Kroiとnobodyknows+、会場の興奮を引き出し合った激アツ対バン 『"Dig the Deep" Vol.4』東京公演

Kroiとnobodyknows+、会場の興奮を引き出し合った激アツ対バン 『"Dig the Deep" Vol.4』東京公演

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  • 更新日:2023/11/21
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Kroiライブ写真(撮影=jacK)

Kroiが対バンツアー『Kroi Live Tour "Dig the Deep" Vol.4』の東京公演を開催した(11月12日東京・Zepp Haneda (TOKYO))。『Dig the Deep』はKroiが活動スタート当初から行っている自主企画の対バンライブ。約2年ぶりの開催となる今回は、全7公演の全国ツアーとなり、ゲストとしてTempalay、OKAMOTO'S、nobodyknows+、Nulbarich、Bialystocks、Ovall、クリープハイプが出演する。東京公演の対バン相手は、nobodyknows+だ。

1999年に結成されたnobodyknows+。昨年6月、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で代表曲「ココロオドル」を披露したことをきっかけに注目を集め、11月にはベストアルバム『ALL TIME BEST』をリリース。各地のフェスやイベントに出演するなど、25周年を直前に再ブレイクを果たした。

低音をバキバキに効かせたDJ MITSUのビートとともに登場したのは、ホクロマン半ライス!!!とノリ・ダ・ファンキーシビレサス。オープニング曲「オヒサシブリ」を放ち、オーディエンスは手を挙げて応える。さらにCrystal Boy、ヤス一番?が登場し、個性溢れるラップを披露。「盛り上がっていこうぜ!」(ホクロマン)という声とともに「ススミダス→」、さらにアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』OPテーマとして知られる「Hero's Come Back!!」と代表曲を連発。「Let's Dance」ではノリがホクロマンにコブラツイストをかけたり(ノリは元プロレスラー)、「ワサワサ」ではサビのフレーズ“ワサワサ”でコール&レスポンスが発生するなどフロアを沸かせまくる。四半世紀に迫るキャリアは伊達じゃない。

ノリによる漫談風(?)の長めのMCを挟み、ライブは後半へ。ラテンを取り入れた「エルミラドール」の後は、待ってました!の「ココロオドル」。〈ENJOY 音楽は鳴り続ける〉というキラーフレーズによって会場のテンションはさらに上がり、そのままリミックスバージョンへ。エレクトロ系の強靭なビートが鳴り響き、会場全体がダンスフロアへと変貌する。(2階席で観ていたKroiのメンバーもめっちゃ盛り上がってました)

さらに彼らの地元・今池(名古屋市)にちなんだ「イマイケサンバ」、切なさと前向きな思いが交差するラブソング「愛のテーマ」などを披露。“初めまして”のオーディエンスをもガッツリ盛り上げる、さすがのステージだった。

そしてKroiのステージ。1曲目は新曲「Hyper」(TVアニメ『アンダーニンジャ』OPテーマ)。グランジロックとファンクがぶつかり合うバンドサウンド、内田怜央(Vo)の攻撃的なボーカル/ラップが放たれ、会場の熱気は一瞬にして頂点へ。「みなさん調子どうですか! Kroiちゃん、はじめます!」(内田)というシャウトに導かれたのは、バンドを代表する一曲となったしなやかなファンクチューン「Balmy Life」。フロアからはハンドクラップが鳴り響き、一体感がさらにアップ。千葉大樹(Key)のトーキング・モジュレーターによるコーラスも気持ちいい。そのまま音を途切らすことなく、フュージョン的なテイストを反映させた「Network」(長谷部悠生(Gt)のギターソロが炸裂!)、内田のギターリフに導かれたダンスチューン「HORN」と自由自在にサウンドの色を変えながら楽曲をつないでいく。関将典(Ba)、益田英知(Dr)のリズムの精度が素晴らしく、演奏自体もめちゃくちゃタイト。このバンドの音楽的ポテンシャルは明らかに上がっている。

