畑岡奈紗が見せた米ツアーの技 ガッツの大里桃子に試合巧者のユ・ソヨン、女子OPのドラマが生まれた背景【辻にぃ見聞】

畑岡奈紗が見せた米ツアーの技 ガッツの大里桃子に試合巧者のユ・ソヨン、女子OPのドラマが生まれた背景【辻にぃ見聞】

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  • 更新日:2019/10/09
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強さを見せた畑岡奈紗(右) それに追いすがった大里桃子と見所の多い試合となった|撮影:上山敬太

畑岡奈紗が圧倒的な強さで「日本女子オープン」3勝目、公式戦4勝目を飾った。元々の地力に加え、海外で培ってきたありとあらゆる技を駆使してつかんだ優勝だった。その畑岡の強さのポイントと、畑岡に食い下がった大里桃子やユ・ソヨン(韓国)のそれぞれの戦いを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏に聞いた。

下半身にハリと強さ!ユ・ソヨンのドライバースイング連続写真

■ゴルフIQの高さを見た試合 ポイントは男子並みの寄せ技
今季は海外女子メジャー5大会中3試合で予選落ち。「気負いすぎ」と自己分析し、秋の陣に入った畑岡。「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」で国内公式戦3勝目を飾ると、日本女子オープンでも最終的には2位に4打差をつける圧巻Vを成し遂げた。「誰もが認める日本ナンバー1です。畑岡さんは、すべてにおいてゴルフIQが相当高いです」と辻村氏もうなるほどの強さだった。

「自分の長所をよく分かっていますし、持ち味をチェックし、ポイントを押さえた練習をしています。さらに、米ツアーにいることによって、技術的にも他の選手に格段の差をつけています。いちばん驚いたのが、最終日の9番のアプローチですね」。一見すると分からないが、そのスゴ技を振り返ってみたい。

「9番のピン位置は左奥のこぶの上。距離は270ヤード台と、短いパー4で1オンを狙わせるという名目でしたが、実際には非常に難しい状況でした」。1オンを狙う選手と、グリーン周りで苦戦する選手が多いなか、最大4組がティで詰まるという事態が起きたが、畑岡は見た目だけは“イージーバーディ”で前半を締めくくった。ティショットはドライバーを選択。グリーン右手前の木に当たり、ピンまで57ヤードのセカンドが残った。「ダウンヒルだったので、無理に球を上げないで、転がしていこうと思いました」と話した畑岡。辻村氏いわく、「女子プロでは見たことがないほどのテクニックです」。

左足がやや下がったライではあったが、グリーン面を横断するショット。畑岡が放ったアプローチは低い弾道でグリーンのセンター付近に落下すると、「5バウンド目くらいで球の勢いを殺して、そこからツーと寄せていった。これができるのは、打ち方に理由があります」と言った辻村氏は、こう続けた。「インパクト後、ヘッドを抜いていく際、この距離ならフェースを返さないのが普通です。それが畑岡さんは、フェースを返しながらヘッドを立てていった。上げて1バウンドでピンを狙うような一般的な打ち方ではなく、男子プロのような打ち方をしていました。鳥肌が立ちましたね」。

結果的に30センチに寄せたこのアプローチを見た瞬間に「勝った」と思ったという辻村氏。「ウェッジのバリエーションが多い。米ツアーに行って、難しい状況を多く経験している差がハッキリと出ています」とするとともに、畑岡自身も50ヤードから80ヤード近辺の寄せを練習する時間が増えたとしているとおり、圧倒的な技術力の差だった。

■伸びしろ十分で善戦の大里 悪くてもゲームをまとめるソヨン
いわば格の違いを見せつけた畑岡と最終組を回った大里は、世界クラスの技やパワーを見せつけられても、堂々とプレーした。「今季はパットの不振に陥ったり、予選落ちが続いた時期もありましたが、ここで2位に入ったことに伸びしろを感じました」と辻村氏も話す。最近の悩みだったドライバーの曲がりも矯正。「大きく変われるチャンスではないでしょうか」と、今後の躍進を予感させるものだった。

「フェアウェイキープ率が高くなりました。今大会はラフの深さを考えると、絶対的にそこが大事。大会前、1日14回中10回はキープしないと戦えないと思っていましたが、平均で1日10.5回ですから、そこの改善も大きい」。安定したショットももちろん大里2位の理由の1つだが、「何よりもガッツがあります。崩れてもおかしくない状況であそこまで食らいついた。さらにステップアップするために、今年のオフの過ごし方が重要になるでしょう」。

同じく2位に終わった昨年チャンピオンのソヨンだが、今季は調子が上がらずに苦しいシーズンを送っていると開幕前に明かしていた。それでもこの結果を出す要因はどこにあるのか?

「まずパッティングが圧倒的にうまい。5年ほど前、米ツアーで見たときはこのパッティングがうまくて戦っているように見えましたが、その頃に比べて飛距離も上がっています。下半身が畑岡さんと一緒で、ハリがあって強い。ブレることがないのでしょう。相当なトレーニングをやっている証拠です」

辻村氏はこう考えを口にした。 これに加え、海外女子メジャー2勝のソヨンのすごみを見たシーンが大会前の火曜日。プロアマ戦に出場していなかったソヨンが練習グリーンで行っていた練習に辻村氏は、思わず見入ってしまう。

「まずストロークの確認をするために球を転がし、そのあと実戦練習をしていました。時間にして約2時間。場所を変えて、ラインを読み、アライメントを後方から確認。呼吸からなにから試合と一緒で、キャディとの確認もしていました。1つのボールで実戦を踏まえた練習ができていましたね。練習も本番のように、同じようなルーティンでやることも大事。試合では、フックの次はスライス、上りを外したら下りという場面があるのですから」。当たり前のようで当たり前でない練習方法も、この精度を高めているといってよさそうだ。

ショットについては、今大会では左右に散ることも多かったが、「初日、2日目に調子の悪さが出ることはありますが、最後は調子とは関係なく、ゲームをつくることができる。今回のソヨンさんのショット力なら日本人選手でも同じようなショットを打てる選手はいます。それでもこの位置で戦うのですから、やはりマネジメント能力と、グリーン周りの精度が大事ということでしょう」。

渋野日向子の全英制覇に加え、畑岡の国内公式戦連勝。「畑岡さんがトップ、渋野さんが2番という日本人女子の構図は誰もが認めるところです」。次に続く選手が誰なのか。この戦いを見た選手達の奮起が期待される。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

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