
プーアル茶のふるさと、世界遺産に 中国雲南省普洱市
景邁山の古茶林。(8月30日、小型無人機から、普洱=新華社記者/李賀)
【新華社普洱9月19日】サウジアラビア・リヤドで開かれた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第45回世界遺産委員会は17日、プーアル茶の原産地として知られる中国雲南省景邁山の古茶樹林を「普洱(ふじ、プーアル)の景邁山古茶林の文化景観」として世界遺産に登録することを決定した。中国の世界遺産は57件となる。

プーアル茶のふるさと、世界遺産に 中国雲南省普洱市
景邁山の古茶樹林と村寨。(8月29日、小型無人機から、普洱=新華社記者/李賀)
登録地は普洱市瀾滄(らんそう)ラフ族自治県に位置し、広大で保存状態の良い古茶樹林5カ所と、その中に点在する9カ所の古村落、3カ所の防護林が含まれる。
中国の少数民族プーラン族は10世紀に野生のチャノキを発見して以降、森林生態系を利用し、ダイ族など他民族と共に茶の栽培技術を探究してきた。

プーアル茶のふるさと、世界遺産に 中国雲南省普洱市
左:瀾滄ラフ族自治県芒景村の翁基寨にあるプーラン族伝統建築の屋根を飾る「一芯二葉」の印。(8月29日撮影)
右:プーラン族の帽子でひときわ目を引く「一芯二葉」の刺しゅう。(8月30日撮影、組み合わせ写真、普洱=新華社記者/李賀)
林間で栽培する茶「林下茶」の栽培技術は、森林の高木を少数伐採してチャノキを植え、高木層からチャノキ層、草本植物層という立体的な群落構造を形成する。日照や温湿度などの環境を整え、チャノキにとって理想的な生育条件を作り出す。自然生態系が持つ病害虫防止効果と天然の養分を利用することにより、質の高い有機茶葉の持続可能な生産を実現し、千年にわたる保護と発展により、森林と茶が共生し、人と大地が調和する独特の文化景観を作り上げた。
遺産の構成要素となる5カ所の古茶樹林は、18世紀に現在の規模が形成されて以降、基本的に安定しており、生態系と全体的景観に大きな変化は生じていない。

プーアル茶のふるさと、世界遺産に 中国雲南省普洱市
景邁山の古茶林。高木とチャノキ、地表の草本植物が立体群落構造を形成し、チャノキに適した生育環境を作り出している。(8月29日撮影、普洱=新華社記者/李賀)
技術評価のため景邁山を訪れた国際機関の専門家は、人と自然の調和、伝統と現代の調和、異なる村落や民族間の調和に感銘を受け「非常に貴重なケースであり模範になる。世界に希望と手本をもたらす」と率直に語った。
茶は中国を起源とし、世界で愛されている。「普洱の景邁山古茶林の文化景観」は長期にわたるテーマ調査研究と世界遺産登録への13年の道のりをへて、世界初の茶をテーマとした世界遺産となった。登録の成功はチャノキの発見と栽培、茶葉貿易と輸送、茶文化の形成と普及などにおける中国の主導的地位を示している。

プーアル茶のふるさと、世界遺産に 中国雲南省普洱市
瀾滄ラフ族自治県芒景村の翁基寨で、古樹茶を入れるプーラン族の村民。(8月29日撮影、普洱=新華社記者/李賀)