深刻な人手不足に悩むタクシー業界ですが国が、去年二種免許の取得条件を緩和したことにより、最短で1年で免許を取得できるようになりました。
乗務員不足や高齢化が課題となるなか、県内で初めて誕生した19歳のドライバーの乗務初日に密着しました。
【写真を見る】人手不足のタクシー業界の救世主と期待 19歳のタクシードライバー誕生 乗務初日に密着
(Q19歳ということでリアクションとかありました?)
伊波興樹さん
「そうですね、貫禄がありすぎるって、ある方から言われました」
県内最年少のタクシー運転手。伊波興樹(いはこうき)さん。
来月、20歳の誕生日を控える、沖縄初、19歳のタクシードライバーです。
伊波興樹さん
「(車の運転は)自由にどこでも自分で行けるっていうところが好きです」
「経験が全然なくても、自分みたいに経験がなくても、なれるんだなっていう感じがしました」
県タクシー協会は今年4月からテレビコマーシャルを放送。タクシードライバーに必要な普通二種免許の取得条件が緩和されたことを受け、19歳でもドライバーになれると若者にPRを始めています。
高校を休学しフリーターをしていた伊波興樹さんも、偶然流れてきたタクシードライバー募集のテレビCMを見て乗務員を志望をしました。
コロナ禍も収束を見せ、観光客数も著しい回復傾向にある中、タクシー不足が顕著となっている沖縄県。
2009年には、1万人以上いたタクシードライバーですが、その後は右肩下がりで、現在は半数近くにまで激減しています。
また、ドライバーの平均年齢も60歳を超え、高齢化も大きな問題に。
勤務の不規則性や、収入の不安定さから敬遠されがちなタクシードライバーという職業。
若い世代を確保するため、県内のタクシー会社は免許取得の費用を負担したり、待遇の改善を図ったりしていますが、思うように採用に繋がっていないのが現状です。
沖東グループ・幸頭勇人さん
「タクシー業界は乗務員不足と高齢化という課題がありまして、色々若い人たちの力になれるような、制度を作って、求人活動をしていきたいなと思います」
(タクシー協会での研修)
「運転者が自ら目視で確認したり、お客様に忘れ物ないですかと声かけをすることで忘れ物を減らすことが出来ます」
1か月半ほど教習所に通い二種免許を取得した伊波さんは、10日間ほどの研修期間を終え、晴れて、沖縄初の19歳ドライバーとなりました。
伊波興樹さん
「色々なお客様の対応の仕方だとか、法令順守とか、とりあえず覚えなきゃっていう感じです」
乗務初日。
伊波興樹さん
「おはようございます。はい、おはようございます。きょう初めてですね。じゃあ免許証と、乗務員証お願いしましょうね」
今月12日に初の乗務を迎えた伊波さん。少し不安げな表情で、デビューを迎えました。
伊波興樹さん
「緊張しています」
事業所を離れ、那覇の街を走らせますが、なかなか、お客さんを見つけることが出来ません。
ようやく、車が停車したのは、乗務開始から、およそ1時間後。
那覇市から浦添市まで。安全運転で、無事に目的地に送り届けました。
伊波興樹さん
「お客さんを乗せてみて初めて実感しましたよ、大変でもお客さんを乗せて目的地まで送ったときは、やりがいは感じました」
(Qちなみに、乗せたい人とかいるんですか?)
伊波興樹さん
「乗せたい人…そうですね今田美桜さんですかね」
人とコミュニケーションをとるのは苦手と話す伊波さんですが、それも、仕事の一環。
午後3時頃。無事に営業所に戻ってきました。
伊波興樹さん
「お疲れさまでした!(Q終わりですか?)はい、終わりです。」「ホッとしてます」
この日、伊波さんが乗せたお客さんは、およそ10組、9000円弱の売り上げがありました。
伊波興樹さん
「上手くできたのかも1人なので分からないですけど、精一杯やれたと思っています」「乗ったお客さんに快適に乗ってもらって、また自分の運転するタクシーに乗りたいって思われるようなタクシードライバーになりたいなと思っています」
沖東グループ・幸頭勇人さん
「最終的にはやってよかったですというのが5年後、10年後に聞かれたら嬉しいなと思います」「19歳の伊波くんが乗車したことで、20代、30代、若い人たちも、タクシー乗務員っていいんだっていう選択肢になってくれればというところを大いに期待しているところです」
県民生活や、沖縄観光にも欠かせないタクシー。
若手乗務員の確保に向けて、19歳ドライバーの誕生は、課題解決に向けた一歩となりそうです。
【記者MEMO】
最近はアプリでの配車やキャッシュレス決済も広がってきていて、若い世代のほうが柔軟に対応できることも多いそうです。課題解決に向けて、今後も業界をあげて若手ドライバーの採用・育成に力を入れていくということです。