AK-69が語る、ニューアルバム「DAWN」:インディペンデント・キングの"新たな夜明け"

AK-69が語る、ニューアルバム「DAWN」:インディペンデント・キングの"新たな夜明け"

  • RollingStone
  • 更新日:2016/11/29
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AK-69が語る、ニューアルバム「DAWN」:インディペンデント・キングの"新たな夜明け"

日本を代表するラッパーAK-69が、USヒップホップの名門レーベルDEF JAMと契約、26歳の若さで急逝した友人への思い、そして新たな"夜明け"を表現したニューアルバム「DAWN」について語った。

"インディペンデント・キング"AK-69。日本を代表するラッパーである彼が、RUN-D.M.C.やBeastie Boys、Nas、JAY-Zなどが綺羅星の如きアーティストが所属したUSヒップホップの名門レーベルDEF JAMと契約を結んだ事が発表されたのは今年4月。1月の自身が代表を務める「Flying B Entertainment Inc」の設立と共に、その2つのニュースは大きな注目をもって迎えられた。

「次なるステージに歩を進める為に必要な動きだったんですよね。もっと自分が音楽に賭ける思いだったり、情熱を形にするには、現状より攻めた姿勢を取るには、リスクを背負ってでも、こういった新たな展開をする必要があったし、そこで生まれる可能性を見つけたかった」

ただ、「インディペンデントとしてリスクを背負う」と一言に言っても、AK-69の置かれている規模は、「ソロで武道館ライヴを開催する人間」という例を一つとっても、その規模はいわゆる「インディーズ」とは桁違いだ。

「自分のこれまでの実績を考えれば、大手の事務所に入っても自分の意見は通すことが出来ると思うし、その方が音楽ビジネスとしても動きやすい事は分かってる。だけど現状、自分の立ち上げた事務所は3人しかいないし、豊洲PITのライヴや、ZEPPツアーでさえ、基本はその3人で動かしたから、自分でも大変すぎてギャグだと思う(笑)。そういう、コネクションもほぼゼロの中で動き始めてるけど、この不利な体勢から勝ち上がったら、そこには夢があると思うし、単純に言えば「男として」「AK-69として」険しい道を進む事で、更なる成功を勝ち取りたい。音源自体も、DEF JAM/UNIVERSALの流通ではあるけれども、制作自体は完全に自分たちで仕切っていて。だから、完全にインディペンデントのスタンスは保てているし、やってることは変わってない」

「インディペンデント」と「インディーズ」は、似て非なるものだ。後者は音楽業界においては流通形態の事を指すが、「インディペンデント」はそれを超えて、スタンスや精神性とも関わってくる。その意味でも、AK-69は、メジャー流通になろうとも、その基本思想はこれまでと変わらず「インディペンデント」である。

「俺の音楽は超リアルだし、メルヘン、ファンタジーじゃない分、余計に自分のアティチュードが作品に反映される。そして、それは俺がインディペンデントだからこそ、それがリアルに伝わると思う」

彼が移籍したDEF JAMは過去に日本からも参加したアーティストがいたが、その一人がTOKONA-X。AK-69と同じ1978年生まれの彼は、「名古屋」の地名をヒップホップ地図に大書した男であり、AK-69とも“Lew me know ya...feat.kalassy Nikoff”で共演している。しかし、2006年に26歳の若さで急逝した。

「DEF JAMと契約したのは、ヒップホップにとって金看板だっていうこともあるけど、一番大きかったのはTOKONA-Xがいた事。TOKONAがDEF JAMと契約した時、物凄く嬉しかったと同時に、悔しかった。そして、あいつがこの世を去った事で、あいつが志半ばだったことや、同じ土俵に登れなかったーー俺はまだ当時ペーペーだったからーーこと、そういういろんな悔しさはずっと残ったままでもあって。だけど、俺がDEF JAMと契約する事で、俺自身の悔しさを解消すると同時に、TOKONAの意思を注いで、次のヒストリーを生み出すことが出来るのと思ったんですよね。。今回のアルバムがTOKONAの命日(11月22日)の次の日にリリースされる事になるのも、偶然にDEF JAMから提示されたリリース日がその日で。そこにも運命的な部分を感じましたね」

そして完成したニュー・アルバムには「DAWN」、つまり「夜明け」という名前がつけられた。今回のアルバムはメロウさやオーセンティックなビート感が強く、リリックとしても、勝ち上がりや王座といった「勝者」の意思はそこまで強く押し出されず、ラヴ・ソングやライフ・スタイルのような、ある意味では日常的とも言える内容が作品に通底してる。

