【噂の新店】「AOYAMA GOURMET MART」
かわいらしいショップは外苑前の路地裏に潜む

住宅街に忽然と現れる、海外のグロッサリーのようにキュートな外観
グルメマートとは、食料品、お酒の販売、飲食の3つが合体したショップを表す言葉。2020年頃からアメリカ・ロサンゼルスで始まったというトレンドだ。そんな新しくも楽しいグルメマートが日本に初オープン。場所は青山通りから青山霊園へと抜ける都心の中の静かな住宅街で、細い路地にひょっこりとキュートな外観が現れる。

生鮮以外の食料品が約300種もそろう
健康志向、食への意識が高いLAで始まったというグルメマートは、商品のセレクトにそれぞれのショップの個性が現れる。青山グルメマートでは、スタッフが実際に食べているおすすめの商品を世界中から選りすぐっている。

扱うのは小さな生産者のものばかり。ハンドメイドの温かさにあふれている
ワインの品ぞろえが豊富で値段も良心的!

世界中のワインがそろう。アルバニア、ルーマニアなど最近注目の国のワインも
棚に並んだカラフルな食材も楽しげだが、店内でひときわ目を引くのは大きなウォークインのセラーだ。置いているのは日常使いできる気軽なワインが中心で、2,000円~と買いやすい販売価格がうれしい。さらに少し高級なレンジの値付けは、ワインを知る人が見ればかなりのリーズナブルプライス。思わず憧れのワインに手が伸びそうだ。また物販エリアで購入したワインは、抜栓料なしのそのままの値段で奥のレストランへ持ち込むこともできる。

ワインセラーに入って、直にワインを見ながら選べる
ショップの奥に潜む秘密のカウンター席とは?
グルメマートの特徴は、食料品や酒販エリアに加え、飲食エリアも併設されていること。青山グルメマートでは、ショップの奥にある入口を通ると、裏庭に面した隠れ家のような空間に抜ける。大きな窓から光が差し込むゆったりしたカウンターは、イタリアンのシェフが手掛けるパスタ専門店。豊洲市場へ毎朝通って仕入れる新鮮な魚介や農家から届く野菜を使った日替わりのパスタや前菜がワインと一緒に味わえる。

カウンター7席。外からはまったく見えない空間だ
若きシェフの才能が光る!
この店のシェフ久保さんは弱冠21歳と若いが、年齢を感じさせない落ち着いた雰囲気。福岡にあるイタリアンで働いていたが、縁あってこちらを任されたという。
「自由に料理させてもらっています。素材の味をしっかり感じられる引き算のパスタを作りたい」と全力投球で料理に向き合う。

シェフの久保雄之介さん
メニューすべてが“名物”と言っても過言ではない料理をご紹介
素材をこだわり抜いた前菜から心をつかまれる!
その日のメニューにはパスタだけでなく、前菜も用意されている。中でも定番のサラダは、久保さんの出身地・福岡県の無農薬農家などから届く、採れたての野菜がたっぷり。野菜の味が濃いので、あえてオイルとレモンというシンプルな味付けにしているという。

「産地直送野菜のサラダ」1,500円(ハーフ750円)
季節の前菜は、この日は大きな真ダコがドーンと入った「明石産真ダコとじゃがいもの温菜」。粗くつぶしたじゃがいもがほくほくとおいしい温かい前菜だ。料理は可能な限りハーフを用意しているのも使い勝手がいい。前菜も軽いメインくらいのボリュームがあるので、女性なら前菜ハーフとパスタがちょうどいいかもしれない。

「明石産真ダコとじゃがいもの温菜」1,500円(ハーフ750円)
グラスワインも用意されているが、好きなワインを食料品、酒販エリアで購入し、持ち込むのもおすすめだ。抜栓料がかからないので、レストランなのに家飲みのように気楽にワインが楽しめる。早くもそこに目を付けたワイン好きが通ってくるというのも納得だ。

左「NVシルヴァー・ブリュット・ナチュール(アンドレ・クルエ)」6,400円、「2015サヴィニー・レ・ボーヌ(パスカル・クレマン)」5,500円
開店早々話題となった絶品パスタとは?
具だくさんで食べていて楽しい、シグネチャーパスタ
久保シェフのシグネチャーは貝だけで作ったペスカトーレ。その日の朝に豊洲で仕入れた5種類の貝をたっぷり使い、貝の旨みをまろやかに持ち上げるトマトソース、シンプルなオイルベースの2種類から選べる。また、最大限のおいしさを追求するため、メニューに合わせてパスタの銘柄も変えている。ペスカトーレはグランフィーロというこだわりのパスタ麺を使っているので、小麦の風味や食感も素晴らしい。

最後にしっかりパスタと貝を和えて旨みを吸わせる
イタリアでは使わないシジミを具に加えることで、シジミ独特の旨みが利いて、ペスカトーレはグッと奥深い味になる。

「豊洲の貝づくしペスカトーレ」(ロッソ/ビアンコ)3,000円
シラスとカラスミの量に驚愕する!
「パスタの原価率が高くなりすぎてしまいがちです」と久保シェフが苦笑するほど、どのパスタも具材が充実し、食べ応えがある。旬のシラスを使った季節のパスタは、豊洲市場にあるシラス専門店からシラスを仕入れているそうで、この日は大阪産。すこし大きめのシラスは食べると味わいが濃く、長ねぎはグリルすることで、香りを引き出して食感を残している。

これでもかとカラスミを投入
食材の塩気を計算してパスタの塩気は最小限。上質なからすみとシラスがこんもり、その相乗効果の味わいはとても豊かで、口いっぱいに魚介の旨みが広がる。

「新鮮シラスと長ネギとからすみのオイルパスタ」3,300円
季節感あふれる期間限定メニューは必食!

「5種のキノコのパスタ」3,500円
旬のおすすめは日本各地のキノコを使ったパスタ。この日は、ひらたけ、大黒本しめじ、黒あわび茸、柳松茸、花びら茸などが入っていた。アーリオオーリオをベースに、バターとチーズを少し加え、キノコのだしを加えることで、多層的なおいしさを作り上げている。

パスタ好きにも、ワイン好きにも魅力がいっぱいの同店。気持ちのいい昼飲み、夜にしっとりと食事を楽しむなど自由度が高い。グルメマートは上質な日常に寄り添ってくれる、ありそうでなかった食を支える新しいスタイル。その存在にこれから注目が集まりそうだ。
※価格はすべて税込
<店舗情報>
◆AOYAMA GOURMET MART
住所 : 東京都港区南青山2-10-11 A青山ビル 1F
TEL : 03-6388-1400
文:岡本ジュン、食べログマガジン編集部 写真:山田大輔
The post原価率が高すぎる絶品パスタは、セレクトショップの奥に隠れた秘密のカウンター席で食べられるfirst appeared on食べログマガジン.
「食べログマガジン」編集部「食べログマガジン」編集部