大林宣彦へ感謝を込めて、尾道映画祭で「海辺の映画館」と尾道3部作上映

大林宣彦へ感謝を込めて、尾道映画祭で「海辺の映画館」と尾道3部作上映

  • 映画ナタリー
  • 更新日:2021/02/21

「大林宣彦監督 追悼 第4回 尾道映画祭2021」が2月27日、28日に広島・しまなみ交流館で開催される。

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大林宣彦 (c)PSC

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2020年4月10日、監督作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」の当初の劇場公開予定日に82歳でこの世を去った大林宣彦。追悼と感謝の気持ちを込めて開催される本映画祭では、広島・尾道でロケが行われた「海辺の映画館―キネマの玉手箱」のほか、「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」の“尾道3部作”が上映される。

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セレモニーや上映後トークには大林宣彦の妻でプロデューサーの大林恭子、娘の大林千茱萸、「海辺の映画館―キネマの玉手箱」のキャストである厚木拓郎細山田隆人常盤貴子、そして映画作家の安藤紘平がリモートで参加。同作のヒロインで山口県在住の吉田玲は実際に登壇する。上映後トークは生配信も予定されている。

映画祭の開催に寄せ、大林宣彦と親交の深かった安藤、犬童一心塚本晋也から「大林宣彦監督と尾道」の思い出がつづられた寄稿文も到着。全文は以下に記載している。

※塚本晋也の塚は旧字体が正式表記

大林宣彦監督 追悼 第4回 尾道映画祭2021

2021年2月27日(土)、28日(日)広島県 しまなみ交流館

2月27日(土)

13:00~ セレモニー
<出演者>
大林恭子 / 大林千茱萸 / 厚木拓郎 / 細山田隆人 / 吉田玲 / 常盤貴子 / 安藤紘平
13:40~「海辺の映画館―キネマの玉手箱」
<上映後トークショー出演者>
厚木拓郎 / 細山田隆人 / 吉田玲 / 常盤貴子 / 安藤紘平

前売り券料金:一般 2000円 / 高校生以下 1500円
当日券料金:一般 2300円 / 高校生以下 1800円
※全席自由席

2月28日(日)

10:10~「さびしんぼう」
<上映後トークショー出演者>
吉田玲 / 安藤紘平
13:50~「時をかける少女」
<上映後トークショー出演者>
吉田玲 / 安藤紘平
17:30~「転校生」
<上映後トークショー出演者>
吉田玲 / 安藤紘平

前売り券料金:一般(1作品)1500円 / 一般(3作品通し)4000円 / 高校生以下(1作品)1000円 / 高校生以下(3作品通し)2500円
当日券料金:一般(1作品)1800円 / 一般(3作品通し)4500円 / 高校生以下(1作品)1300円 / 高校生以下(3作品通し)3000円

特別寄稿「大林宣彦監督と尾道」

安藤紘平(映画作家、早稲田大学名誉教授)寄稿

2018年8月、山田洋次監督と犬童さんと僕は、広島空港から車で大林監督の撮影現場へと向かっていた。物凄く暑い日だった。一か月前の西日本大豪雨の爪痕が道路を寸断し、普段の倍の時間がかかった。
現場は、大林家の旧家がある神辺町の大手造り酒屋の酒造所跡だった。東宝の大スタジオに匹敵する広さである。中では、グリーンバックで飛ぶ裸のターザン、実家持ち込んだチューニングが外れたピアノを弾く大林監督自身、なんとも不思議な現場である。山田監督がそっと僕に尋ねる。「安藤さん、これはどういう映画かね?」まさにおもちゃ箱をひっくり返したような、出来上がるまで誰にもわからない大林ワールド全開の風景であった。
前作「花筐」が出来上がった時には、もう、この作品の構想が大林さんにはあった。「安藤さん、次は尾道で撮りたいと思うんだ」悪戯っ子のような笑みを浮かべて嬉しそうに語る大林さんからに僕は狂喜した。初期の自主映画には、尾道への愛が満ち満ちていた。尾道三部作や新三部作を撮られてから、大林さんはぷっつりと尾道を撮らなくなった。それが僕には残念でならなかった。プロデューサーの恭子さんは、監督の身体を心配して、一度は東宝スタジオでと考えたようである。しかし、やはり監督の想いを汲んで尾道での撮影に踏み切った。英断である。「海辺の映画館―キネマの玉手箱」というこの映画は、まさに大林さんの映画への想い、尾道の記憶と共に、映画の持つ力を僕らに与えてくれる不思議な玉手箱であった。

犬童一心 寄稿

「山田洋次監督と、いざ尾道へ」

2018年の夏、大林監督が「海辺の映画館」の撮影を始めることとなって、尾道に戻られた。山田洋次監督が陣中見舞に行きましょうと言い出した。私も一緒に行こうと思った。病をおして挑戦する大林監督にできることといったらそれぐらいしかなかった。大林監督と、山田洋次監督と私は世田谷成城学園駅のご近所さんで、時々食事をしながら映画の話をしたりする機会を持っていた。映画の学びが全く違う二人だが、80歳を過ぎて同じ仕事をしているご近所さんとしての安心感もあったと思うし、日本映画を支えてきた仲間としてお互いを認め合っていたと思う。山田監督が尾道の現場に到着した時、大林監督は本当に嬉しそうだった。ただ、ちょうど撮影しているのが、厚木拓郎さん扮する青年がヒョウタンツギ的逸脱でターザンをやっているシーンだった。グリーンバックで、ヒョウ柄のパンツ一丁で綱にぶら下がり「あーあーあー」とひたすら叫んでいる。わざわざ尾道まで来てこれかよ、しかも、グリーンバック。などと表立って言うわけにもいかない。それが逸脱したシーンとはわからず真面目な顔でモニターを見つめる山田監督の横で、大林監督は少年時代からの得意技、モノマネで「あーあーあー」と口に手を当て楽しそうにしている。ここだけの話だが、その二人の並びはちょっと面白かった。本当に暑い日で、蒸し風呂のようで、でも、今思うと、とても幸福な時間だった。

塚本晋也 寄稿

監督の「野のなななのか」と僕の「野火」を、監督の故郷にあるシネマ尾道で上映し、対談させていただく、という今思い出してもドキドキする機会に恵まれました。2015年、夏のこと。それが僕にとっての大林監督との思い出の最高点です。映画のこと、戦争のこと、たくさんのたいせつなお話をうかがい、そのあとは皆でお食事まで! 3年後の夏、やはり「野火」の上映時、「海辺の映画館―キネマの玉手箱」の尾道での撮影現場を見させていただきました。大林監督はだいぶ小さくなられていたけれど、とても生き生きと撮影を楽しんでおられました。今は自由に大空を飛び回っておられると思いますが、すぐ間近で僕たちを見守ってくださっているようにも感じます。あの優しい笑顔をいっぱいに溢れさせて。

映画ナタリー

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