
綱啓永(写真=池村隆司)
2022年放送のTBSドラマ『君の花になる』(TBS系)で8LOOMのメンバーの一人として輝きを放ち注目を集めた綱啓永。その勢いそのままに、2023年は途切れることなく連続ドラマに出演を果たし、11月21日から放送が開始されるTBSドラマストリーム『恋愛のすゝめ』でついに連続ドラマ単独初主演を務める。
参考:
最初に公開されたビジュアルでは綱とは分からないぐらいの「黒髪にメガネ」という、これまで演じてきたキャラクターとは真逆の人物に。主演として、どんな思いで撮影に臨んだのか。じっくりと話を聞いた。(編集部)
●言動一つ一つに熱を込めて
――『恋愛のすゝめ』で連続ドラマ単独初主演に決まった時の気持ちを聞かせてください。
綱啓永(以下、綱):最初に主演をやると聞いた時には、びっくりしたのを覚えています。すごく嬉しかったし、「ドラマストリーム」という素敵な枠でやらせていただけるなんて光栄です。脚本の中屋敷(法仁)さんは、以前、舞台『タンブリング』でご一緒した方。そういう繋がりがあって今があると思うので、努力してきたことが一つ実ったというのが嬉しかったです。
――主演として意識したことはありますか?
綱:初めての座長は正直どうすればいいかわからなくて、いつもの何百倍も緊張してしまいました。樋口幸平や前田拳太郎など座長経験者の俳優仲間に相談したら、「いつも通りでいいんだよ」とアドバイスをもらえたんです。僕が勝手に背負いすぎていたんだと思い、そこからは自分が座長であることをできるだけ意識しないよう心がけています。
――鳳啓介を演じるのは大変ですか?
綱:超エリートというのは僕にない一面なので、正直どうしようかと悩みました。現場でも考えすぎちゃって頭が痛くなるくらい。一生懸命演じることで鳳啓介になっていくのではと、言動一つ一つに熱を込めて演じています。
――エリートということで、工夫している点があれば教えてください。
綱:クイズの時はちょっと早口になるよう工夫をしています。監督からアドバイスを頂いたのですが、頭がいい人は喋るのが早いらしいです。考えていることがたくさんあるので、口が追いつかないみたい。僕自身はその領域に達したことがないのでわからないんですけれど(笑)。そんなわけでセリフのスピードの緩急は意識しています。
――学ランにメガネ姿のご自身を見たときにどう思いました?
綱:びっくりしました。前髪を下ろした役が久しぶりだったし、黒髪というのも久しぶり。実は今年、黒髪の役が一回もなくて、ずっと何かしら髪の色が入っている役をやっていたんです。黒髪で、前髪パッツンで、メガネ。最初は本当に慣れませんでした。
――鳳がクイズ研究会に所属していることもあり、ドラマにはクイズがたくさん出てきますね。
綱:頭が良いという役なので僕が聞いたこともないような単語がたくさん出てくるんです。全て調べて意味を理解した上で演じましたが、今までの作品の中で一番Wikipediaを使ったかもしれません。理解できない単語が多かったのがきつかったですね。
――鳳の仲間たちは、かなりクセが強いキャラクターだと感じました。
綱:クセが強いですよね。まず高校生の役で一ノ瀬ワタルさんとひょっこりはんさんがいることにびっくりしました。5人(綱啓永、本田響矢、一ノ瀬ワタル、若林時英、ひょっこりはん)中2人が30代なんです。ひょっこりさん(※現場での呼び名)には現場でずいぶん笑わせていただいています。自分では気づいていませんでしたが、しんどいシーンを撮った後にひょっこりさんが現場に来ると僕は笑顔になっていたらしくて。後からメイクさんにそれを聞かされて、ひょっこりさんから元気をもらっていたと気づきました。ひょっこりさんには、すごく助けられています。そして一ノ瀬さんは喋りの癖がすごい。何を言っても「ちゃし」という相撲用語で返してきます。『サンクチュアリ -聖域-』(Netflix)に出演して以来、抜けないみたいです。「ちゃし」は万能らしくて、どんな意味にも使える。ありがとう、ごめん、よろしくが全部「ちゃし」なので、「それは何のちゃしですか」みたいに話しています。
――みなさん、とても楽しそうですね。
綱: 撮影を通して5人が仲良くなって、久々にLINEグループを作りました。本田響矢がクランクアップの1週間前くらいにLINEグループを作ろうと言ってくれたものですから。僕は人見知りでそういうのができないほうだけれど、ここだけは座長感を出させてくれということで、僕から皆さんにお願いしました。みんな真面目で本当にいい人たちです。
――LINEグループではどんな会話を?
