土地の価格の動向を示す地価調査の結果が19日に発表されました。鹿児島県全体は32年連続で下落しましたが、地価が上がったエリアでは例年にない変化が見られたといいます。その要因とは?
地価調査は、今年7月1日時点の県内420地点の1平方メートルあたりの土地の価格を調べたもので、土地取引の目安となります。
調査の結果、県全体の平均は4万1400円で、去年より1.2%下がり、32年連続の下落となりました。このうち、住宅地の平均価格は2万7600円。26年連続のマイナスとなりましたが、下落幅は1.2%で、去年より縮小しました。
価格の上位20地点は全て鹿児島市で、最も高かったのは、11年連続で鹿児島市上荒田町17番の24万6000円でした。
一方で、郊外の住宅地では今、ある変化が起きています。
鹿児島市吉野町です。大通りは渋滞が起きるほど車が行き交い、住宅地では建築中の住宅や売り土地の看板がいたるところで見られます。
(吉野町の住民)「朝は渋滞する。住む人が多くなっていると思う」
実は、価格の上昇率をみると、鹿児島市吉野町の4.8%、鹿児島市錦江台1丁目の4.3%と、上位に郊外の住宅地が並んでいます。
なぜなのでしょうか?土地の価格を評価した大吉修郎さんは…。
(地価調査鑑定評価員 大吉修郎代表幹事)「大きなスーパーあるし、銀行も見えるし、ファミリー向けの食事もできる。生活が吉野地区だけで完結する。利便性の向上に伴ってここに住みたいという人が増えて、地価が上がってきた」
吉野町の場合、区画整理で宅地や商業地の開発が進められ、生活の利便性が向上したことが背景にあるといいます。郊外の地価上昇は、物価高も要因に…。
(地価調査鑑定評価員 大吉修郎代表幹事)「物価高で建材価格が上がり、職人が少なくなり人件費も上がり、住宅価格が上がって市中心部で家が建てづらくなり、郊外が見直されている」
商業地の価格にも変化が。平均価格は8万1000円で、32年連続でダウンしたものの、下落幅は1.3%で去年に続き縮小しました。コロナ禍からの需要回復が背景にあるとみられます。
価格の上位20地点は鹿児島市で、最も高かったのは、6年連続で鹿児島市東千石町14番の102万円でした。
上昇率トップは、去年に続き、鹿児島市荒田1丁目41番の3%で、後押ししているのが、近くの高麗町に開業したホテル・スーパー・病院などの複合施設キラメキテラスです。
(地価調査鑑定評価員 大吉修郎代表幹事)「(キラメキテラスの)波及効果として周辺にビルができ、特に共同住宅の需要が強い。周辺人口が4年間で3%以上、上昇。同じ鹿児島市でも全体として人口減っているが、こうしたスポットで言えば、若い人が入って増えている」
そのほか、上昇率上位の顔ぶれをみると、2位は種子島・西之表市鴨女町の2.5%でした。
馬毛島の自衛隊基地整備に伴い、種子島・馬毛島あわせて今後、最大6000人の工事関係者が滞在することから、飲食店向けの需要が増加。28年ぶりにプラスに転じました。

鹿児島県の地価32年連続下落県全体平均4万1400円…上昇エリアでは「例年にない変化」も「郊外・再開発・基地」がキーワード
MBC南日本放送