「急ぎすぎない試合運び」を覚え、ミシャ体制無冠の悪循環を乗り越えた浦和レッズ

  • J SPORTS
  • 更新日:2016/10/17

ガンバ大阪対浦和レッズという屈指の好カードとなった15日のJリーグルヴァンカップ決勝。埼玉スタジアムでの開催ということで、浦和にとってはまさにホームの状態。5万1248人の大観衆の7割方を赤のサポーターが占めた。10月1日のJ1第2ステージ第14節での同じ顔合わせで、高木俊幸、武藤雄樹、宇賀神友弥、ズラタンがゴールを決めて4−0でガンバを粉砕していることもあり、13年ぶりのリーグカップ制覇への周囲の期待はいやがうえにも高まった。

しかし、ガンバ大阪は大一番に絶対的強さを誇るチーム。36歳のベテラン・遠藤保仁を軸に効率的な戦い方を仕掛けてきた。そして前半17分には首尾よく先制点を挙げる。今野泰幸が奪ったボールを遠藤が素早く前へ出し、そこに走り込んだアデミウソンが浦和守備陣を置き去りにした。次の瞬間、守護神・西川周作の動きを冷静に見ながら左足を一閃。見事なカウンターからゴールを奪ったのだ。

この失点に加え、前半30分には宇賀神が負傷。駒井善成との交代を強いられるなど、浦和にとっては混乱が続く。前半の展開は予期せぬものだったかもしれない。それでも追加点を許さず、耐えて後半に力を蓄えた。

そのシナリオ通り、後半立ち上がりから浦和の攻めは一気に加速。左サイドに回った関根貴大のドリブル突破からのクロスに武藤が飛び込んだ開始5分の決定機に始まり、関根と高木が立て続けにシュートをチャンスを迎えた10分の得点機、武藤が強烈シュートをお見舞いした11分のビッグチャンスなど、点が入りそうな時間帯が続く。

そこで得点を奪えなかったのは痛かったが、浦和にはズラタン、李忠成といった傑出したジョーカーがいる。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督も持ち駒を次々と投入。残り15分という状況で李が大仕事をしてみせる。高木と代わって登場してすぐに右CKのチャンス。柏木陽介が蹴ったボールに彼は鋭く反応し、ドンピシャリのタイミングで頭を合わせ、ネットを揺らすことに成功する。

「『自分のところに来るんだ』っていう気持ちが引き寄せたゴール。イメージしてなきゃ緊張して外してたと思うんで、途中から入って『自分がヒーローになるんだ』っていう攻めの気持ちがゴールを呼んだと思います」と背番号20をつける点取屋は興奮気味に同点弾の場面を振り返った。

この時間帯に追いついたのだから、埼玉スタジアムの熱気が一気に加速するのは当然のこと。浦和サポーターからは「急いで攻めろ」というゲキも飛び交った。だが、司令塔の柏木はそこで雰囲気に流されてはいけないと感じていたという。

「今までだと負けてたり、同点の場面で急ぎすぎて攻めに出て、逆にやられることが多かった。そういう時こそチームとしてしっかりとゲームコントロールして、いいタイミングで攻撃を仕掛けなきゃいけない。あえて時間を作ることが大事だと考えていました。チュン君(李忠成)も点決めた後、イケイケになりそうだったから、『落ち着け落ち着け』って声をかけていた。ミスも多かったけど、決定的な場面には必ずチュン君が絡んでいたかな」と柏木が言うように、この日の浦和はチーム全体が急ぎすぎず、じっくりと構えて試合を運んでいく冷静さを持ち合わせていた。

追加点が入らなければ延長、PK戦へともつれこみ、体力的には厳しくなる。イラク・オーストラリアとの日本代表2連戦に参戦した柏木、槙野智章、西川がいる浦和の方がよりダメージが大きくなる可能性もあったが、そのあたりも覚悟のうえで彼らは焦らず戦況を見極めながら戦うことを貫いた。最終的にPK戦で西川が呉屋大翔のシュートを右足で防ぐことができたのも、こうしたチーム全体の意思統一の成果かもしれない。

「最後まで落ち着いてゲームコントロールできるようになったことが、チームとしても、個人としても成長したところかなと思う」と柏木はも神妙な面持ちでコメントしていたが、それが無冠の続いた昨季までとの大きな違いと言ってもいいだろう。ミハイロヴィッチ監督が2012年に浦和の指揮を執り始めてから、彼らは常にリーグ戦、カップ戦、天皇杯で上位に行きながら、タイトルという壁を破れなかった。ようやくその不名誉な歴史とついに決別することができた。

とはいえ、ミシャ体制の真価が問われるのはここから先。J1第2ステージ制覇、年間王者の座を勝ち取り、FIFAクラブワールドカップで躍進するところまで行って、初めて本当の成長を実感することができるのだ。J1残り3試合で失速するようなことがあれば、せっかくのカップ戦タイトルの意味も薄れてしまう。今季終盤の浦和の動向をさらに興味深く見続けていきたい。

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