薬局と介護事業者が活用例を披露!LINE WORKSは地域包括ケアにどう貢献できるのか?

薬局と介護事業者が活用例を披露!LINE WORKSは地域包括ケアにどう貢献できるのか?

  • ASCII.jp
  • 更新日:2020/09/15

2020年8月6日、ワークスモバイルジャパンは、薬局経営者と介護事業者をゲストに招き、LINE WORKSを用いた医療・介護業界での情報連携をテーマにしたトークライブを開催した。社内でのコミュニケーションに加え、病院や往診医師など外部の医療機関とつながることで、果たしてどのようなメリットを得られたのか? 具体的な活用方法も含め、今回も役立つ経験談が満載だった。

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情報格差や従業員満足度の向上を目指し、LINE WORKSを導入

「会えなくても仕事が進む! Episode2 LINE WORKSではじめる!地域包括ケア時代の情報連携」と題された今回のトークライブは、医療・介護業界での情報共有とLINE WORKSの具体的な使いこなしが大きなテーマとなった。

1人目のゲストは大阪府茨木市で「アクア薬局」を経営する株式会社GIFTEDの加藤信幸氏だ。自身も薬剤師で、店舗での処方箋調剤業務のほか、地域の約100名の在宅療養支援に当たっているとのことで、いわば「走り回る薬剤師」と言えよう。

2人目のゲストは医療法人社団 健育会 ひまわり在宅サポートグループの若林陽盛氏だ。ひまわり在宅サポートグループは宮城県の石巻市で約1500名の訪問看護や居宅介護支援を手がけており、若林氏はグループ全体のマネジメントを担当している。自身もヘルパーや障害者就労支援員として勤務した経験を持つ社会福祉士であり、「ES(従業員満足度)なくしてCS(顧客満足度)なし」をモットーに働きやすい環境作りに腐心している。

次にLINE WORKSの導入状況だが、両者とも薬局や施設内の社内でのコミュニケーションに加え、薬局や病院など外部機関とのやりとりにも使っている点は共通している。利用期間が1年以上と比較的長い点も同じだ。一方で、アクア薬局が2店舗・20名なのに対し、ひまわり在宅サポートグループは9事業所・約170名と導入規模が大きい。LINE WORKSにはフリープランもあるが、2社とも情報管理等の理由から有償のライトプランを利用している。

まずはLINE WORKS導入に至る経緯を聞いた。

アクア薬局はもともと社内のやりとりにアナログな「連絡ノート」を使っていたが、従業員が増えるにつれ、パートと正社員の情報格差が生まれてしまったという。また、女性の従業員も多いため、出勤日や勤務時間の差によって、情報共有や引き継ぎもうまくいってなかった。「LINEを使ってやりとりをしていたが、仕事とプライベートの境目があいまいになってしまうという問題がありました」と加藤氏は振り返る。そんな中、外部の病院からの連絡手段にLINE WORKSが導入されたことを機に、LINEからの代替ツールとしての利便性を感じ、自社導入したという経緯だ。

訪問事業をメインにしているひまわり在宅サポートグループの場合、看護師やヘルパーが気軽に相談できる環境になかったのが問題だった。「訪問先での報告・連絡・相談がうまくできず、従業員の満足度調査でもどうしても精神的な不安が見うけられた。これを解消すべくビジネスチャットの導入を検討することにしました」と若林氏は語る。情報管理の重要性も踏まえ、さまざまなツールを試用する中、LINE WORKSに決めたのは、LINEゆずりのユーザーインターフェイスと「LINEとつながる」外部連携のやりやすさが大きなポイントだったという。

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情報共有の方針に問題を抱えていたひまわり在宅サポートグループ

リテラシが低いと決めつけない モチベーションがあれば使う

アクア薬局では、薬剤師や事務員など職種ごと、あるいは所属店舗や患者訪問などの業務ごとにトークグループを作成し、コミュニケ―ションをとったり、カレンダーで訪問履歴などを記録している。また、LINEにはない機能として、カレンダーのほかに、社員への一斉周知に便利なホーム(掲示板機能)を活用している。最近では、製薬会社等から紙で届く最新の薬剤情報やウェビナー情報をオンラインで共有している。自ずと情報の蓄積になり、あとからキーワード検索できる点が便利とのこと。「コロナウイルスの影響で製薬会社の方が薬局に訪問して、新製品の情報を教えてくれることも減ったので、こうした情報共有は助かっています」(加藤氏)。

