ポーター・ロビンソン×A-1 Picturesで描くVR空間の崩壊 MV「SHELTER」インタビュー

ポーター・ロビンソン×A-1 Picturesで描くVR空間の崩壊 MV「SHELTER」インタビュー

  • KAI-YOU.net
  • 更新日:2016/10/20

ダンスミュージックシーンを牽引するアーティスト・Porter Robinson(ポーター・ロビンソン)が、盟友であり世界的に活躍するプロデューサー・Madeon(マデオン)とコラボした楽曲「SHELTER」のMVを10月18日(火)10時15分渋谷・MODIにて世界最速で公開した。

MVは全編にわたってアニメーションで展開。制作は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『アイドルマスター シンデレラガールズ』『ソードアート・オンライン』などの人気アニメでしられるスタジオ・A-1 Picturesが担当している。

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「SHELTER」キービジュアル

このMVは、ポーター・ロビンソン自らが描いたストーリーと世界観を元に構築されており、彼特有の繊細で幻想的なアーティスト性を色濃く反映したものとなっている。

今回KAI-YOU.netでは、そんなポーター・ロビンソンへのインタビューに成功。制作の原点からマデオンとの出会いまで、幅広く語っていただいた。

また、後半では本作をとりまとめた赤井俊文監督へのメールインタビューも掲載している。楽曲・原案/監督の両軸から語られることで、精巧な「SHELTER」の世界を感じとる一助としてほしい。

なお、「SHELTER」のMVは19日(水)午前3時にYouTubeにて公開予定だ。

取材・構成 ふじきりょうすけ

ポーター・ロビンソンとマデオンがコラボした理由は?

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ポーター・ロビンソン&マデオン

──「SHELTER」はポーターさんとマデオンさんの共作です。お互いの出会いから聞かせていただけますか?

ポーター一番初めの出会いはマデオンが12歳で、僕が14歳のときにネットで知り合ったんだ。その時には、すでにお互い音楽の制作をしていて、音楽的な趣味も合った。そこからずっと友人として交流はあったんだよ。

アーティストとして活動するようになってから、一緒に作品をつくる機会はなかったんだけど、出会ってから10年経ったいまも目指す音の方向性が近いし、コラボレーションしようということになったんだ。

僕たちはいままで交流してきた中で、お互いがリリースしている楽曲はもちろん、していない曲すらも把握している。ただ、そろそろアーティストとして、今後は別の方向性に進んでいくんじゃないか、という風に思っていて。

今がお互いのアーティストとしての地点が交わる最後の地点になっているので、お互いの友情とキャリアを作品として残したいと思ったんだよね。

──そういった交流を経てできたのが「SHELTER」なんですね。それでは、楽曲のポイントを教えてください。

ポーター今回の「SHELTER」はリリックがしっかりとした曲になってるんだ。いままで、プロデューサーとしてサウンドをメインにしていた2人が「歌物」をつくったことが、お互いの音楽キャリアから見ても重要だと思うよ。

──特にボーカルの処理や全体の空気感はポーターさんの印象を強く感じ、キックやベースの太さからマデオンさんらしさを感じました。楽曲制作はどのように分担されていたのですか?

ポーター最初のフックになるメロディは僕が思いついて、それをマデオンにシェア。そこからスタジオに入って、一緒に制作したから明確な分担はないね。本当に共同作という感じだよ。

ただ、楽曲が完成してみると「僕っぽすぎる」と思ったんだ。ファンが聞いた時に「マデオンの要素が全然ないじゃないか!」と思われないかとヒヤヒヤしたよ。

でも、昔から僕の楽曲を聴いてくれているコアなファンからは、「マデオンっぽい!」というリアクションが多かった。マデオンの楽曲ってファンキーでグルーヴィーな要素が特徴的じゃない? 逆に僕は、大人しい、しっとりとした部分が強い。「SHELTER」もセンチメンタルな要素が強いから、ファンからの反応は予想外だったね。

A-1 Picturesが手がけるMVはどのように生まれた?

──「SHELTER」のMV完成までに1年以上を費やしたと聞いています。MVを「A-1 Pictures」に依頼したのはなぜですか?

