最後まで中国への強硬姿勢示すトランプ大統領、今度はAlipayなどの中国製アプリに禁止令

最後まで中国への強硬姿勢示すトランプ大統領、今度はAlipayなどの中国製アプリに禁止令

  • ASCII.jp
  • 更新日:2021/01/13

米中間の対立がネットワークからアプリにまで拡大している。政権交代を控えたトランプ大統領が、Alipayなど8種のアプリケーションを禁じる大統領令を出した。

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中国発の8つのアプリを禁じる大統領令を置き土産のように残していったトランプ大統領。新政権はどういう対応を見せるだろうか

Alipayら8つの中国ベンダー製アプリが対象

1月5日にトランプ大統領が出した大統領令は、「中国(香港とマカオを含む)の人々が開発・管理している一部のモバイルおよびデスクトップアプリケーション、その他のソフトウェア」が米国に広がっており、「米国の国家保安、外交政策、経済にとって脅威をもたらし続けている」として、45日後に米国の住民や企業がそれらのアプリやソフトウェアのトランザクションを禁じるというものだ(https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/executive-order-addressing-threat-posed-applications-software-developed-controlled-chinese-companies/)。

具体的に対象として名前を挙げられたのは、Alipay、WeChat Pay、QQ Walletなどのペイメント系のアプリに、メッセンジャーTencent QQ、動画アプリVMate、ファイル共有SHAREit、オフィススイートWPS Office、スキャナーアプリCamScannerの8つ。

これらのソフトウェアは個人を特定できる情報などの機密情報を取得しており、「中国および中国共産党が米国の個人情報や専有情報へのアクセスを提供する脅威」があり、連邦政府の職員や契約社員の位置情報を追跡したり個人情報の記録構築につながりかねないと主張する。

この大統領令が有効になると、App StoreやGoogle Playなどのアプリストアで提供ができなくなると思われる。

一方、TikTok問題はいまだ決着がついていない

トランプ政権下でハッキリと表面化した米中貿易戦争だが、最初の矛先はファーウェイ、ZTEなどのネットワーク機器ベンダーだった。これらの企業の通信機器が国家安全保障における脅威として排除するとともに、”ファイブアイズ”ことカナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランドをはじめ、他国にも排除を呼びかけてきた。紆余曲折はあったが、英国、フランス、スウェーデンなどでは5Gネットワークでファーウェイを排除することになっている。

米国はさらに、中国のByteDanseが提供するTikTokに対しても、米国事業の切り離しを求めた。これは2020年8月のこと。Microsoft、Oracleなどが取得に名乗りをあげたが、Microsoftは9月に諦めたことを発表した。OracleはWalmartと組み、TikTok Globalとして新会社を立ち上げることを発表しているが、TikTokクリエイターの訴訟により阻まれている。

12月7日には、商務省による米国でのTikTokの運営停止を否定する判決が出された。司法省はこれを不服として上訴している。

今回の大統領令の対象となったWeChat PayのWeChat(ともにTencentが提供)については、すでに8月に大統領令が公布されている。こちらも訴訟により有効に至っていない。

次期大統領も路線を踏襲するのだろうか

中国アプリ禁止の動きは、インドに続くものだ。インドではTikTokやWeChatなど、段階的ながら200以上のアプリを禁止している。また、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の中国の3大通信キャリア(China Telecom、China Unicom、China Mobile)の上場廃止も、一旦は撤回されたものの結局は廃止の方向に進んでいる。

そしてAlipayを展開するAntの親会社Alibabaに対しては、中国政府が独占行為の疑いがあるとして調査すると報じられている。

ところで中国製製品は本当に不正にユーザーの情報を取得して中国政府に提供しているのか? 現時点で証拠と言えるものを米政府が提示したことは報道されていないと思う。そんな折、朝日新聞が1月11日付けで、TikTokが収集する情報について独自に行った調査の結果をレポートしている。

米政府がTikTokを禁じる大統領令を出す前と出した後の2つのバージョンについて、専門家に依頼して調べたところ、2バージョンとも個人情報は取得していないが、古いバージョンについてはIMEIやMACアドレスを収集していたとのこと。IMEIについてはプログラムは実行されていなかったとのこと。最新版についてはIMEIやMACアドレスを収集するプログラムはなかったと報告している(https://www.asahi.com/articles/ASP1B7W8VP1BULZU007.html?iref=comtop_Tech_science_01)。

中国企業に強硬な姿勢をとってきたトランプ大統領の任期は間もなく終了する。次期大統領となるバイデン氏は、この路線を踏襲するのか。Alipayなどを禁じる今回の大統領令はバイデン氏の就任後に有効となる。まずはそこに注目だ。

筆者紹介──末岡洋子

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フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

末岡洋子 編集● ASCII

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