
意見交換後、握手を交わす西村康稔経産相(右)と十倉雅和経団連会長=19日、東京都千代田区(米沢文撮影)
西村康稔経済産業相は19日、財界トップと相次いで面談し、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出開始で需要の落ち込みが懸念される国産水産物の消費拡大などについて、意見交換した。西村氏は政府が取りまとめた水産業支援の枠組みを説明した上で、財界の支援を要請した。
放出を受け、中国や香港は8月、日本産水産物の輸入規制を強化した。昨年の輸出実績で計1600億円を超える需要の消失が避けられない状況だ。
西村氏は科学的根拠に基づく情報発信に引き続き取り組む考えを強調した上で「月100円だけ今まで以上に魚を食べていただきたい」と呼びかけた。
経団連の十倉雅和会長は「訪日客に日本の食文化について、交流サイト(SNS)で発信してもらうだけでも違う」と述べ、訪日客に安全性をアピールする重要性を指摘した。
日本商工会議所の小林健会頭は「地域産品の魅力発信、需要喚起に全力で取り組む」と述べ、クラウドファンディングを活用し、消費拡大の支援の輪を広げる施策などを発表した。全国の商工会議所や会員企業に対し、社食や贈答品での国産水産物の利用も求めた。