ポーターA-1 Picturesに相談を持ちかけた理由は、僕の一番好きなアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』を制作していることもあるけど──一般向けな要素も併せて持っているし、僕のアーティスト性ともぴったりだと思ったんだ。

ポーター悲劇的でセンチメンタル、そしてノスタルジックなストーリーのアニメが多いよね。オタクっぽさとメインストリームの要素を僕の好きな哀愁や悲劇感と併せて描くのはA-1 Picturesしかいない。だから依頼したんだよ。

時に、今回「SHELTER」のMVに携わってくれた赤井俊文(監督)さんや、河野恵美(キャラクターデザイン)さん、三澤紗千香(声優)さんたちは、アニメ「アイドルマスター」シリーズに関わっているよね。

「アイマス」は、みんなが知っているかわいいキャラクターだし、「SHELTER」の主人公・凜もかわいい少女をイメージしていたから、うまく合致したんだ。それに「アイマス」とは正反対の悲しいストーリーなので、こういったスタッフの方達と制作すれば良いギャップが生まれると思ったんだよね。

──今名前を挙げられたような参加クリエイターの面々もポーターさん自身が選んだんですか?

ポーターA-1 Picturesの方が紹介してくれて、一緒に決めたんだ。もちろんアニメの制作をするなんてはじめてのことだし、形にするのはプロにしかできないので、A-1 Picturesの協力あってこそできたMVだよ。

ちなみに、このプロジェクトがはじまった時には、まだ「SHELTER」という曲もつくっていなかったんだよね。

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──曲だけでなく、MVで描かれるストーリー原案もポーターさんが考案したんですよね。それはどのようにして産まれたんですか?

ポーターそもそもアニメ制作のプロジェクトはCrunchyroll※1がくれたんだ。もちろん日本の制作会社とのコネクションもあるから、A-1 Picturesにたどり着いたんだよ。

アニメをつくれるなんて、もちろん願ってもない話だからすごいやる気で、3日間ほどで書き上げてしまったよ。ほんと興奮して寝ずに描いてたんだ(笑)。

超能力を手に入れた少女が世界をコントロールするというボジティブな要素もあるんだけど、最後には悲劇的で心が痛むような話にすることは、はじめから決めていたんだ。

ほかに大切にしていたのは、背景の景色。でも、凜が綺麗な景色の中にいるだけでは物足りないし、それだけじゃストーリーも伝わらないでしょ?

だから、主人公の凜がタブレットを使ってVR世界をコントロールすることで、ストーリーと関連させて背景を進化させていくという方向にしていったんだよ。

※1アメリカの企業であり、日本のアニメ・ドラマ・漫画などのコンテンツを提供する配信サービス。

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「SHELTER」場面カット

──超能力の表現をVRで表現しているのが、このMVの特徴だと思います。日本だと『PSVR』が発売されて、「VR元年」として大きな盛り上がりを見せているのですが、このタイミングは意識されていましたか?

ポータータイミングというよりは、僕は昔からMMORPGをよくプレイしていて──それも悲しいストーリーのものなんだけど──近未来的で、センチメンタルな要素を大切にしてきたので、そのすべての要素をMVで描けるように融合させたんだ。ちなみに僕の部屋もVR的な要素が溢れているし、そこでずっと過ごしているからね(笑)。

でも、VRはまだまだ本当に初期段階だよね。それこそ、ただの電話がインターネットもできるというふうに進化してきたように、VRももっと進化を遂げるはずなんだ。

今だと、ヘッドセットをガッチリつけないといけないし、目眩がしてしまったり……。技術が進めば、ゴーグルをつける感覚でVRが楽しめたり、もっと先にいけば、SFみたいだけど、直接神経に働きかけるようなものもできるかもしれない。

僕はアーティストだから、そんな世界になれば部屋にいながら、コンサート会場にいるような世界になればいいなと想像するし。現実とVRの世界がシームレスになるような進化をしていってほしいね。

──今回のMVで描かれたのは、そんなポーターさんの理想的VRの世界ですか?

ポーター「Shelter」のMVはまさに、今話したようなVRがより身体とリンクして繋がる世界だね。世界の醜いものとか、うまくいかないこととか、そういったものを回避できる、よりよい世界にするためのVRなんだ。

もっとも、最後は悲劇的に終わっちゃうストーリーなんだけど……(笑)。

──MV制作にあたり、ポーターさんとマデオンさん、双方が影響を受けたDaftpunkの「インターステラ5555」※2は参考にされていませんか?

ポーター実は2人で楽曲をつくっている時にも「インターステラ5555」を見ていて、インスピレーションを受けてたよ。連作もぜひやってみたいと思う。

ポーターただ、実はマデオンはまだこのMV見てないんだよね(笑)。1年前くらいにストーリーだけ教えて、トレイラーも見せているから全く知らないわけではないんだけど。なんとなくマデオンには何も言わずに秘密にしていたんだ。

※2「ワン・モア・タイム」「エアロダイナミック」「デジタル・ラブ」「仕事は終わらない」というDaftpunkの楽曲によるオペラ。漫画家・松本零士とのコラボ作品でもある。

──ちなみに、マデオンがアニメ好きだというイメージは全然なかったのですが、実際はどうなんでしょうか?