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カレンダーには訪問履歴がびっしり埋まっている(アクア薬局)

ひまわり在宅サポートグループでは、LINE WORKSのトークを使い訪問看護のメンバー同士で患者情報をテキストと写真で共有している。また、掲示板を使って、従業員に対して事務連絡を行なっている。「新しい職員が入ってきても事務所が違うと会わないことも多いし、事務所同士も距離が離れているので、掲示板を使って社内の情報を共有しています」と若林氏は語る。

ちなみにひまわり在宅サポートグループでLINE WORKSが一気に浸透したのは、実はこれまたLINEにはない、アンケート機能だったという。「新しいユニフォームを決めるとき、今まではサンプルをとりよせて、それを各事務所に回して決めていたのですが、アンケート機能を使えばすぐに決められました」(若林氏)。全員の参加を促す運用が、導入初期のコツといえるだろう。

一般的に医療業界は紙が多く、業務もアナログで、IT化が遅れているというイメージもある。これに関して若林氏は、「確かに高齢の方が多いので、ITに弱いというイメージももたれがちだし、本人もそう思っている節がありますが、私は全然そんなこと思っていません。モチベーションがあれば、みなさんきちんと使ってくれる。少なくともLINE WORKSであれば、リテラシはあまり意識しなくても使えたという印象があります」と語る。また、紙ベースで行なわれる実施指導や監査などの書類もLINE WORKSで管理することで、かなりの効率化が図れているという。

加藤氏も「実際に紙は多いです。処方箋も紙ですし、訪問時の報告書も文書で提供しますし、紙で渡すのが法律で決まっています。でも、その裏側で行なわれるやりとりに関してはLINE WORKSで済ませることができます」ワークスモバイルジャパンの篠田麻実氏も、「日報や報告書をLINE WORKSのトークやノート機能に置き換え効率化を進める現場は増えている」と語る。

地域包括ケアのための外部連携をLINE WORKSで実現

さて、次は今回のメインディッシュとも言える社外連携がテーマだ。超高齢化社会の中でお年寄りが住み慣れた場所で人生をまっとうできるよう、さまざまな事業者や行政が連携する「地域包括ケア」をLINE WORKSでどのように実現しているか、参加者の関心が高いテーマだ。

LINE WORKSでは社外のLINE WORKSユーザーともトークグループを組むことができ、外部業者と容易に連携が行なえる。相手が初めてLINE WORKSを使う場合でも、使用感がLINEと変わらないため、いちいち使い方を教えたりする必要が無いのが大きなメリットだ。

石巻市のひまわり在宅サポートグループの居宅介護支援事業所は同じグループの石巻健育会病院と隣り合っており、密接に連携している。「いまの病院は入院期間がどんどん短くなっているので、早く退院してもらうためには、病院側もわれわれのような介護事業者をスピーディに決めなければなりません」と若林氏は課題を語る。こうした病院の連携室とケアマネージャーとの連携は、今まで電話や来社で行なわれていたが、ケアマネージャーは外にいることが多いので、決まるまでには時間がかかっていた。しかし、LINE WORKSを使うことで、病院とひまわり在宅サポートグループのケアマネージャーがリアルタイムにやりとりすることで、入退室の調整がスピーディになったという。

ひまわり在宅サポートグループは病院のみならず、他の介護事業者や看護学校、行政、利用者や家族など、社外とのやりとりを積極的に進めている。「うちはLINE WORKS、患者さまはLINEを使って、訪問の休みなどをお伝えしています」(若林氏)とのことでLINEとの連携機能がここで活きている。

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ひまわり在宅サポートグループの外部連携

アクア薬局は往診のクリニックと外部連携し、処方箋の内容を医師に問い合わせるいわゆる「疑義照会」をオンライン化している。通常、薬剤師は処方箋と薬剤服用歴を見て、患者の病状の変化を読み取ったりするが、LINE WORKSで気になった点を気軽に問い合わせることができる。「医師も往診で忙しいので、電話に出られないこともことも多い。でも、LINE WORKSであれば、問い合わせを投げておいて、あとから回答をいただけます」(加藤氏)。

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薬局と医師がリアルタイムにやりとりできる(アクア薬局)

