精神的に男性と愛情をつむげない私が、閉経後に気づいた「ペニスが嫌い」という本音/神田つばきインタビュー「子宮を手放し、性の冒険に出た私」【3】

精神的に男性と愛情をつむげない私が、閉経後に気づいた「ペニスが嫌い」という本音/神田つばきインタビュー「子宮を手放し、性の冒険に出た私」【3】

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  • 更新日:2017/08/11
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果たしてちんぽは届くのか。イラスト/大和彩

前篇・中篇にわたって『ゲスママ』(コアマガジン)の著者、神田つばきさんに子宮摘出、母性、更年期そして手術後に出られた「性の冒険」についてうかがってきました。最終回であるである今回は、男性嫌悪や「解放としての閉経」そして「生にも性にも真剣に生きること」などについて話していただきます。

*   *   *

――私は手術した影響で、家族のような人がいたらいいなと最近思うようになりました。先ほど、神田さんは恋愛では充実はなかったとうかがいましたが。

神田つばきさん(以下、つばき):私は精神的に男性と愛情をつむげないんです。親しむ段階を一段階、飛ばしちゃわないとセックスに行けない。だからSMじゃないとダメだったの。SMだったら、大丈夫。

――親しむ段階を一段飛ばしたい気持ち、わかります。実は私も初対面で会ったら速攻でホテルに行ってしまうほうが正直いうとラクです。それがよいことだとは思ってないんですが。

つばき:そうなの、そうなの! すぐ「脱げ」といわれると「助かったぁ、いろいろ聞かれなくて」と思います。

――男性と出会って「まずお食事」とはならないタイプですか?

つばき:お食事はお腹が空いていたら行くとしても、そこでやさしい会話があんまりできない。

――私も一緒です。男性と会話してると、イライラすることが多くて。

つばき:本当? 閉経して最近気づいたことなんですが、私はペニスが怖いし、嫌いなんです、男が。

――むむ? 「ちんぽが嫌い」ということですか?

つばき:ちんぽが嫌いなんです。父親が家にいなかったから、ちんぽをあまり見たことがありませんでした。でも負けるみたいで「ペニス嫌い」とはいいたくなくて、すごくがんばってたんです。けど、私、たぶん嫌いです。

――わたしも嫌いなんですよ……、ちんぽ(ボソッ)。

つばき:わあ~仲間がいた~。

私たちは、ちんぽが嫌いなんだ。

――フェラチオとかも、嫌で……。神田さんはどうですか?

つばき:本当は嫌。ただすごく上手くなってく自分が、相手をヒイヒイいわせるのだけは楽しい。もうゲームです。弱点を見抜いたら終わりで、もうしたくない。

――『ゲスママ』に書かれているように出会い系で男性を募っていたときから、ちんぽはお嫌いでしたか?

つばき:ちんぽ好きじゃなかったですね。男性に「ちんぽ好きっていってごらん」っていわれるとすごく困って、ぜんぜん別の、もっとすごいこといってごまかしてました。ただ、いま思うと、大和さんのように家族になりたいって思うんなら、やっぱり会話はあったほうがいい。性だけで結びついて最後まで一緒にいるってことは無理なんですよ。

――そうなんですね。

つばき:体から入った相手とは、その後会話しても、やっぱり最後は体で終わっちゃうの。だからどっかで会話ありきの関係にうまいことシフトしていったほうがいいかもしれない。

――会話は大事なんですね

つばき:今後、男性と恋愛していくとしたら「私は本当はペニスが苦手だったんだよ」と話すところから始めないといけないと思っています。それができたらもっとやさしくなれるかなあって期待しています。

――私も会話からの関係スタートを目指します。

つばき:セックスを超越できるかしら、私。セックスができなくなったら誰とも親しみあえなくなる可能性もゼロじゃないし。愛と性を両方実現しないといけないんだな、ってことは漠然とわかってきました。けど、私はもしかしたらできないかもしれないなぁ。世の中にはもしかしたらひとりでいることの方が向いてる人間がいて、私はそれなのかも、って思ってる。

――もし仮に男性の家族ができたとしても、女性のほうが寿命も長いですし、私は結局、最後はひとりになると思っています。女性ならば、ひとりになる覚悟は大事なのかもしれません。

つばき:そうかも。ホームに入ってからまた恋愛する方とかもいるし。大事なことなのかもしれないですね。

――私は子宮内膜症になって長いので、子宮を摘出することが病気からの解放になるとずっと思っていました。神田さんはいかがでしたか?

つばき:子宮を取ることで解放されるとは、当時まったく思ってなかったです。これによってますます不幸になると思って。

――解放感はなかったんですね。

つばき:なかったですね。子宮を取ったから「これで避妊考えずにセックスできるわ」とかもなかったし。性病を考えると、っていうのもあるけど、プラスに捉えることはできませんでした。

――それは当然だと思います。

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神田つばきさん

――神田さんは更年期からの閉経もご経験されています。

つばき:いまはすごく解放感があるんですよ。子宮を取ったときよりも閉経後のほうが解放感があります。閉経して「もう卵巣が、かじかんでなくなる寸前ですよ」って宣告された日から素に戻って、少女のころの心に戻りました。

――閉経は解放にもなるんですね!

つばき:私は卵巣が小さくなっているから「男になったんだな」っていうのが精神的にはあるの。不思議なんですけど、卵巣が小さくなってから、男に媚びる気がゼロになっちゃったの。もうひどいのよ、私。

――そこは閉経されてから変わったんですか?

