渡辺明三冠インタビュー「今後の将棋界は藤井聡太二冠を中心に回る。すべてのタイトル戦を席巻していくことでしょう」

渡辺明三冠インタビュー「今後の将棋界は藤井聡太二冠を中心に回る。すべてのタイトル戦を席巻していくことでしょう」

  • 日刊大衆
  • 更新日:2021/05/03
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渡辺明(撮影・弦巻勝)

2020年8月、プロデビュー20年目にして、悲願だった名人位を獲得できました。現在、棋王と王将を含めて三冠を保持していますが、ここまで来ることができた背景には、一つの挫折がありました。

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それは3年前、17年度のA級順位戦で負け越し、B級1組に落ちてしまったことです。年間で負け越すなんて、初めての経験でした。

そこで“自分の将棋が通用しなくなっているのかもしれない”と痛感し、それからAI(人工知能)を搭載した将棋ソフトによる研究を始めました。ちょうど16〜18年くらいは、将棋界にAIが入ってくる過渡期でもあったんですね。

現在はもう完全にAIが中心ですが、当時はまだ、今までの研究のやり方とAIとが混在していた。どちらが自分にとってベストか分からない中、自分の将棋を見直すためにとりあえず……と、AIに挑戦してみました。いざ始めてみて分かったのは、自分には合っていたということ。世代的にパソコンに抵抗はなかったですし、性格的にもAIを使った研究が苦になりませんでした。

AIの導入で、将棋界は劇的に変化しました。たとえば、序盤のプラン。以前なら、序盤はどの棋士もどこか適当に、ざっくりと進めている部分がありました。でもAIなら、次の一手の優劣を数値化できるので、序盤から緻密に研究することができる。結果、今では序盤戦から細かい指し手になっていったんです。

そして18年度、B級で全勝し、A級に復帰することができました。19年度も全勝できたんですが、A級陥落前よりも、成績は明らかに良くなったと思います。挫折を経験し、自分の将棋を見直したからこそ、今があるのは間違いない。まさに「怪我の功名」ですね(笑)。

■5年前に比べると、ふだんの研究量は圧倒的に増えました

棋士の対局は、私の場合、年間で50局くらい。だいたい週に1回に過ぎないので、対局は完全に“非日常”です。スーツなり和服なりを着て、気持ちの入り方も含めて違う。ですから私にとっては、それ以外の6日間のほうが“日常”になります。その日常の中で、対局に向けていかに手を抜かず、きっちりと準備や研究をすることができるか――。受験勉強と同じで、いくらこなしても、結果が出なければ評価されません。それでもプロとして、このことを最も心がけています。

具体的には、いつも1週間単位で、研究に費やす時間のスケジュールを立てています。それを決めていないと、空いた時間に研究することになり、研究時間にバラツキが生じてしまいますから。何も予定がない日なら、朝9時くらいから研究を始めて、夜まで続けます。もちろん、日によっては外出することもありますし、途中で他のこと……野球や競馬を見たりすることもあります。あまり、オンとオフの切り替えはないかもしれませんね。集中力がないんで(笑)。

AIが出てくるまでは、せいぜい30手目くらいまでの研究をしていたのが、今では倍に……下手したら、もっと“奥”まで突き詰めるようになった。だから、5年前に比べると、ふだんの研究量は圧倒的に増えました。とにかく研究することが多くて、忙しくなりましたね。大好きな競馬を楽しむ時間も、ずいぶんなくなってしまいました(笑)。AIの影響で、今の棋士はどんどん研究者肌になっていっている印象です。これからもその流れは続くでしょうね。

4月23日で37歳になりましたが、現在の目標は2つ。タイトルを持ち続けること、そして、もしタイトルをすべて失っても、毎年タイトル戦のどれかには出場することです。

特に、今後の将棋界は、藤井聡太二冠を中心に回っていくことは間違いありません。今後はすべてのタイトル戦を席巻していくことでしょう。

そのとき、注目度が高い藤井君の対戦相手が強ければ強いほど、将棋界は大いに盛り上がるはず。その一番手を私が担うという意識は、常に持っています。

渡辺 明(わたなべ・あきら)1984年、東京都生まれ。小学1年から将棋を始め、2000年に史上4人目の中学生棋士となる。2004年、初めてのタイトルとなる竜王を獲得。以降、順位戦やタイトル戦で活躍を続け、2020年には豊島将之名人を破り、第78期名人の座に。現在、名人、棋王、王将の三冠の他、永世竜王と永世棋王の資格(引退後に襲名)を保持。タイトル通算獲得数は、羽生善治、大山康晴、中原誠に次ぐ歴代4位となる28期。

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週刊大衆編集部

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