また、アクア薬局の薬剤師と看護師の方々との連携もLINE WORKSで行なっているという。「薬剤師は月に1~2回しか訪問しないけど、看護師の方々はもっと頻回に訪問していることも多いので、患者さんの体調変化などを共有してもらい、次回の訪問に活かすことができています」と加藤氏は語る。

さらにアクア薬局では訪問業務の緊急時対応にもLINE WORKSが活用されている。加藤氏は、「がん末期の患者さんで余命幾ばくもないといった場合は、緊急時の対応が必要になるケースがあります。緊急時に対応するため薬剤師が電話機を持っているのですが、緊張感からしっかり休めないことも多かった」と課題を語る。しかし、医師と薬剤師がLINE WORKSでつながることで、急ぎか急がないのか、どのような準備が必要かなどが正確に伝えられるようになった。

しかも、薬剤師全員が同じグループでトークを見ているため、一人の薬剤師にプレッシャーが集まることなく、チームで対応できるようになったことも大きい。加藤氏は、「急に痛みが悪化したので薬が必要という患者さまもいますので、スピードは重要。ほかの薬剤師が対応することで、2~3時間かかるところが、30分で済んだということはよくあります」と導入効果を語る。

自分たちで使いこなし、成功体験を連携先に共有していく

個人の仕事がチームワークになり、さらに外部を巻き込んで、連携する価値は大きい。若林氏は、「一人の患者さんを病院、介護事業者、薬局、行政などがさまざまな形で支えるのが地域包括ケアのコンセプト。LINE WORKSを使っていろいろな事業者がつながって、チームとしてこれを実現できるのであれば、こんなに素晴らしいことはないです」と語る。

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「LINE WORKSを使っていろいろな事業者がつながって、チームとしてこれを実現できるのであれば、こんなに素晴らしいことはないです」(画面左下・若林氏)

加藤氏も「1つの情報を発信すれば、社内にも、社外にもつながるという楽さは感じている。薬剤師は女性が多いので、午前中しか勤務できない方でも、在宅できちんと情報共有できています」と語る。

もちろん、せっかくいいツールがあるとは言え、組織も考え方も違う外部の業者を巻き込むのは難しそうに思える。これに関して若林氏は、「連携している石巻健育会病院で同じくマネジメントを担当している方が、ジャニーさんみたいな感じで『いいじゃん、ユー、やっちゃいなよ』みたいなノリでやらせてくれました(笑)。うちで使って成功した経験を説明して、オススメしたところフリープランから始めたという他の施設もあります」と体験談を語る。まずは自分たちで使いこなし、得た成功体験を他の事業者に伝搬させながら巻き込んでいくことが、連携の輪を広げる鍵と言えそうだ。

一方、加藤氏はLINE WORKSの導入自体が、他の往診医に招待を受けたことがきっかけなので、そもそも巻き込まれた側。加藤氏は、「医師のグループに招待してもらったことで、今まで知らなかった情報を知ることができるようになった。薬局に来なくなった患者さんが実は入院していたといった情報を知ることができ、自分の不安を解消できた」と感想を述べる。もちろん、薬局側からも情報を共有し、相互にお願いしあう関係を作ったことで、外部でありながら、1つのチームとして信頼感を醸成できたと言える。

そして情報連携で、もう1つのポイントだと思ったのが、LINE WORKSの「グループ」機能だ。LINE WORKSでは、部署やプロジェクトはもちろん、顧客や取引先を入れたチームや特定トピックでグループも可能なので、目的や役割にあわせて自由にトークグループを構成できる。

アクア薬局では全従業員、訪問チーム、店舗チーム、スケジュール管理用などのグループを作ってやりとりしている。「グループごとに通知方法を変えられるので、従業員が重要度に応じて、通知の設定を変えている」(加藤氏)という。ひまわり在宅サポートグループでは、事務所ごと、役職ごと、委員会ごとで目的にあったグループを構成しているという。「私は扁桃腺が弱いので、『チーム扁桃腺』というグループを作って、扁桃腺の情報も共有しています(笑)」(若林氏)とのこと。

加藤氏は、外部機関とやりとりする際の注意点として、言葉の定義の違いなどを意識したわかりやすい表現が必要だと指摘した。いくら同じトークでつながっても、組織外の人とのやりとりの場合は、コミュニケーションの仕方に一定の配慮が必要ということは学ぶべきことだろう。

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写真を使うことで、わかりやすく相手に伝わるのもメリット(アクア薬局)

