
発売日には売り場に行列ができるジャンボ宝くじ(写真は今年7月に発売されたサマージャンボ宝くじ、写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
(篠原 拓也:ニッセイ基礎研究所主席研究員)
今年5月の5類感染症移行後にコロナ禍の規制も解け、人々の外出や旅行が戻りつつある。10月下旬には、恒例の「ハロウィン」の時期がやってくる。
今年は各地でハロウィンイベントが開催される予定で、大変な盛り上がりが期待される。ただ、渋谷区では、「ハロウィン期間中にハロウィン目的で渋谷駅周辺に来ないでほしい」と区長が呼びかけている。路上飲酒などのモラルの低下を避けることや、多数の来街者による雑踏事故を防ぐことが目的だという。マナーや安全の面を考えると、ハロウィンを楽しむのもほどほどに、というところだろう。
そんな中、今年も9月20日からハロウィンジャンボ宝くじが発売される。ハロウィンを楽しむには、うってつけのイベントといえる。最高当せん金は1等前後賞合わせて5億円と高額だ。当せん金や当せん本数などのなかには、昨年から変更されている部分もある。その変更点をみながら、今年は何を狙うべきか考えてみよう。

宝くじ公式サイトより
昨年のハロウィンジャンボと比べて何が変わったのか
ハロウィンジャンボ宝くじには、ほかのジャンボ宝くじと同様、「ジャンボ」と「ジャンボミニ」の2つがある。「1等前後賞合わせて5億円」のうたい文句で販売されるのは、ハロウィンジャンボだ。ハロウィンジャンボミニの当せん金の最高額は、1等前後賞合わせて5000万円となっている。
それでは、今年のハロウィンジャンボは、昨年と比べて何が変更となったのか、具体的にみていこう。主な変更点として、5つ挙げられる。
(1)2等(当せん金1000万円)の当せん本数が、1ユニット(1000万枚)あたり、2本から10本と5倍増になった
(2)3等(当せん金100万円)の当せん本数が、1ユニットあたり、100本から200本に倍増した
(3)4等(当せん金1万円・1ユニットあたり当せん本数2万本)はなくなった
(4)これらの結果、1ユニットあたりの当せん本数は、112万204本から110万312本に減少した
(5)1枚300円に対する当せん金の期待値は、142.99円から140.99円へと2円減少した
当せん金の「期待値」から見る宝くじの難しさ
このうち、まず(5)の当せん金の期待値について少し確認しておこう。
宝くじは1枚300円だが、当せんすれば、それ以上の金額を受け取ることができる。当せんしなければ、もちろん当せん金は受け取れない。それでは、当せんする場合としない場合をすべて考えたときに、当せん金はどれぐらい受け取れるか──それが、当せん金の期待値だ。
ある等の当せん金と当せん確率を掛け算すると、その等の当せん金の期待値となる。例えば、1等の場合、当せん金3億円と当せん確率0.00001%を掛け算して、1等の当せん金の期待値は30円となる。これをすべての等で合計すると、くじ全体の当せん金の期待値が計算できる。
今回のハロウィンジャンボの場合、くじ全体の当せん金の期待値は140.99円であり、1枚300円のくじの半分以下だ。実は、宝くじでは、この当せん金の期待値をくじの金額の半分以下とすることが法律で定められている。宝くじで当せんして儲けようとしても、そう簡単にはできないわけだ。
ジャンボは100万円以上の当せん本数が2倍に増加
続いて、ハロウィンジャンボの変更内容を詳しく見てみよう。2等の当せん本数5倍増と3等の当せん本数倍増を、4等1.8万本なくすことで振り替えている。また、4等の残り0.2万本をなくすことは期待値の2円減少につながっている。これにより、1ユニットあたりの当せん本数は減少となる。その代わり、100万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、1ユニットあたり、昨年の105本から今年は213本へと2倍に増加する。
実は、100万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、昨年も1.9倍に増加していた。2年連続で2倍前後の増加となり、高額当せんに大きく比重を傾けたくじとなっている。
ハロウィンジャンボは、平均して、くじを4万6949枚買うと、当せん金100万円以上の当せんが1本出る形となっている。その際、これらのくじから平均的に、4等が469本(当せん金140万7000円)、5等が4694本(同140万8200円)当たるので、合わせると当せん金の受け取りは、平均381万5200円に達する。ただし、そのためには、くじの購入代金として1408万4700円が必要となる。
ハロウィンジャンボは、本命の「1等前後賞合わせて5億円」の超高額当せんとともに、2等1000万円や、3等100万円の当せんに照準を合わせた、高額当せん金狙いの宝くじと位置づけられそうだ。

