【二宮清純コラム】中日・立浪和義監督、トレード攻勢 出血覚悟の“体質改善”は成功するか

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  • 更新日:2022/11/25

オフの主役は今季、セ・リーグ最下位に終わった中日です。阿部寿樹選手と東北楽天・涌井秀章投手に続き、京田陽太選手と横浜DeNA砂田毅樹投手のトレードを成立させました。中日が積極的にトレードを仕掛ける背景には、立浪和義監督の“体質改善”にかける強い思いがありあそうです。「戦う顔をしていない」より多くの利益を得たのは、どちらだったか。それは2、3年経ってみなければわかりません。それゆえ、現時点で中日のトレードが成功だったか否かを語るのは早計でしょう。ただし、立浪監督の「チームを変えたい」という気持ちは、痛いほど伝わってきました。最下位に沈んだことによる危機感が背中を押したのだと思われます。まずは今季、チーム2位の9本塁打、57打点をマークした阿部選手。内野に加え、外野も守れるユーティリティー・プレーヤーです。今季は133試合に出場しています。その阿部選手をトレード要員に、すなわち出血覚悟で涌井投手を獲得したのは、彼にはまだ先発で2ケタ勝てる力がある、と判断したからでしょう。今季は試合中に右手中指を骨折するという不運があったにもかかわらず、9月には復帰を果たしています。球団関係者は「(埼玉西武・千葉ロッテ・楽天と)パ・リーグ一筋の涌井は交流戦で投げているとはいえ、まだセ・リーグの球団には未知の部分が多い。当然、ローテーションの一角に入ってくると期待しています」と語っていました。立浪監督のチーム改革への強い意思を感じさせたのは京田選手の放出です。入団1年目からショートのレギュラーポジションを獲得し、新人王に選出された京田選手の守備と足は折り紙付きでした。2020年からは選手会長も務めています。しかし、立浪監督には、京田選手のプレースタイルが気に入らなかったようです。5月4日のDeNA戦では「戦う顔をしていない。名古屋へ帰れ」と面罵し、2軍落ちを命じています。チームリーダーの器ではない、と見限ったのかもしれません。立浪監督は通算2480安打の名内野手です。ベストナインには2回(セカンドとサード)、ゴールデングラブ賞には5回(ショートで1回、セカンドで3回、サードで1回)輝いています。トレードはチャンスこれは立浪監督ならずとも言えることですが、とりわけ名選手は自らのポジションの選手に厳しい態度を取ります。ヤクルト監督時代の野村克也さんが古田敦也さんを、事あるごとに槍玉にあげ、説教していたのは、よく知られた話です。内野手の阿部選手や京田選手に対する立浪監督の“低評価”は、高い期待値の裏返しだったと言えるかもしれません。トレードでチームを活性化させた監督と言えば、立浪監督の師である星野仙一さんが真っ先に頭に浮かびます。星野さんは中日監督時代、牛島和彦さんら4人を落合博満さん(ロッテ)の4対1、中尾孝義さんと西本聖さん、加茂川重治さん(巨人)の1対2トレードをまとめるなど、事実上のGMとしても辣腕を振るいました。中日、西武、ロッテで通算1551安打、外野でゴールデングラブ賞に9回輝いた平野謙さんも、星野さんにより中日を“出された”選手のひとりです。以下は以前、平野さんから聞いた話です。「僕が西武にトレードされたのは87年のオフ。ちょうど僕の10年目で、星野さんの監督1年目。星野さんは晩年、それほど熱心に練習をしていなかったのに、若い選手には“走れ、走れ”と言うものだから、少し反感を抱いていた。ミーティング中に帰ったこともあったよね」星野さんが平野さんに対し、好ましからざる印象を抱いていたのは想像に難くありません。しかし、結果的に平野さんにとって、このトレードは吉と出ます。西武で5回のリーグ優勝と4回の日本一を経験することになるのです。飼い殺しにされるくらいなら、トレードに出してもらった方がはるかにマシです。プロ野球選手は試合に出てナンボです。環境が変われば、チャンスも膨らみます。先の4選手には、新天地での活躍を期待したいものです。二宮清純

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