【涸沢カール】紅葉のピークまでもう少し! 北アルプスの黄金ルート「上高地~涸沢~穂高連峰」を歩く!

【涸沢カール】紅葉のピークまでもう少し! 北アルプスの黄金ルート「上高地~涸沢~穂高連峰」を歩く!

  • BRAVO MOUNTAIN
  • 更新日:2023/09/19
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秋の涸沢カール。例年なら小屋も満室でテント場も埋まるほどの人気

山をたしなむ人なら、一度は訪れたいと願う上高地と涸沢。今回はその黄金ルートを歩いたうえで、足を延ばして日本百名山の一座でもある穂高連峰に登った。北アルプスでも随一の人気ルートたる所以に迫る。

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北アルプスの黄金ルートを通って穂高連峰へ

■唯一無二の絶景 涸沢カールの紅葉

国内の山岳シーンでとくに人気が高い北アルプス。そのなかでも秋にズバ抜けて注目されるのが涸沢だ。涸沢は穂高連峰の懐に抱かれた山岳拠点。鉄板ルートは、上高地から向かう道だが、それでもおよそ6時間はかかる。最低でも1泊2日の行程を組まなければならないという遠き道のりとなる。

さらに上高地へ行くのも、周辺がマイカー規制されているため、シャトルバスを利用しなければ辿り着けない。

そんな地上の僻地のような場所には秋になると人が押し寄せる。それはなぜか。涸沢カールの紅葉を見に行くためだ。穂高岳のむき出しになった岩肌に生える高山植物が色づき、美しい絨毯のように鮮やかに染まる。穂高岳の聳え立つ雄姿と相まって、その様子は唯一無二の絶景。

今回は紅葉の最盛期前に、涸沢とその先の穂高岳に登った際のレポートをお届けしたい。この秋はぜひ、錦秋の涸沢を訪れてほしい。

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【山行DATA】
歩行時間:1日目 6時間20分   2日目 5時間40分   3日目 6時間30分
歩行距離:38.8km
標高差:1,686m

■DAY1. 【上高地~涸沢】水辺の横を悠々と歩く上高地の道

1日目は散策路を歩いて上高地から涸沢へ。エメラルドグリーンに光り輝く梓川を横目に憧れの地へ向かう。

●初日は上高地のなだらかな道を歩いて涸沢へ

上高地は標高1,500mにある山岳景勝地だ。中部山岳国立公園の一部として、国の文化財の特別名勝と特別天然記念物に指定。美しい自然が保護されており、ハイカーのみならず、観光客も多い。周辺にはホテルや旅館が建ち並び、上高地から横尾まではなだらかな歩道も整備され、年間120万人もが訪れる山岳リゾート地だ。

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上高地の梓川に架かる河童橋。橋の上には穂高岳の眺めを写真に撮る人が多くいる

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小梨平は快適なキャンプ地として人気が高い

1日目はこの平らな道を長い時間歩き続けることになる。コースタイムとしてはまず上高地バスターミナルから明神館まで1時間、明神館から徳沢まで1時間。そして徳沢から横尾まで1時間10分、歩きやすいフラットな道が続く。明神館や徳沢までは壮麗な川沿いを歩いたり、深い緑の森歩きが楽しめるのだが、徳沢を過ぎた辺りから、やや中だるみするのは否めない。早く山に登りたくなる。

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穂髙神社奥宮の境内にある明神池。常に伏流水が湧き出ているため、透明度が高い

横尾を過ぎてから本格的な登山道になり、横尾谷に聳える屏風岩の眺めや本谷橋から見える悠然とした穂高の山並みに気持ちが昂る。そこから登り続けることおよそ3時間で、念願の涸沢に到着だ。

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横尾にある、横尾大橋を過ぎるといよいよ登山道が本格化する。左に見えるのは屏風の頭。

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涸沢ヒュッテから見る涸沢カール内。写真の中心から左に見えるのが奥穂高岳だ

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涸沢ヒュッテに着いたら名物のおでんを頬張る

■DAY2. 【涸沢~北穂高岳】日本三大キレット一つ、大キレットが目の前に

2日目は穂高連峰の北側の入り口でもある北穂高岳へ。涸沢から往復5時間の道は変化に富んでいて面白い。

●槍へ続く大キレットが壮観の北穂高岳へ

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大キレットの切り立つ稜線は、つい引き込まれてしまうほどの魅力がある