コロナ禍を経て、患者を守る情報連携に必要なこと

最後のテーマは今後の情報連携について。まずはコロナ渦においてのLINE WORKSの活用について聞いた。

ひまわり在宅サポートグループは、3月末からなるべく事務所に立ち寄らず、ケアマネージャーも分散して業務をするようにしていたが、「LINE WORKSがあったため、情報共有で困ったことはなかった」(若林氏)という。トーク数も1日約1000件から1300件と一気に増えたということで、従来の口頭のやりとりがそのままLINE WORKSに移行したことがうかがえる。

アクア薬局は店舗への来客数が若干減ったが、訪問件数は逆に増えた。「病院が面会禁止になり、急遽退院してくる患者が増えたので、訪問数は増えました」(加藤氏)。そんな中、女性が多い職場ということで、保育園が休業になって出社できない従業員も多かったが、「LINE WORKSですばやくフォローし合うことができ、コミュニケーションも増えた」(加藤氏)とのこと。まさに「会えなくても仕事が進む!現場が見える」というLINE WORKSが掲げるメッセージ通りのワークスタイルを実現していると言えよう。

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「LINE WORKSですばやくフォローし合うことができ、コミュニケーションも増えた」(画面右下・加藤氏)

今後の情報連携の可能性に関しては、若林氏は、「病床の空き状況などをLINE WORKSでみんなが共有できれば、対応スピードはもっと上げられます。とはいえ、他の事業者だとツールが違うという壁があるため、他社のツールとつながれる環境ができれば、連携はより促進されるのでないか」と語る。加藤氏は、「往診の医師や薬局といった業界内のつながりだけではなく、患者さんのLINEともつながる若林氏の活用法は大変参考になる」と期待を寄せる。コロナ渦の影響でオンライン診療も前進しているので、患者の不安感を払拭できるコミュニケーション環境が実現できると考えられるだろう。

最後、医療関係者の多い参加者に対してのメッセージを求められた若林氏は、「実地指導や監査などはいまだに紙だし、印鑑を押したりと言った事務作業が発生して、疲弊しているところも多いと思います。でも、LINE WORKSを使うことで、われわれは負荷を軽減できたので、宣伝っぽいですけど、使ってみるといいなと思います」と語る。

加藤氏は、「ソーシャルディスタンスが求められ、人と面と向かって対話するのが難しくなっているが、チャットツールを使うことで人と対話でき、障壁もゼロにできる。他職種の人たちとよりよい形で患者をサポートできるはず」と語りかけた。

患者や従業員の不安を取りのぞき、組織をまたいだ連携が実現する

介護事業者と薬局という組み合わせで医療業界の情報連携について語ってもらった今回のトークライブだったが、予想以上に使い込んでいることにまず驚いた。トークを使った社内での日常的なコミュニケーションはもとより、スケジュールや掲示板(ホーム)なども根付いているようだ。特にアクア薬局の「薬剤情報の共有」やひまわり在宅サポートグループの「アンケート機能の活用」は、すぐにまねできる使い方だと思った。

そして、主題だった外部との情報連携も、患者や従業員の不安軽減や対応のスピードアップを実現し、組織を横断したチームを構成するのに、LINE WORKSが有効なツールであることが理解できた。今後、LINEとつながるLINE WORKSの強みを活かし、患者と直接つながれる環境が実現できれば、患者を心身ともケアできるよりよい医療が実現できるに違いない。

参加者からは個人情報の扱いや導入~浸透期の工夫に関する質問が届き、関心の高さが伺えた本イベント。こちらは後日、LINE WORKSのユーザーコミュニティで勉強会が開催された。具体的な運用のコツを学びたい読者は無料で参加できる「LWUG(えるわぐ)」の登録もおすすめだ。

ワークスモバイルジャパンでは今後もITとほど遠い世界の働き方を変えるべく、さまざまなイベントを予定している。次回の「オンライントークライブ-会えなくても仕事は進む Episode 3」は、ダスキン草加をゲストに迎えて「サービス業界のITツール導入」をテーマに語り合う。2020年9月24日(木)の17時30分から開催。Peatixにてすでに参加者を募集中なので、ぜひ参加してもらいたい。

【9/24(木)無料オンラインライブ】ダスキン草加に学ぶ!サービス業界のITツール導入の道のりと活用法

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参加登録はこちらから(Peatixのイベント登録ページに遷移します)

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大谷イビサ 編集●ASCII

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