅生活を送ることができる。

創業60年以上のインテリア雑貨専門メーカー、山崎実業では、暮らしの中のちょっとしたモヤモヤを解消する、機能とデザイン性を兼ね備えたアイテムを取り揃えている。特に同社が生み出した商品シリーズの一つである「tower」は、無駄を省いたコンパクトな設計とスタイリッシュなデザインで人気が高い。

だが、山崎実業が本当にすごいのは、「ユーザーが本来の使い方だけでなく、『アレンジ』を加えることでその商品の利便性を見出し、人気を博している」点である。

ユーザーのアイデアによる「利便性」の増やし方

「ユーザーが商品に『アレンジ』を加える」とは、一体どういうことなのか。

山崎実業の商品を愛用しているユーザーたちがSNSに上げた、いくつかの例を紹介する。

この投稿をInstagramで見るめちゃくちゃ便利です ○水切り ○ゴミ箱 ○切った野菜や お肉の小分け冷凍に 何通りも使えて しかも場所を取らずに しまえます。 うちは毎日使うので すぐ手の届くところに。 お友達のおうちに 訪問するたび プレゼントしたいレベル。笑 1枚目の画像は お借りしました‍♀️ #山崎実業 #tower #towerシリーズ #ポリ袋エコホルダー #台所道具 #省スペース #使い道 #何通りも #勝手にオススメ #おうちがすき #ゆっくりおうち時間 #整理収納アドバイザー準1級Ayumi.M/おうちのこと。(@pianissimo1222)がシェアした投稿 - 2020年 9月月1日午前12時02分PDT

同社の人気商品である、こちらの「ポリ袋エコホルダー」は、元々は生ゴミ入れとして使用する目的で生み出されたアイテムである。しかし、こちらのユーザーは趣向を変えて、食器の水切りや野菜の小分け冷凍の下処理をする際にも、このホルダーを活用している(上記インスタグラムの投稿写真をスクロールすると、その他の使い方も見ることができる)。

この商品は他にも、鍋やフライパンのふた置きとして使用したり、子供が食べるおやつの袋や工作の紙くず入れとして使用したりと、ユーザーによってさまざまな用途が生み出されている。

この投稿をInstagramで見る今更かなとも思いましたが 小学5年生の末っ子部屋に 理想的なランドセルスタンドをお迎えしました . 今までなかなかランドセルの良い収納位置を確保できず ここにキャスター付きの台を置いていましたが 左のクローゼットを開ける時に扉が当たるので そのつど台を移動 でもこれなら移動せず掛けたまま となりのクローゼットを開けられた しかも掛けたままランドセルの中身を出し入れ出来る . フックが他に5ヶ所ついてるので 手提げや羽織っていた上着なども 帰ってきたら まとめてすぐここへ掛けれる . 試しに長男の中学生の時のカバンを掛けてみました(pic) 何の問題もなく中学生になっても使えそう もっとはやく出逢いたかった~ . . . #ランドセルスタンド #楽天roomに載せてます から #こども部屋 #勉強部屋 #末っ子部屋 #インテリア #整理整頓 #ランドセル収納 #山崎実業 #yamazaki #smart #暮らし #暮らしの記録 #子どものいる暮らし #暮らしを整える #暮らしを楽しむ #日々のこと #シンプルに暮らす #シンプル #ミニマル #シンプルライフ #シンプルホーム #simplelifeSHINO(@colors3mamahome)がシェアした投稿 - 2018年 7月月18日午前1時11分PDT

こちらの「ランドセルスタンド」という商品は、その名の通りランドセルをかけておくためのスタンドである。しかしこちらのユーザーは、中学生用のカバンをかけることによって、子どもがランドセルを使用しなくなった後でも使い道があることを証明した(上記インスタグラムの投稿写真をスクロールすると、「ランドセルスタンド」として以外の使い方を見ることができる)。

この商品には、上部のハンガーの他に5つのフックが付いており、最大で7つの物をかけることができる。子ども部屋の他にも玄関に置いて、来客時や帰宅時の一時的な荷物置き場として使用しているユーザーもいるようだ。

シンクの水切りラックを新調!

折りたたみ式がこんなに手入れがラクでコンパクトって知らなかった

ちなみに隙間が大きいのは1本抜いてるから。ペットボトルを挿すためです

背景でチョロチョロしてるのは息子です#tower#水切りラック#山崎実業pic.twitter.com/rjLZSVOksl— mujikko無印良品と便利グッズが好き (@terumina22)August 27, 2020こちらの「折り畳み水切りラック」は、シンクの端にこのラックをかけることにより、食器の水切りができるというもの。使わないときは巻いて収納することで、限られたシンクの場所を取らない。ちなみにこのユーザーは、ラックのスティックを一本抜き隙間を広くすることにより、その隙間にペットボトルを挿して水切りできるよう工夫している。

「ユーザーの勝手な工夫」は偶然の産物か

こうした山崎実業で起きたような「ユーザーの勝手な工夫」により商品が拡散されていく現象は、SNSの普及により消費者一人ひとりが拡散力、情報収集力を持つようになったことで生じるようになった。

それまで消費者は、テレビのCMや広告で見る企業側からの一方的な情報や、実際に店舗に行き、目で見て確かめることなどでしか商品を選ぶことができなかった。

たくさんの消費者の目を通して「商品」を見ることができるようになった今、利害関係や損得感情が発生してしまう「生産者から発せられる情報」よりも、消費者目線でかつ多くの人が話題にしている情報の方が、信憑性や信頼は増すだろう。

山崎実業で起きた現象は、このような人間の心理やバズマーケティングの手法が上手く噛み合って成功した事例だといえる。

しかし重要なのは、「こうした事例はただの偶然の産物で、どんな商品でも運が良ければ起こりうる」というわけでは必ずしもないということだ。

実は同社の商品の場合、「使っているうちにふとした瞬間思いつく新しいアイデア」が生まれやすいのだ。

ユーザー1人ひとりにカスタマイズした商品をデザインすることはメーカーにはなかなか難しい。代わりに、ユーザーが自身のアイデアで使ってくれれば利便性は高くなり、満足感につながる。また「自分で使い道を思いついた」という爽快感もある。こうした要因が、もともとの商品への親しみや共感につながっていくのだろう。そして、それこそがユーザーの「山崎実業」というブランドへのエンゲージメントを高めているのではないか。

「自ら新しい価値を生み出す」ことの価値

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Getty Images

ではそもそもなぜ人々は、在る商品を本来の用途で使用するだけでは満足せず、そこからさらに新しいモノを生み出そうとしているのか。

インターネットの普及により、あらゆる情報や娯楽が無料で手に入るようになってから久しい。そんな中、手軽に次々と手に入る新しい情報や娯楽への飽くなき欲求のとりことなり、「ただの消費者」として生きていくことしかできなくなる人が増えていくと懸念されてきた。

しかし、山崎実業の例を見ると、「自分で何か新しいものを生み出す」という行為への欲求や、そうした行為に価値を見出す人も増えてきているように見える。

自ら創造せずとも十分な生活ができる現代において、多くの企業は、山崎実業が生み出す商品のように、「消費しながら創造できる」ツールによって消費者の新たな欲求を満たしていくことが求められるのかもしれない。

(サムネイル:Amazon Japan)

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