北九州のド派手な成人式を支える貸衣装店「みやび」がすごい

北九州のド派手な成人式を支える貸衣装店「みやび」がすごい

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  • 更新日:2017/08/11

私の手元に「みやびBOOK」というカタログがある。

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北九州市小倉の貸衣装店「みやび」が毎年制作しているカタログで、中を開くとこんな感じだ。

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毎年1月にワイドショーなどで話題になる北九州のド派手な成人式。新成人たちが、「どこでそんな振袖や袴を調達したんだ!?」と聞いてみたくなるような目立ちまくりの衣装に身を包んでテレビに出ているが、ああいった衣装をレンタルしているのがこの「みやび」なのである。

色彩の渦!

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毎年500人~1,000人もの新成人が「みやび」の衣装を着て成人式に参加しているのだという。競合他社もほぼ存在せず、この分野では「みやび」が独走状態だとのこと。

YouTubeで北九州の成人式の様子を紹介

「みやび」の公式サイトをのぞいてみると「みやびTV」というYouTube動画がアップされている。これを見てみると、「みやび」の衣装に身を包んで目立ちまくる新成人たちが次々に登場する。至って地味な成人式を迎えた私にとっては、もう、貧血で倒れそうな迫力。

肩に金色のバラをあしらった衣装。

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まるで天使のようにも見える。

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彼らにとって成人式とはまさに「とりあえず派手に目立ってなんぼ」のパーティーなのだ。

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電飾付きでキラキラ光る衣装には特に驚いた。

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多くの新成人が「みやびにしてよかった」、「みやびだからこ自分の理想の衣装にできた」という内容の発言をしており、沸き起こる“みやびコール”からもその愛されっぷりが伝わってくる。

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動画を見ていると、どのようにしてこれらの衣装ができあがっているのか、非常に気になってくる。また、そのお値段や着付けの舞台裏のことなども知りたくなる。そこで思い切って「みやび」の代表・池田雅さんに取材を申し込み、お話を伺うことにした。

新成人の要望に答えるため始めた派手な衣装

――カタログ「みやびBOOK」を拝見してとにかくその派手さに圧倒されました。「みやびTV」も自分の知らない世界を覗き見しているようですごく面白かったです。改めて「みやび」さんの行っているサービスの概要について教えていただけますでしょうか!

「元々はブライダル中心の貸衣装店で、衣裳、美容、写真まで一貫してハイクオリティなものを提供しておりました」

――なるほど、現在もブライダル衣装やパーティードレスのレンタルをされているんですよね。そこに成人式のあの派手な衣装が加わったわけですか?

「2003年のある日、全身金と全身銀の『金さん銀さん』で成人式に行きたいという新成人男性2名が現れまして(笑) 当時、弊社ではそういった衣裳は取り扱っていなかったので、京都のメーカーに問合せたり、色々探しまわったんですが、既製品は全く存在しなかったんです。それでもなんとかしてお客様のご希望に沿いたいと、生地から特注で作りました」

――「金さん銀さん」! 最高過ぎるアイデアですね! 国民的な人気者だったご長寿の姉妹と同じ響きだけど方向性が全く違うという。

「その金さん銀さんで実際に成人式へ行ったところ、インパクトもあって大好評だったらしいんです。北九州では、後輩が先輩にお祝いの花束をプレゼントする風習があるので、成人式を見に行く後輩さんたちも結構たくさんいらっしゃるんです。先輩の衣装を見た後背が、『自分たちの成人式でもああいう衣装を着たい!』と思ってくださったようで、それからすごくたくさんの後輩の方々を紹介していただくことになりました。しかも、みなさん、基本的に『先輩よりもっと良いものにしたい! 派手にしたい!』という方が多いので、そのご要望を聞いてやっていくと、どんどん派手になっていきます(笑) 時には無理難題を言われることもありますが、できる限りかなえてあげたいので、なんとか頑張って毎年作っています」

――うちにはそういう衣装はありません!で終わらずにリクエストになんとか応えたいという姿勢から生まれたものなんですね。

「『細かい要望にできるだけ120%で答えたい!』という気持ちで精一杯頑張っています」

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完成に7~8カ月かかった衣装も

――「みやび」は北九州小倉が本店で、東京の銀座や西葛西、千葉にも支店があるそうですが、そちらの支店ではこういう衣装は作っていないんですか?

「希望者がいれば、小倉の本店で作ったものを各店に送っています。最近は少しずつ関東の成人式の衣装も派手になってきている気がします」

――なるほど全体的に派手になっていっているんですね。時代によって少しずつスタイルは変化していますか? 流行なんかもあったりするんでしょうか。

「扇子や旗は、もはやマストアイテムになっています。これも、うちでデザインを担当していて、細かい修整を何度も入れながらデザインを完成させ、扇子や旗の製作会社に発注して作ってもらっています。お客様が友人とお揃いでデザインを考えたり、細かい調整のための打ち合わせで来店されたり、毎日のように誰かが来て、ワイワイやっています」

――羽織袴のデザインもすごく個性的ですよね。新成人の一人一人のこだわりが反映されたものになっているようですが、あれもデザイン段階からご本人と話しあって作っていくんですか?

「そうです。基本的に、お客様と何度か打ち合わせをして具体的に少しずつ、デザインを見せて、生地を見せて、縫製して形にしたものを見せて、ファーや特殊衿などのオプションをつけた状態で見せて、と、間違いがないか確認しながら進めていきます」

――すごく時間がかかりそう……。「みやびTV」の中でも、「この衣装を作るのに7~8カ月かかった」というようなことをお店の方がおっしゃっているのを見ました。

「お客様が希望するもので、それに合った既存の生地があるならそれを探して、無い場合は織る所からやる場合もあります。その場合は、デザインをパソコンで作って工場に織ってもらいます。そう言う場合は、一から作る事になるので時間も手間もすごくかかります」

――当然、お値段も高価なものになりますよね。衣装を作るのにだいたいどれぐらいのお金がかかるものなんでしょうか?