涸沢を拠点にすると、国内標高第3位の奥穂高岳(3,190m)をはじめ、北穂高岳や前穂高岳、涸沢岳などいずれも標高3,000mを超える山々へアクセスしやすい。

2日目は穂高連峰の北端にある北穂高岳へ。涸沢小屋の右側を抜けて急登を行く。岩をつたうようにして歩き続け、ハイマツ帯を抜けるとはしごや鎖場が出てくる。三点確保を怠らないよう慎重に歩みを進めたい。その後も浮石に気をつけながら、岩と鎖場を通り抜けていく。

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涸沢小屋の脇を抜けると北穂高岳に通じる登山道がある

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岩場を抜けると鎖場とはしごが現れる

登り続けていくと、涸沢岳と北穂高岳の分岐に出る。ここまで来れば急登もほぼ終わり、頂もすぐそこだ。山頂は360度のパノラマが広がる。目の前には常念岳と蝶ヶ岳が壁のように聳え立つ。また、北穂高岳からは槍ヶ岳へ通じる「大キレット」が延びており、圧巻の景色だ。

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涸沢岳との分岐点。ここまで来れば北穂高岳が目の前に見える

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大きな石がゴロゴロと転がる。浮石に注意しよう

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中腹まで登ると左手に見える前穂高岳と奥穂高岳、そして二座を結ぶ吊り尾根が目の前に見える

頂上を過ぎてすぐの場所に北穂高小屋があるので、ご飯を食べるなりお茶を飲むなりして、一息ついてから涸沢へ戻ろう。

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山頂は開けた空間になっている

●CHECK!  山頂へ来たら北穂高小屋へ寄ろう

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北穂高小屋

北穂高小屋は富士山にある山小屋を除いて日本一高い場所にある。こだわりの豆で淹れるコーヒーやラーメン、カレーライスが人気。せっかくなら絶対に立ち寄りたい。

■DAY3. 【涸沢~奥穂高岳】穂高連峰の主峰で北アルプス最高峰の頂へ

3日目はザイテングラートを通って奥穂高岳へ。涸沢の懐奥深くに抱かれて旅は最終目的地を目指す。

●国内標高第3位の奥穂高岳を目指す

3日目は国内で3番目に高い奥穂高岳へ。涸沢ヒュッテから穂高連峰を見て左側に聳え立つ山で穂高連峰の主峰。岩塊が天を衝くような堂々たる山容だ。

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涸沢を抜けてはじめのうちは比較的歩きやすい登山道

奥穂高岳へはテント場の奥から通じるルートを登る。歩き出しの1時間は砂礫帯や岩伝いを歩く。歩いていくと涸沢岳と奥穂高岳の稜線に繋がる支尾根「ザイテングラート」が待ち受ける。ここは急登が続き、岩登りや鎖場、はしごが連続する。

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ザイテングラートでは細い尾根の上を歩く

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振り返ると対面の北アルプスが壁のように構える

登りきると稜線にある穂高小屋に到着。小屋から先はいきなり、高低差およそ50mの岩登りとはしごから始まる。ルート上、最も高度感がある場所なので行き帰りともに慎重に歩こう。そこを越えると、比較的なだらかな稜線を1時間程度歩いて、奥穂高岳の山頂に到着。

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ルート上の好展望地から常念岳のピークを望む

頂上には高さ2mはあろうかというケルンの上に小さな祠が立っている。晴れていれば、稜線の先にジャンダルムや西穂高岳、南東に前穂高岳が眼前にたたずむはずだ。

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奥穂高岳山頂にある祠周辺は360度のパノラマが広がる

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稜線上にある穂高岳山荘

【アクセス】
○松本方面から:
車で長野自動車道・松本ICから沢渡(さわんど)駐車場まで約1時間。シャトルバスで沢渡駐車場から上高地まで約30分
○高山方面から:
車で中部縦貫自動車道・高山ICから平湯あかんだな駐車場まで約45分。シャトルバスで平湯あかんだな駐車場から上高地まで約30分

【soto 秋山 2021 より再編集】

■【画像】一生に一度は見てみたい! 涸沢カールのモルゲンロート

BRAVO MOUNTAIN編集部

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