つばき:私の場合は変わりましたね。それまでは「愛してもらえるように、かまってもらえるように、セックスしてもらえるようにがんばる」みたいな気持ちがすごく強かったの。でもいまは、ぜんぜんない。そういうのがめんどくさくなって。

――閉経をポジティブなものと捉える見方もあると知れて、たいへんうれしいです。

つばき:閉経は女の終わりっていうイメージじゃないんです。私は男に対していろいろな態度や角度を作っていたことを辞められた。それまでは気がつくと媚びていましたが、媚びなくなった自分がいま、すごく楽で面白いです。パートナーとも、最近やっと対等になれたなあって思っています。

性に関心が低い人のほうが野蛮

――「年下が好きです」とマッチングアプリのプロフィールに書くと、私には何のSM経験もないのに「踏んでください」「目隠ししてください」「言葉攻めしてください」などとメッセージがくるのですが、これは一体なんなんでしょうか? SMチックなものを、何も考えずに表面的に消費したがる人が最近の世の中には多いのでしょうか?

つばき:私は手術をしたことで、何か大きなものを失いました。逃げ場がなくなってから性の冒険をしたので、肉体に負荷の高い行為をするところまでいったんです、すごく真剣に。けれど普通、人はそこまで真剣ではない。そういう人たちがSMっていう記号を見たときに「楽しい洗練された大人の遊び」って思ってしまうのを、私はやめろとはいえないですね。ただ一緒にしないで、とは思います(笑)。

――なるほど生きることに真剣じゃないから性にも真剣じゃないんですね。

つばき:世の中全体が「子どもができればいっか」「ケンカしない程度にやればいっか」「女の人が文句いってなければいっか」みたいに、どんどんライトになってる傾向は否めませんね。そのなかでの俺はSだよ、私はMだよ、なので、理解が浅くなっていくのはしょうがないですよ。縛りだけ覚えても何にもならないのにね。

――先日初めてハプニングバーにお邪魔したんですが、あそこはリテラシーの高い場ですね。

つばき:海外はわからないですけど、日本では性に関心が高い人と低い人と、どっちが野蛮かっていうと、低い人のほうが野蛮なことをする傾向がありますね。すると、関心ある人のほうが、思いやりも持たざるをえない。

――ハプバーで「子宮を取ってもセックスでイケるか試したい」っていったら、みなさん偏見なく受け止めてくださって、逆に衝撃でした。

つばき:いい話ですね。いわゆる「一般」の人のほうが「子宮取ってまでやりたい?」っていいそう。

――性の快楽は歳とともに変化していきますか?

つばき:いま思うと、40代半ばから50歳くらいの、更年期前半にあたる時期が一番深くイキました。もうすぐ終わりだと思って、なにかが一斉にはじまっちゃったのかしら。いまはその頃ほどじゃなく、快楽もゆるやかな感じになってちょっと寂しい。

――お友だちを見送るようなお気持ちでしょうか。

つばき:そうですね、体の防衛本能で、心臓とかを守ってるんじゃないのかな。なんか嫌だな、「消化試合みたいなセックスしかできないじゃん」と思うときもあります。40代の人が一番羨ましい。昔の人は「40しどき」といいましたが、嘘だろうと思ってたんですよ。けれど、いま思うと40代が一番ポテンシャル高かった。

生きることに真剣だから、性にも真剣

――まとめとして、子宮を摘出しても、「女でよかった!」と感じることはできるということですよね。

つばき:できますできます! むしろなくなってからできる人もいるかもしれないですよ。妊娠をすごく怖がってる人もいらっしゃるから。

――私も「女でよかった」と思えるようにがんばります!

つばき:こんなに健やかな、女性の後輩が活動してるっていうのはとってもいいこと。いいですねぇ。なんか楽しみ~。大和さんはこれから船を出すって感じがします。きっと毎日が醍醐の花見だよ!

――ありがとうございます!

*   *   *

神田つばきさんが話してくださった子宮摘出、母性、閉経、さらにさまざまな経験からくる性に関しての考察は、男性に都合の悪い情報も含まれているからでしょうか、多くの女性が黙して語ろうとしないことのない要素が盛りだくさんで、私にとっては初めて耳にすることばかりでした。

生きづらさや、閉塞感や孤独を感じている女性にとっては、神田つばきさんがお話しくださったような、日本ではなかなか公にされないこ真実こそが救いになるのではないでしょうか。

『ゲスママ』を拝読したあとに直接お話する機会をいただき、神田さんの心の内面を見つめて言語化する深い知性、そしてご自身の経験を語る勇気に、改めて尊敬の念を抱きました。

「子宮にちんぽが届くまで~摘出前後のセックス~」では性的に思い切った行動をとる主人公を書くうえで、実際にはまだ迷いもあるのですが「生きることに真剣な人は、性にも真剣」という神田さんの言葉で、自分まで肯定していただけたようで少しふっ切れました。この連載を始めた動機は「子宮摘出をした人にアドバイスできるようになる」というものです。私も神田さんのように、自身の経験を他の女性に語っていけるように精進したいです。

子宮内膜症などの女性疾患、閉経や子宮摘出などで苦しんでいる女性にこの稿がお役に立てれば幸いです。みなさんにも醍醐の花見が訪れますように!

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