北朝鮮の大同江ビール、中国へ独占輸入していた企業は北の核開発協力にも関与していた

北朝鮮の大同江ビール、中国へ独占輸入していた企業は北の核開発協力にも関与していた

  • ハーバー・ビジネス・オンライン
  • 更新日:2017/08/10
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北朝鮮では瓶以外にも生ビールや昨年からは缶ビールも登場した大同江ビール

開幕直前の中止発表となった北朝鮮の大同江ビール祭り。昨年始まったばかりで開催されていれば2回目だったこのイベントは、夏の外貨獲得の目玉イベントとして北朝鮮の旅行会社も力を入れてPRしていたものだった。イベント中止でにわかに注目されたのが、大同江ビールだ。そもそも北朝鮮のビールなんて想像もできないし、「美味しいの?」と思う人も多いのではなかろうか。

実は北朝鮮には復数のビールブランドが存在する。大同江ビール以外はお世辞にもビールとしてうまいとは言えないものであるが、大同江ビールは評判がよく特にヨーロッパで高い評価を受けている。その理由は、イギリスで廃業となったビール工場を買い取り、設備をほぼそのまま北朝鮮に移築したものだからだ。元イギリスビールなのでコクが強く濃いヨーロッパ人好みの味となっているわけだ。

しかも、大同江ビールを初期の頃から飲んでいる人に言わせると、明らかに今の方が風味も豊かで味も進化していると話す。

大同江ビールは、2001年に故金正日総書記が、人民に良質なビールを届けたいという号令の元でプロジェクトが始まり、2002年4月から工場が稼働し、ビール生産を始めている。当初はオーストラリア産の麦芽を使用していたが、徐々に国産麦芽に切り替えていき国産原料で製造されている。それが昨年の不作に加え今回の干ばつで麦が取れずビールが作れなくなりビール祭りを中止せざるを得なかったという説も上がっているが、北朝鮮ツアーを手配する旅行代理店にも中止理由はいまだに伝えられていない。

◆ビールでは南北対決は北の勝利

朝鮮半島ウォッチャーの間で、南北は経済では南が圧勝しているが、ビールでは北が圧勝していると話題になることがある。韓国のビールのまずさは有名な話で、2014年にロッテが発売したオールモルト「クラウドビール」が登場して多少マシになったが、それまでは大同江ビールの方がうまいと言われていた。

以前、記者が韓国人に「どうして韓国のビールはまずいの?」と酔ったついでに失礼な質問をしたことがあるが、「我が国ではビールは大人が飲むものではなく子どもや女性の飲み物だ」など話していたので、「では、大人は何を飲むの?」と重ねて聞くと、「焼酎か洋酒」と即答してきた。どうやら多くの韓国人も韓国のビールのまずさは自覚しているようだった。

◆北朝鮮に核開発に必要な物質を輸入した中国企業が……

そんな大同江ビールを現在、北朝鮮以外で唯一飲むことができるのが中国だ。中国各地の北朝鮮レストランのメニューへ加わったのは、2014年ごろだろうか、最近の話だ。

あまり知られていないが、中国側の大同江ビール独占輸入権を持っているのが、昨年9月に北朝鮮へ核物質を密貿易した容疑で拘束されたと報じられた女性実業家の馬暁紅氏が率いる「遼寧鴻祥実業集団」が擁する「丹東鴻祥実業発展有限公司」だ。鴻祥集団は、大同江ビールの独占輸入権の他にも瀋陽で中朝合弁ホテル「七宝山飯店」や丹東の北朝鮮レストランなども経営しているなど同グループと北朝鮮との関わりは深い。

日本では馬氏が密貿易の容疑で拘束された以降については伝えられていないが、取材すると、いまだ拘束中と見られているという。しかし、大同江ビールは止まることなく輸入販売され続けていることから同グループはそのままビジネス継続が許されていることになる。

◆アメリカから名指しで指摘

その馬氏は、鴻祥集団が北朝鮮へ核物質を輸出しているとアメリカ政府から名指しで指摘されたので、アメリカの批判をかわすために何かしらで罰する必要があり、“アメリカの指摘に従い馬を拘束した”とアメリカへアピールしつつ、グループのビジネス自体は継続させているのではと同グループお膝元の丹東では噂されている。

「馬さんは、当局の取り調べに対して、『朝鮮から欲しいと言ってきたものを我々は売っただけだ。朝鮮がそれらを何に使用するかなど我々が知る由もない』と繰り返し主張したそうです」(丹東の貿易関係者)。

中国遼寧省を代表する美人経営者して注目された馬暁紅氏。果たして、大同江ビールを中国に独占輸入していた一方で、核開発に必要な物資を北朝鮮に流していたのか。今後の行方が注目される。

<取材・文/中野 鷹>

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