「今回はシンプルに、「自分のベーシックな部分」を打ち出した作品になってると思う。それはヒップホップの部分も勿論だけど、子供の頃に聴いてたクラシックだったりJ-POP、ブルーハーツや尾崎豊みたいな、自分の中の基本にあるモノという意味でも。流行や先端というフィルターを通さずに、自然に自分の中にあるものや、根本にあるものを素直に打ち出してみたかった」

アルバムを閉じる"KINGPIN"もそのタイトルとは裏腹に、「王座の目線じゃなくて、俺もお前と一緒だったんだからなっていう、「BOTTOM」の時期を歌っていて」と話すように、勝ち上がる前、つまり彼にとっての最も闇の深い「夜明け前」が表現されている。そして、この曲はアルバムの冒頭を飾る「DAWN」という夜明けに繋がり、アルバムは循環していくのが興味深い構成だ。そして、そのアルバムに通底するのは、暖かな肯定のメッセージ。

「今までのメッセージが「負けるな!」だとしたら、今回は「負けちまっても、次があるだろ」かも知れない。負けた事も認めて、その先に進む事も「強さ」なのかなとも思うし、それがシンプルに書けるようになった。それは着飾って強さを押し出さずに、Tシャツにジーンズでも「俺はAKだから」って事を認められるようになったからかな。俺の作品を好きだっていう声援と同時に、嫌いだって言う声も、陰口をいう奴がいることも分かってる。でも、俺のやってきた事はヒップホップでしかありえないし、その自分の根本を出そうというのが、今回意識した事でもあり、その中で自然に出てきた言葉ですね」

その意味でも、"Streets feat.2WIN (T-PABLOW & YZERR)"で描かれるストリートも彼の原点である。

「2WINは若いし、先端のロービートを上手に使ってるけど、もしNasがニュー・カマーと一緒にやるときに、果たして最先端のビートに合わせるかなって。そう考えると、これがAK-69ーーそれはB-ninjah & AK-69やKalassy Nikoffの頃も含めてーーだって世界に引きずり込むのが正しいんじゃないかなって。その意味でも、オーセンティックなストリート・アンセムを彼らと一緒に作りたかったんですよね」

また、他には「負けられねえなと思う同世代の盟友。一緒にトレーニングもしている(笑)」と話す般若や「NYに住んでいたからこそ繋がった」というFAT JOE、Flying Bに所属する同じ名古屋のCITY-ACEや、シンガー:HIDE春などヒップホップ/R&Bアーティストに加え、UVERworldと清木場俊介の参加も大きなトピックだろう。

「今まで繋がりの無い人とは一緒にやってこなかったのは今回も変わらなくて、UVERも清木場くんも、ライヴを見に来てくれたり、人の縁があったりで、運命的に繋がってたんですよね。UVERは誰ともコラボしてこなかったんだけど、AKくんとならって事で参加してくれて。清木場くんも一匹狼みたいな人だから、シンパシーを感じる部分が強いですね。決してメジャーだからって事で無理に一緒に制作した訳では全く無い」

このアルバムで新たな夜明けを迎えたAK-69。その陽の差す方向へは、どういった意思を持っているのだろうか。

「音楽がタダっていう構造が当たり前になるような時代だから、現実的に厳しいことも沢山ある。でも根底にある「人の心を動かす音楽を作る」という事は変わらないし、それを続けて行きたい。そして、DEF JAMの看板とかツレ(TOKONA-X)の意思を背負って作ったこのアルバムがみんなに伝わった時に、また新しい一歩が踏み出せるのかなって。俺は今まで予告通り夢を叶えてきたんで、このアルバムを経て、また新しいドラマが進んでいくって事を確信してるし、そのドラマを感じて欲しいですね」

AK-69

"険しい道を敢えて選ぶ"という自身の歌詞にもある通り、勝ち上がり辛い環境から、頂点を目指すラッパー。音楽アワードMTV VMAJ 2016にて「BEST HIP HOP VIDEO」を受賞。ニューヨークのNo.1 HIP HOPラジオ局と名高い”HOT97”に日本人として初のインタビューを受け、同局主催イベントへのライヴ出演も果たす。国内では、2014年に日本武道館を含むアリーナツアーを成功させ、翌2015年にはキャリア最大規模となる全国13都市を回るホールツアーを開催した。2016年1月、さらなる"インディペンデント"を求めて、自身が代表を務める「Flying B Entertainment Inc.」を設立。2016年4月、伝説的なHIP HOPレーベル「Def Jam Recordings」の日本での再始動後初のアーティストとして電撃契約を果たす。

http://www.ak-69.jp/

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【初回盤】

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【通常盤】

『DAWN』

発売中

Def Jam Recordings

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