「注文内容によりかなりのばらつきがありますが、製作費で30~100万円ぐらいでしょうか」

――やはり凝れば凝るほどお高くなるんでしょうね。そうやって作った衣装は、販売ではなくレンタルするんですか? 今さらな質問ですみません。

「基本的にレンタルがほとんどです」

――そうなんですか! 名前や地域名の刺繍が入ったものなどはレンタルに不向きだったりはしないのでしょうか。

「名前の刺繍は刺繍ワッペン形式になっているので、どの衣裳の上からも縫い付ける事ができます。なので、翌年は後輩が着たりという事もできるんですよ。オリジナルの扇子はレンタルではなく販売しています。デザインは弊社で行っていて、記念になるのですごく好評です。最近は注文数が年々増えています」

――なるほど。ちなみに、テレビのニュースなどでは“荒れる成人式”というようなくくり方で、暴走する若者っていうようなイメージで報道されがちだと思うんですが実際はどのような方々なんでしょうか?

「基本的にみなさん、素直な方が多いです。ノリはいい方だと思います。お祭り気質でしょうか? ただ、普段は真面目に働いていたり、学生だったりの方ばかりで、『一生に一度だけの大切な機会だから、楽しい思い出を作ろう!』と、みんな真剣です。成人式の1年前ぐらいから何度も打ち合わせにいらっしゃって、一生懸命にデザインなどを考えて打ち合わせしていらっしゃいます」

――確かに、成人式にかける思いがそれほど強いってなかなか珍しいことですよね。

「今の方々はSNSに載せたりもするので、どうすればみんなを驚かせられるか色々考えることがあって大変だと思います(笑) 本当に成人式はビッグイベントなんだなーと思います。お店側の立場からすれば、そんな人生の節目のお手伝いが出来てすごく光栄だなと」

新成人「雑誌に載りたい」→雑誌を作り始める

――「みやびBOOK」についてお聞きしたいのですが、あれはどういった目的で作り始めたものなんですか?

「以前、『成人式の会場で雑誌の取材を受けたのに、実際に見たら掲載されていなかった』とすごくショックを受けていたお客様がたくさんいらっしゃって、『載りたかった……』という声があったので、何とかできないかなと思っていたんです。そうしているうちに世間の雑誌がどんどん廃刊になっていって、『じゃあうちで本作ろうか』となっていき、作り始めました」

――すごい。どこまでも新成人思いというか。

「始めてみたところ、どんどん画像が増えていき、年々ページ数を増やさないと入らないという状況になり(笑) 結果、かなり内容の濃いものに仕上がっていると思っています。掲載された集合写真は当店での着付けが終了した後にスタジオで撮影しており、ソロ写真もうちで特別なものは特に大きくのせたいので、個別に撮影しています。スナップはうちのカメラマンが撮影したものと、お客様から掲載希望ということで送って頂いたものとをあわせて厳選しています」

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――確かにすごいボリュームでフルカラーで、結構作るのが大変そうだなと思いました。

「お客様から『絶対に載せて欲しい!』、『いっぱい載せて欲しい!』、『少しでも大きく載せて!』、『表紙に載りたい!』、『絶対に自分を載せると約束してくれ!!!』といった要望が寄せられますので、もう大変です(笑)載せ忘れがないか、誰と誰がちゃんと載っているか、とか、この人より大きく載っているかなどの人間関係をきっちり確認する作業がめっちゃ大変です(笑) でも、一生残るのものなので、精一杯ベストを尽くそうと最大限に力を入れて作っています」

――わはは! 大変ですね! でもすごく感動します。そんな熱い思いで作られているんですね。「みやびTV」の方も大変そうですね(笑)

「撮影、編集はめちゃくちゃ大変です。誰が映っているとかいないとか、コメントが長いとか短いとか、カットされてるとか。こちらも色々と意見があって大変です(笑)『みやびTV』も、もとは、成人式会場でテレビの取材を受けたのにカットされて放映されなかったとすごくショックを受けていたお客様がいらっしゃって、『テレビに出たかった……』という声があったので、何とかできないかなと思って、『じゃあうちで作ろうか』となり(笑) それで作り始めました」

――「みやび」がみんなに愛されている理由がすごくよくわかった気がします。「みやび」を利用した新成人の方々から喜びの声が寄せられるようなことはありますか?

「多すぎて書き切れません(笑)」

――ですよね!!貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!

「みやび」が、北九州を中心とした新成人たちの希望を叶えるべく、全力で衣装制作に取り組んでいること、また、新成人たちが、時間と手間をかけ、心の底から気合を入れて成人式に打ち込んでいることなど、自分の知らない世界の向こう側のことを色々知ることができた。正直、派手な衣装に身を包む新成人たちを自分には縁のないちょっと怖い人たちだと思っていた私だが、何度も打ち合わせに通う姿を想像すると、今まで想像してこなかった内面を知ったような、ちょっと身近に感じられるような気がした。

質問の最後、池田さんに「みやび」の会社としてのポリシーをたずねると、「お客様の要望や夢やわがままに対して、絶対に『できない』と言わない。言いたくない」という答えが返ってきた。頑固なまでにお客さん側に立つその姿勢がつくづくかっこいいと思った。
(スズキナオ)

取材協力:「みやび」

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