ポーターマデオンは『名探偵コナン』とか『デスノート』、宮崎駿作品とか少し古いアニメ作品はすごい好きだよ。でも、それより彼は日本のゲームが好き。ゲーマーだからね。

世界で日本のアニメをアピールする

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──今、マデオンとの世界ツアーの真っ最中ですよね。そこで流すアニソンやVJでのアニメ素材は、海外だとどんな反応なんでしょうか?

ポーターアニメをVJで流すことはアメリカのファンの間でも好意的に受け入れられている。違和感がある、みたいな反応は全くうけていないよ。

もちろん、アメリカのファンは皆が日本のアニメを好きなわけではない。VJに使うビジュアルを選ぶ点では、ドット絵とかアニメ映像とか僕の好きなものから、VJで映えそうなものを選んで使ってるんだけど、そんなアニメ好きじゃない人たちも「ポーターのスタイルなんだ」「ポーターはこういったものが好きなんだ」と理解しているんだ。

でも、一番強調したいのは、ワールドツアーと「SHELTER」MVを通して、僕が好きなこと=アニメイラストやドット絵を最大限に世界に向けてアピールしてるということだね。

赤井俊文監督へのインタビュー!

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「SHELTER」場面カット

──ポーター・ロビンソンが持ち込んだという原作・原案への印象は? また、本人からは制作にあたってどのような要望があったのですか?

赤井はじめて見た時は切ないお話だな……と。でも主人公・凛の強さ出せればな~と思いました。曲のサンプルも早めに聞かせてもらっていたので、ストーリーが、曲調とあっていてイメージしやすかったです。

そこから、曲の尺と相談しつつ、どういう方に持っていこうかと。キャラクターデザインを担当した河野さん含めメンバーと話しあったり、イメージボードを描いたりしました。ポーターが来日した時は直接話したりして、方向性を決めていきました。

──世界的な海外アーティストのMVを制作するへの思い入れや意気込みはありましたか?

赤井MVだからといって、変わった映像ばかりというより、見やすく感じやすい物になればいいなぁと思って制作しました。何度も繰り返し見れるような作品づくりですね。──赤井監督ご自身はもちろん、河野恵美さん、(背景美術の)竹田悠介さん、三澤紗千香さんというスタッフ・キャストの布陣にはどのような意図がありましたか? また監督からはどういったディレクションをされましたか?

赤井もともとポーターは、スタートからこのMVをつくるには「河野さんとでないとやらない!」くらいな感じでしたし、河野さんの絵の力、魅力を全面に出してもらえばいいな~と。ぴったり。

竹田さんには、かなり細かく指示を出しつつ、でもやり易いように……と。あがった美術は素晴らしかったです。ぴったり。

三澤さんはオーディションで決めさせてもらいました。キャラの情報が少なく難しかったかもですが、頑張ってもらって良いものになったと思います! ぴったり。

──楽曲から受ける印象をどのように意識されてアニメーションに落とし込んでいかれましたか? また、一番苦労された点は? あわせて、MVの制作期間はどれくらいだったのでしょうか?赤井何もない所から、デザインや設定を決め込んでいくのが難しくもあり楽しかったです。特に苦労とは思いませんでした(自分はですが!)。

またMVなので、見やすくなるように何度も繰り返し確認したり、ただ流し続けたりできるようにという点は意識しました。

制作期間は、何もない所からだと、2016年2月くらいだったかな……。作画は4月くらいに開始しました。

──ポーター・ロビンソンに限らず、日本のアニメーションは世界的に視聴者を獲得し続け、近年でもますます様々な創作活動に影響を与えるようになっていますがどのように感じてらっしゃいますか?

赤井自分にこういう機会を貰えて、ポーターとA-1 Picturesに感謝です。あまり日本のアニメ! と意識したことはないですが、良いアニメがあればどこの国のアニメでも切磋琢磨していければと思います。

「今、日本のアニメは増えすぎだ!」ということも囁かれていますが、TVに限らず、若いいろんな人のチャンスの場が多いのは良いことだと思いますし、それを自分の糧にして、良いものをつくっていけばいいと思います。

なにより「SHELTER」ぜひ、たくさんの人に見てもらいたいです!

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