これぞスバル渾身の本格派軽! プレオが辿った数奇な運命

これぞスバル渾身の本格派軽! プレオが辿った数奇な運命

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  • 更新日:2022/01/15
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毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はスバル プレオ(1998-2010 ※OEM移行前まで)をご紹介します。

文/伊達軍曹 写真/SUBARU

【画像ギャラリー】プレオ・ステラを中心にスバル名作軽の系譜をギャラリーでチェック!(29枚)

■軽規格の改定に伴い生産終了となった「名作」ヴィヴィオの後を継ぎ登場

1998年10月の軽規格改定時に、名作「ヴィヴィオ」の拡張版(軽トールワゴン版)として誕生。コアなスバリストからの賛否両論はあったもものの、ヴィヴィオ譲りの硬派なメカニズムにより、基本的には好評を博した。

その後、「R2」の登場に伴ってラインナップを大幅に縮小したが、R2の壊滅的な販売不振を受けて再びラインナップを拡張。

そして実質的な後継モデルである「ステラ」の登場後も、さらにはスバルが軽自動車の独自開発中止を発表して以降も、2010年までは細々と生産され続けた、スバル製軽自動車としては最後の本格派。

それが、スバル プレオです。

1998年10月に軽自動車が新規格に移行した際、何かと余力があったスズキとダイハツ、三菱は、軽トールワゴンと昔ながらの軽セダン/軽ボンネットバンを並行生産しつつ、さらには派生モデルの開発も行いました。

しかしそのような余力はなかったスバルは、名作と呼ばれたヴィヴィオのプラットフォームを流用しつつルーフを高くして、軽トールワゴン的なフォルムとした「スバル プレオ」の一本足打法で勝負することになりました。

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スバル プレオ(1998-2010)。ヴィヴィオのプラットフォームを改良し、660ccの新規格に完全対応した

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スバル ヴィヴィオ(1992-1998)。商用グレードを除く全車に電子制御マルチポイント燃料噴射付きの直列4気筒が採用され、4バルブDOHCヘッド・インタークーラー付スーパーチャージャーを備えた高性能エンジンも設定。WRCでクラス優勝を勝ち取るといるという偉業を成し遂げた

搭載エンジンは全車660ccの直列4気筒ですが、その中身はベーシックなSOHC自然吸気と、リッターカー並みの動力性能を有するというSOHC+低圧スーパーチャージャー、スポーティなSOHC+高圧スーパーチャージャー、そして高性能なDOHC+高圧スーパーチャージャーの4種類に分かれています。

足回りはそれまでどおりクラス唯一となる4輪独懸架で、トランスミッションは5MTとi-CVT。上級グレードのCVTには7速スポーツシフト(擬似的なマニュアルモード)も採用されました。

2003年12月にスバル渾身の意欲作「R2」が発売されると、スバル プレオはグレードラインナップを大幅に縮小し、ベーシックな「F」と商用バンである「A」のみに絞りました。スバルとしてはそのままR2を「プレオの実質的な後継モデル」にするつもりだったのでしょう。

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スバル R2(2003-2010)。他とは一線を画すワンモーションフォルムを採用し走りにも最大限こだわったスバル渾身の1台だったが販売は低迷。わずか7年でお役御免となった。

しかし意欲作であったR2は、あまりにも意欲的だったせいか、壊滅的なまでに売れませんでした。

そのためスバルは、販売終了となっていたプレオの中間グレード「L」を翌2005年1月に急きょ復活登板させ、同年10月には、特別仕様車としていた「F Limited」「F type S」「L type S」をカタログモデルに昇格させる措置を取りました。

そして2006年5月に事実上の後継モデルである「スバル ステラ」が発売されると、再びグレードを「FとAの2種類だけ」に戻しましたが、それでも乗用ベーシックグレードのFは2007年6月まで販売されました。

しかし最後まで残った商用バン「A」も、2010年3月には生産終了に。2代目のプレオは、スバルの自社開発車ではなく「ダイハツ ミラのOEM供給車」が販売されることと相成りました。

■まずまずの人気を獲得も プレオ消滅の必然

名作軽自動車「ヴィヴィオ」のプラットフォームを流用し、軽トールワゴンでありながらシュアな走りも楽しめるということで一定の人気を博したスバル プレオが、発売から8年後には「ステラ」への実質的な代替わりをしなければならなかった理由。

それは直接的には、プレオはつい先ほど申し上げた「ヴィヴィオのプラットフォームを流用」した改良版であったからにほかなりません。

スバル ヴィヴィオは旧規格の素晴らしい軽自動車であり、その改良版であるスバル プレオも、なかなか素晴らしい軽自動車であったことは間違いありません。

とはいえプレオは1992年に登場した車ですので、その基本設計をいつまでも使い続けるわけにもいきません。走りウンヌンよりも「居住性や使い勝手の良さ」を求める軽自動車のメインユーザー層のニーズを満たすためには、もっと新しい車台が必要だったのです。

そのためスバルは2006年5月にプレオの販売を終了……はしませんでしたが、プレオの販売グレードを最廉価グレードとバンだけに絞り、その代わりとして、走りウンヌンは特に重視していない作りの新作軽トールワゴン「ステラ」を登場させます。

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スバル ステラ(2006-2011)。メインターゲットを女性に絞り広い室内空間を実現。乗り心地、燃費、安全性の向上が図られながら、機械式立体駐車場への入庫はできないなど使い勝手の面でちぐはぐな面も。2011年5月に初代の販売を終了、スバルの自社生産車としては最後の軽となった

まぁそんなステラも今ひとつパッとせず、もちろんディープなスバリストからは見向きもされず、2011年4月には生産を終えることになります。というか、そもそもスバルは2008年4月に、軽自動車の自社開発と生産を断念することを発表したわけですが。

以上のとおりの流れのなかで誕生し、そして消えていったスバル プレオ。それは「スバルR2」が登場した時点で、本来ならば消滅してしかるべき軽自動車でした。

しかし市場は、軽自動車の価値を「広さと高さ」ではなく「走りとデザイン」であるとしたR2に「No!」と言い、その結果としてプレオは図らずも延命され、2007年まで(バンは2010年まで)細々と販売され続けることになりました。

そんなスバル プレオに対してもしもかけるべき言葉があるとしたら、それは「残念だった……」ではなく「……お疲れさまでした!」というニュアンスになるはずです。

■スバル プレオ(初代)主要諸元
・全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1625mm
・ホイールベース:2310mm
・車重:860kg
・エンジン:直列4気筒DOHC+スーパーチャージャー、658cc
・最高出力:64ps/6000rpm
・最大トルク:10.1kgm/3200rpm
・燃費:16.6km/L(10・15モード)
・価格:126万5000円(1998年式 RS)

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