1ユニットあたりの当せん本数は減少したジャンボミニだが…
一方、ハロウィンジャンボミニはどうか。ハロウィンジャンボと違って、当せん金の最高額は1等前後賞合わせて5000万円にとどまるが、その分、2等以下の当せんの期待は大きい。
ハロウィンジャンボミニについては、昨年と比べた場合の主な変更点は以下の6つにまとめられる。
(1)1等(当せん金3000万円)の当せん本数が、1ユニット(1000万枚)あたり4本から10本と2.5倍増になった
(2)併せて、1等の前後賞(当せん金1000万円)の当せん本数も8本から20本と2.5倍増になった
(3)2等(当せん金100万円)の当せん本数が、1ユニットあたり100本から300本と3倍増になった
(4)3等(当せん金1万円)の当せん本数が、1ユニットあたり5万本から1000本に減少した
(5)これらの結果、1ユニットあたりの当せん本数は115万112本から110万1330本に減少した
(6)1枚300円に対する当せん金の期待値は、140円から141円へと1円増加した
今年のハロウィンジャンボミニは、3等の当せん本数の4.9万本減少を、「1等前後賞合わせて5000万円」の本数2.5倍増と、2等の当せん本数の3倍増に振り替えた。そして、振り替え分を上回る当せん金が、期待値1円増の形でプラスオンされたものと見ることができる。
これにより、1ユニットあたりの当せん本数は減少となる。その代わり、100万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、1ユニットあたり、昨年の112本から今年は330本へと2.9倍に増加する。1ユニットあたりの100万円以上の当せん金の当せん本数は、ハロウィンジャンボと比べて1.5倍以上、ということになる。
昨年よりミニに新設された「2等100万円」で夢が膨らむ
実は、ハロウィンジャンボミニは、昨年、当せん金100万円の2等が新設された。今年は、その当せん本数が1ユニットあたり3倍増に拡大することとなったわけだ。
ハロウィンジャンボミニは、平均して、くじを3万304枚買うと、当せん金100万円以上の当せんが1本出る形となっている。その際、これらのくじから平均的に、4等が303本(当せん金90万9000円)、5等が3030本(同90万9000円)当たるので、合わせると、当せん金の受け取りは、平均281万8000円に達する。
ただし、そのためには、くじの購入代金として909万1200円が必要となる。平均的には、600万円以上の持ち出しとなる。
ハロウィンジャンボミニは、1等前後賞合わせて5000万円を狙いつつ、100万円以上の当せんに軸足を置いた宝くじと言えるだろう。

高額当せんを狙うための賢い買い方とは?
今回のハロウィンジャンボは、「1等前後賞合わせて5億円」の超高額当せんとともに、2等1000万円や、3等100万円の当せんに照準を合わせた、高額当せん金狙いのくじと言える。
一方、ハロウィンジャンボミニは、1等前後賞合わせて5000万円を狙いつつ、100万円以上の当せんに軸足を置いた宝くじだ。この2つの宝くじが、選択肢として与えられていることになる。
5億円もの一攫千金のドキドキ感が味わえるハロウィンジャンボ。100万円以上の当せんのワクワク感が楽しめるハロウィンジャンボミニ。この2つを満喫できるように、2つの宝くじを買い揃える──それが、今回の買い方のコツといえるかもしれない。
今回の宝くじの発売期間は10月20日までと、まだ時間はたっぷりある。抽せん日は10月27日だ。ハロウィンジャンボ宝くじを買うことで、ハロウィン気分を高めてはいかかだろうか。
【参考】
「宝くじ公式サイト」
篠原 拓也