全国出場選手の7割に肩肘の故障歴 少年野球のいまだ消えない「美談」に権威が警鐘

全国出場選手の7割に肩肘の故障歴 少年野球のいまだ消えない「美談」に権威が警鐘

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  • 更新日:2022/05/14
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いまだに消えていない酷使することを「美談」とする風潮に専門家が警鐘

子どもたちの「肩肘」を憂える古島弘三医師、1日で約1000人を無料診断

肩や肘の怪我を予防する意識は、小・中学生の世代にも広がっている。中学硬式野球の「ポニーリーグ」では、3連投や投手と捕手の兼任を禁止している。ただ、いまだに酷使することを「美談」とする風潮は消えていない。全国大会に出場した少年野球選手の7割以上が、病院で治療や手術を受けた経験があるという。肩や肘の障害予防や治療を専門とする古島弘三医師は「消えた天才を出してはいけない」と警鐘を鳴らす。

近年の野球界では「肩や肘は消耗品」という考え方が浸透し、子どもたちも指導者も怪我を「予防」する意識が強くなっている。肘内側側副靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)の権威で、慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師は、理解が進んでいる現状を歓迎しながらも、投げ過ぎによる故障はまだまだ多いと嘆く。

「苦労が美談になるのは、たまたま体が強かっただけです。怪我をして潰れてしまい『消えた天才』と呼ばれるのは悲しいじゃないですか」

古島医師は子どもたちの肩や肘の故障を予防するため、全国各地で講演やイベントを行っている。5月1日には千葉・柏市で「日本ポニーベースボール協会」などが開催した「ポニーフェスタ」に参加。他の医師や理学療法士らとともに、エコー(超音波)機器を使って約1000人の肩や肘を無料で診断した。

軟式球を使う小学生大会でも、肩肘の故障歴がある選手は多い…

「ポニーリーグ」では学年ごとに球数の上限を決めている。また国際大会につながる試合は、MLBが育成期の投手を守るため定めた、投球制限を柱としたガイドライン「ピッチスマート」を採用することもある。古島医師は「ルールで怪我を予防することが必要だと思います」と考えており、こう続ける。

「中学で硬式をやると『肩肘を怪我する』と言う人がいますが、小学生からすでに怪我していることも多いのです」

古島医師によると、軟式球を使った学童野球の全国大会「マクドナルド・トーナメント」に昨年出場した選手のうち、肩や肘に既往歴があった割合は7割を超えるという。

「勝ちたい思いが強ければ強いほど、同じ投手が連投し、酷使されてしまいます」と、トーナメント形式の大会が原因の1つだと考えている。「一番の目的は、子どもたちを次のステージに送りだすことです。指導者も責任を持って怪我への理解を深めてほしい」と古島医師。怪我で野球をあきらめる子どもたちを見たくないという思いは、医師も指導者も同じはずだ。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

川村虎大 / Kodai Kawamura

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