「『Dig the Deep』3公演目です。今日のゲストは、nobodyknows+さん。ヤバい!」(内田)から最初のMCへ。内田は「小学生のときにnobodyknows+のライブDVDにハマった」というエピソードを披露し、「そんなアーティストが俺らの企画でライブをやってくれるなんて、本当にヤバい。(nobodyknows+)のライブでブチ上がっちゃったんで、俺もブチ上げたいと思います」という言葉から、「Mr. Foundation」。ベース、ドラム、鍵盤のセッションから始まり、ハンドマイクの内田が軽快なフロウを描き出す。鍵盤、ギターのソロ演奏が共鳴し、内田のテンションも増幅。身体を揺らすオーディエンスもKroiの自由なパフォーマンスをしっかりと楽しんでいた。

益田による抑制の効いたドラムソロを挟み、「Funky GUNSLINGER」でサイケデリックな音像を生み出す。跳ねるビートとラップの絡みを軸にした「shift command」では長谷部がステージ前方でギターソロを弾きまくり(9月にアキレス腱を切ってしまった長谷部、だいぶ回復したようです)、「夜明け」では疾走感に貫かれたビートのなかでメンバー全員のフレーズが有機的に結びつき、シックなベースソロ、鍵盤ソロを挟みながら〈もうじき朝が来る 正直一睡もしてない〉というサビの大合唱へと帰結。どの曲にもアレンジが加えられ、生のステージならではのパフォーマンスが繰り広げられる。その場で思いついたであろうフレーズをぶち込むシーンも見受けられるが、それが内向きな自己満足に終わらず、ライブにおけるエンターテイメントに昇華できるのがKroiの強み。それを支えているのはメンバー個々のキャラの強さ、そして、“とにかくこの瞬間を楽しみまくる”という態度だろう。

2度目のMCでもnobodyknows+への思いが炸裂。長谷部が「俺も黙ってらんないっすよ! 俺ら『NARUTO』世代だから。『NARUTO -ナルト- 疾風伝』がはじまって、『Hero's Come Back!!』を聴いたとき、“何これ? ラップってカッケー!”って」と語ると、内田も「アニメの曲への憧れって、あれが大きいよね」と返す。子どもの頃に憧れたアーティストとの対バンは、彼らにとって大きな刺激になったようだ。

ライブ後半も自由奔放なステージが続いた。「Astral Sonar」のエンディングでは、内田の激しいパフォーマンスによって下がってしまったマイクスタンドに合わせて内田がひざまずいて熱唱。そして「selva」からライブはクライマックスへ。「Small World」「Page」「a force」と強烈なグルーヴをたたえたアッパーチューンを連発し、フロア全体を熱狂へと巻き込んでいく。歌だけに頼らず、メンバー個々のセンスと技術を結合した演奏自体のパワーで観客の興奮を引き出すことができる日本のバンドは、きわめて稀だと思う。

アンコールでは、『週刊ナイナイミュージック』(フジテレビ系)に出演したとき、長谷部とナインティナインの岡村隆史がアキレス腱トークをしていたというユルいMCを挟み、「Juden」へ。さらに「Fire Brain」とアンセムを叩き込み、ライブはエンディングを迎えた。

ジャンルや世代を超えたゲストを招いた対バンツアーの後に控えた初の日本武道館公演もまた、彼らにとってマイルストーンと呼ぶべきライブになるだろう。

■nobodyknows+セットリスト
オヒサシブリ
ススミダス→
Hero's Come Back!!
Let's Dance
Winds of Wins
ワサワサ
アンダーレイン
エルミラドール(1番まで)
ココロオドル(1番まで)
ココロオドル(REMIX)
イマイケサンバ
隠せない明日を連れて
愛のテーマ

■Kroiセットリスト
Hyper
Balmy Life
Network
HORN
Mr. Foundation
Funky GUNSLINGER
shift command
夜明け
Astral Sonar
selva
Small World
Page
a force

森朋之

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