多様な映像を通してフクシマの今を伝える「福島映像祭2017」開催。「Life 生きてゆく」で映画とテレビの新たなループも発見

多様な映像を通してフクシマの今を伝える「福島映像祭2017」開催。「Life 生きてゆく」で映画とテレビの新たなループも発見

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  • 更新日:2017/09/15

多様な映像を通してフクシマの今を伝える「福島映像祭2017」開催。「Life 生きてゆく」で映画とテレビの新たなループも発見

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福島第一原発事故にまつわるあらゆる映像を集めて上映する「福島映像祭2017」が、9月16日(土)から1週間、東京・中野区のポレポレ東中野で開催されます。この映像祭は2013年にスタートし、今年で5回目。映画やテレビ番組、さらに一般市民によって記録された多様な映像を通して、福島の人々や地域のさまざまな表情、姿を映し出していくものです。劇場での映画上映とカフェスペースでの上映&トークの2つのパートで構成されていて、映画監督の舞台挨拶や制作者と直接対話できるのも特色です。

劇場では、特別プログラムを含む6作品を上映。この映像祭で毎回上映されてきた「福島 生きものの記録 シリーズ」の最新版や、被ばくした牛たちを殺処分せず生かし続ける畜産農家を記録した「被ばく牛と生きる」など、命の価値や尊厳を問い、福島の実態、そこでの暮らしを克明に描いているドキュメンタリーばかりです。この中で注目したいのは、津波で失われた生命(いのち)をおもい続ける家族を通して生と死の現実の描いた「Life 生きてゆく」。映像ディレクター・笠井千晶さんがクラウドファンディング・プロジェクトとして取り組み映画化したものです。今年7月2日にNNNドキュメント枠で「Life ‐原発事故と忘れられた津波‐」(日本テレビ系)が放送されたのですが、これはこの映画を24分の番組に再構成、再編集したものでした。これまでNNNドキュメントでは、「X年後」(南海放送制作)や「ふたりの桃源郷」(山口放送制作)などの番組を映画化し劇場公開してきましたが、この「Life ‐原発事故と忘れられた津波‐」は映画を再編してテレビで放送するという、これまでとは逆の動きになりました。

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その背景は、「Life生きてゆく」の監督・撮影・編集を手がけた笠井千晶さんが元々テレビ局の報道記者、ディレクターだったことに起因していると言えるでしょう。現在はフリーで活動している笠井さんですが、1998年にSBS静岡放送に入社後、ドキュメンタリー番組の制作に携わりました。2004年に放送した「宣告の果て~確定死刑囚 袴田巌の38年~」で早くも日本民間放送連盟賞 テレビ報道番組最優秀賞を受賞。その後、渡米を経て中京テレビ報道部に籍を移し、NNNドキュメント’09「法服の枷~沈黙を破った裁判官たち~」では石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム賞(公共奉仕部門 奨励賞)を受賞。密室性の高い司法界の現場に風穴を開ける粘り強く勇気ある挑戦が評価されるなど、ドキュメンタリー制作の現場で実績を積んできました。東日本大震災発生した2011年の夏から福島県南相馬市に通い続け、原発事故の影に隠れなかなか報道されない津波の記録を伝えたいと、映像を記録する日々を始めました。その間2015年にフリーに転じ、5年以上にわたる取材を重ね、昨年暮れにこの映画を完成させました。そして福島をはじめ今年各地で上映を続けています。5月には名古屋で、中京テレビでの上映会を行い、これがきっかけとなり同局制作のNNNドキュメントとして全国放送されるに至りました。
笠井さんの真っすぐな思いはクラウドファンディングを通じて多くの人の賛同を得て映画となり、またこれまでのキャリアで築いた人脈を縁に再びテレビへの帰還することになったのです。笠井さんは「テレビ、映画の垣根を越えてドキュメンタリーをさまざまな形で自由に世に出していくことは、ずっと思い描いてきた理想のスタイル」と記していますが、ドキュメンタリーの現場に新しいムーブメントを起こしたように思えます。笠井さんは、福島を引き続き取材するのと並行して、浜松を拠点にもう1つのライフワークである袴田巌さんの取材にも取り組んでいます。今後の活動にさらに注目していきたい制作者です。

また、3つのテーマで上映&トークが組まれているイベントパートでは、18日開催の「福島中央テレビの現場から」が気になるところです。この映像祭の第1回から参加されている地元・福島中央テレビ取締役報道制作局長の佐藤崇さん(写真)をゲストに招き、同局のニュース番組「ゴジてれChu!」で放送された実際のニュースクリップを流して、ニュースの背景やテレビの裏側について聞いていくこの映像祭の恒例企画です。今回の聞き手は、ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2カ月」(2011年放送)を手がけたNHKの七沢潔さん(現在はNHK放送文化研究所上級研究員)ということで、興味深い2ショットが実現。現地の表も裏も知り尽くす両者によるクロストークは、この映像祭の価値をより一層高めることと思います。

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