綱:日々の撮影が終わった後には写真を送りあったり、熱い長文のメッセージを送りあっています。僕からは「本読みの時からずっと支えられたし、疲れた時に元気をくれて本当に感謝しています。クイズ研究会のメンバーがこのキャストで本当に良かったです」という感謝のメッセージを伝えました。
――鳳が「恋は盲目」になっていますが、綱さんも好きなものに夢中になったり盲目になったりしますか?
綱:なりますよ。音楽はハマったら同じ曲ばかり聴いています。バナナジュースにハマったらバナナジュースばかり飲むし。最近僕の中ではタピオカブームが来ています。前もハマっていたけれど、今、僕の中で再ブームです。
●綱啓永にとって恋愛と勉強はどちらが難題だった?
――『恋愛のすゝめ』は恋愛と勉強がテーマになります。綱さんにとって恋愛と勉強はどちらが難題ですか?
綱:勉強ですね。学生時代から思っていたことですが、勉強って本当に努力だと思うんですよ。覚える作業が多いので、そこを努力すればするだけ知識は入ってくるわけで。そう考えたら本当に難しいのは恋愛のほうなんですけれど……、僕にとっての難題は勉強です(笑)。
――学生生活を振り返ってみて友情、勉強、恋愛で、綱さんが優先していたことを教えてください。
綱:ダントツで友情です。強いて言うなら友情、恋愛、勉強の順だけれど、友情が強すぎて。毎日友達と過ごした青春時代がずっと繋がっていて、今でも友達や役者仲間と毎日一緒にいます。誰かと一緒にいたいと思えるのは、多分その学生時代の青春があったから。
――クイズ研究会とは違った青春かもしれないですが、充実した学生時代を過ごしてきたんですね。「これが青春だった」というエピソードもお願いします。
綱: 友達と毎年花火大会に行ったことですね。僕は千葉出身なので、幕張あたりの花火大会によく出没していました。みんなで浴衣を着て出かけたのが、すごく楽しかった記憶があります。
――ありがとうございます。本作で、鳳くんは学校の校則に背いてまで愛を貫きますが、綱さんがファンの方の恋を応援するとしたらどんなアドバイスを送りますか。
綱:つなマル(綱のファンの総称)にですか? つなマルの恋を応援しちゃうと僕から離れていく可能性があるので(笑)、ここは控えさせてください。まあでも、みんなが幸せになることが僕は一番なので。
――つなマルの恋にはちょっとジェラシーな部分も?
綱:ジェラシーとは違いますかね。それはないけれど、僕から離れたら寂しいなという気持ちです。
――では、そんなつなマルの皆さんにメッセージをいただきたいと思います。
綱:僕から離れないでください。彼氏と仲良くしていただいていいですし、むしろ幸せになっていただきたい。なんならつなマルには既婚者の方もいっぱいいるんですよ。そういう中でも僕をぜひ応援していただけると喜びます。
――『恋愛のすゝめ』はTikTokにも力を入れていますね。現場の和気あいあいとした雰囲気が伝わってきました。
綱:どうやってこのドラマを広めようかと考えて、いろいろとみんなで作戦会議をしたんです。SNSも大事だろうということで、みんなでTikTokを80本くらいストックする予定に。さすがに忙しくてそれは無理でしたが、たくさん撮ったので楽しみにしていてください。TikTokでは、ひょっこりさんが芸人さんのすごさを改めて感じさせてくれました。当たり前だけれど、芸人さんとご一緒するとやっぱり“面白すごいな”って思います。でもね、ひょっこりさんは真面目なんですよ。誰よりもTikTokを真面目にやっていました。めっちゃ、画角を気にされていましたね。
――最後に本作の見どころを教えてください。
綱:僕が演じる開明学院高校生徒会長の鳳啓介は人生を全て勉学に捧げてきた人間ですが、ここに来て一目惚れという形で矢吹奈子さん演じる華子に恋をしてしまいます。ここだけ聞くと恋愛ドラマの“あるある”みたいな感じに捉える方が多いと思うけれど、クイズ研究会のメンバーとの絆もあり、今までになかったようなドラマになっています。僕も魂を削って演じているし、スタッフ・キャスト一同すごい熱量でやらせていただいています。第1話だけでも観たら、すぐに第8話まで観たくなっちゃうようなドラマです。とりあえず第1話の30分だけでも皆さんの時間をもらえれば、気づいたときには『恋愛のすゝめ』にはまっていることと思います。皆さんもよかったら、周りの家族や友達にこのドラマのことを伝えてください。一人でも多くの方に観ていただけたら嬉しいです!
(取材・文=Nana Numoto)
Nana Numoto