止まらぬZOZO離れ。前澤社長が踏んだ「業界の闇」という名の地雷

止まらぬZOZO離れ。前澤社長が踏んだ「業界の闇」という名の地雷

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  • 更新日:2019/03/12
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まさに順風満帆、飛ぶ鳥を落とす勢いとも言われた前澤社長率いるZOZOですが、徐々に陰りが見え始めているようです。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、ゾゾタウンから出品ブランドが退いてゆく、いわゆる「ゾゾ離れ」を実利面と感情面から分析した上で、「ゾゾ離れは限定的とは考えない方がいい」としています。

ゾゾ離れ、前澤社長「業績への影響はほぼない」訳がないワケ

衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」からブランドが次々と退く「ゾゾ離れ」への対策を急いでいたZOZO(ゾゾ)は、ゾゾタウン上での値引き価格の表示方法を出店者が設定できるように改めた。反発を強めていた出店者側に配慮を示した格好だが、これにより「ゾゾ離れ」は収束するのか──。

ゾゾが昨年12月から始めた有料会員向けサービス「ZOZOARIGATO(アリガトー)メンバーシップ」(以下、アリガトー)が波紋を呼ぶことになった。アリガトーを導入してからサイトでは原則、値引きした会員向け価格が表示されるようになったが、値引きによるブランドイメージの低下や自社通販サイトとの競合を懸念する出店者との間で摩擦が起き、出品停止が相次いだ。

アリガトーは年間3000円(税別)または月500円(同)の会員料を払うと、ゾゾタウンで常時10%引きで買い物ができるというもの。なお、値引き分はゾゾが負担するので出店者に経済的負担は生じない。

ゾゾによると、1月31日時点で1255ショップ中、42ショップが出品を停止した状態だという。こうした「ゾゾ離れ」について前澤友作社長は1月31日の決算会見で「業績への影響はほとんどない」と強気の姿勢を示した。

一方で、こうした状況を受けてゾゾは、割引価格を表示しないこともできるよう、表示価格を出店者が選べるシステムを導入することを表明していた。そして2月26日、値引き前の通常価格や値引き後の価格などサイト上に表示する価格を選べるようにしたと発表した。また、これと合わせて、2月24日時点で取り扱い商品数が前年同日比で約15%増加していることから「ゾゾ離れは限定的」との見解を示した。

だが、これをもって「ゾゾ離れ」が収束するかは予断を許さない。今回の騒動をきっかけにゾゾタウンから撤退して自社の通販サイトの強化に動く企業が続出する可能性は十分ある。また、すぐには撤退しないとしても、しばらくは様子を伺いながら機を見て撤退する腹を決めた企業がいてもおかしくはない。

カジュアル衣料品のライトオンが撤退したのが興味深い。というのも、撤退や出品停止していたのはオンワードホールディングス(HD)や子ども服ブランド「ミキハウス」などハイブランドが中心だったためだ。こういったハイブランドは安易な値引きがブランドイメージの低下に直結してしまうのでアリガトーを快く思わないのはよく理解できるが、カジュアル衣料品であれば影響はそれほどではなく、ライトオンの場合、アリガトーの10%引きによるブランドイメージの低下は極めて限定的と考えられ、そのことが撤退の直接の理由とは考えにくい。

ライトオンがゾゾタウンから撤退するにあたって、アリガトーの導入は一つのきっかけにすぎなかったのだろう。

「ゾゾ離れ」でBtoB事業にも大きな痛手

ライトオンは2021年8月期までの3カ年の中期経営計画においてネット通販を成長戦略の中核に据え、自社の通販サイトを強化する方針を掲げている。ゾゾタウンやアマゾンなど外部の通販サイトでも販売を強化していくとしていたが、やはり主眼は自社サイトの強化にあったのだろう。そういった状況で、手数料が他の通販サイトと比べて高いとされるゾゾタウンで無理をしてまで販売する必要はないと考え、アリガトーの導入をきっかけにゾゾタウンから撤退したのではないか。

ゾゾタウンは圧倒的な販売力を誇るが、出店者は販売金額の3割強とされる手数料を支払わなければならず、もうけが少ないとの不満の声が少なくない。自社サイトの顧客がゾゾタウンに流出してしまえば、その分、利益は減ってしまう。利益率の改善を目指しているライトオンとしては、高い手数料を支払わなければならないゾゾタウンではなく自社サイトで販売を伸ばすことで利益率を改善したいとの思惑もあったと推察される。

ライトオンのようにゾゾタウンからの撤退、もしくはゾゾタウン依存からの脱却を図りたいと考える企業は少なくないだろう。オンワードHDがゾゾタウンから撤退したのも、できるだけ自社サイトで売りたいとの思惑が大きくあったはずだ。

ユナイテッドアローズもそうだろう。同社は開設当初からゾゾタウンに参加し今も出店を続けているが、脱ゾゾタウンは進んでいる。自社サイトでの販売を強化した結果、18年3月期の自社サイト経由の販売割合は前期比3ポイント増の23%に拡大した。一方、ゾゾタウン経由の割合は2ポイント減の57%に低下している。現状はゾゾタウンに強く依存している状況だが、脱ゾゾタウンが徐々に進んでいる。

アローズが自社サイトの開発体制を変更すると表明したことも見逃せない。アローズは現在、ゾゾの子会社であるアラタナに通販サイトの開発を委託しているが、19年10月以降にそれを改め、開発委託先を切り替えるという。これによりアローズのネット通販は自社運営に移行することになり、柔軟な対応ができるようになるほか、将来的には収益の改善が期待できる。これも「ゾゾ離れ」の一つといえるだろう。

このことはゾゾにとって大きな痛手だ。アローズはゾゾのBtoB(企業向け)事業における大きな取引先であるため、アローズが離脱することでゾゾはBtoB事業において大きな打撃を被ることになる。18年3月期のBtoB事業の取扱高は75億円で、20年3月期に200億円を目指すとしているが、計画の見直しが避けられないだろう。

このように、収益改善など実利の面から「ゾゾ離れ」が進んでいるわけだが、実利以外の面が起爆剤となって「ゾゾ離れ」が起きていることも見逃せないだろう。特に問題となっているのが前澤社長の言動に対する“感情面での反発”だ。前澤社長はツイッターで女優との交際について発信したり、総額1億円のお年玉企画を打ち出すなどし、批判を浴びた。これらに対しアパレル企業が「前澤社長はけしからん」と感情的になり、それが「ゾゾ離れ」につながった側面があるのではないか。

前澤社長が理解していなかったこと

「ゾゾ離れ」につながったという点で致命的だったのが、衣料品の原価の話を前澤社長がツイッターで発信したことだろう。「いまお店で約1万円くらいで売られている洋服の原価がだいたい2000~3000円くらいだということを、皆さんはご存知ですか?」などと投稿、実店舗で販売している衣料品は「ぼったくり」と言わんばかりのツイートが相次いだ。これらツイートは、アリガトーの値引きに無理解なアパレル企業に対する苛立ちと捉えることができる。それに対してアパレル企業は反発した。アパレル業界の闇を暴露したようなものだからだ。

こういったツイッターでの失言など前澤社長の言動が「ゾゾ離れ」につながった側面がある。ビジネスが実利とは無関係の“感情”で動くことがあることを前澤社長は深く理解していなかったのではないか。

いずれにせよ、「ゾゾ離れは限定的」とは考えない方がいいのかもしれない。

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