
糖尿病対策のためには朝食もしっかり考えたい(イメージ)
ヨーロッパの諺に「朝食は金、昼食は銀、夕食は銅」とあるほど、朝食は重要なものだ。だからこそ、朝食メニューを工夫すれば、さまざまな生活習慣病の予防・改善が期待できるという。そこで、健康のための朝食メニューについて、栄養、食生活管理のプロフェッショナルに話を聞いた。
【写真】ニンジンなども入る、コンビニで売られるチャーハンおにぎりなども
管理栄養士の望月理恵子氏は、糖尿病対策の朝食として、自らも実践するトマトみそ汁を強く推す。
「血糖値コントロールが鍵を握る糖尿病対策に、トマトみそ汁は最適です。トマトに含まれるリコピンは、(食後血糖値の上昇を緩やかにする)インスリンの作用を高めるアディポネクチンを増やすとされます。また、味噌に含まれるメラノイジンや大豆イソフラボンも、糖の吸収スピードを抑えてインスリンの働きを活性化するとされます」
作り方は至ってシンプル。リコピンがより吸収しやすくなるトマトジュースと水を1対1で割り、顆粒だしを加えて味噌を足すだけだという。タンパク質摂取のために溶き卵を入れると一層美味しく、栄養が摂れるという。
「食物繊維が豊富なオクラと温野菜のサラダもお勧めです。オクラのネバネバの正体は、ペクチンという水溶性食物繊維。ペクチンには血糖値上昇を抑える働きがあるとされています。その温野菜サラダを味噌と豆腐で作ったディップをつけて食べれば味もよく、タンパク質も摂取できて一石二鳥です。また、朝食で食物繊維が豊富な食材を摂ると、食後高血糖が抑えられるだけでなく、昼食後の血糖値まで抑える『セカンドミール効果』も期待できます」(望月氏)
食物繊維を多く摂るために管理栄養士の岡田明子氏が勧めるのは、キノコの玄米炊き込みご飯だ。
「糖尿病対策の基本は主食・主菜・副菜の3つを揃えるバランス食ですが、食後血糖値の上昇を示す指標『GI値』の低い食品を摂ることでも、リスクが軽減できるとされています。そこで、まず主食を白米よりGI値が低く食物繊維が豊富な玄米に変え、同じく食物繊維を多く含むキノコ類を使った炊き込みご飯にすれば、余分な糖質を体外に排出する働きが期待できます」
朝から炊き込みご飯を準備するのはハードルが高いという人は、コンビニでも売られるチャーハンおにぎりで十分だという。
「チャーハンはお米が油でコーティングされているので、血糖値の上昇は緩やかになります。カロリーは高めですが、おにぎりの個数を決めておけば食べ過ぎの心配もありません。自作する場合は、野菜やキノコなどを入れて嵩増しすることで、カロリーを抑えつつ食物繊維などの栄養を摂ることができます」(岡田氏)
高血圧や糖尿病と並んで患者数の多い脂質異常症への対策も考えたい。
「高血圧と糖尿病、脂質異常症が重なる『トリプルリスク』は、動脈硬化をより進行しやすくさせます。脂質異常症の予防・改善には、サバとタマネギのサンドイッチがお勧め。サバなどの青魚に含まれるEPAやDHAには血液中のコレステロールや中性脂肪を減らしたり、血液をサラサラにしたりする働きがあります。EPA・DHAは朝に摂ると最も吸収がいいとの研究結果が報告されており、朝食向きです。同じく血液サラサラの働きがあるタマネギスライスと合わせ、パンに薄くマヨネーズを塗れば、味もマイルドになって食べやすくなります」(望月氏)
岡田氏は脂質異常症対策にも「食物繊維がよい」と説く。
「食物繊維には体内の余分な脂質を排出する働きがあります。玄米、キノコだけでなく、こんにゃくにも豊富に含まれており、積極的に食べることで中性脂肪に変わるのを防いでくれます。市販のこんにゃく麺と野菜や卵、肉類を合わせたこんにゃく麺の冷やし中華なら、ラーメンに比べて塩分量も控えられてお勧めです。また、冷やし中華のタレに使われるお酢には、内臓脂肪の減少を助ける働きだけでなく、血圧を下げたり、食後血糖値の上昇を緩やかにしたりする効果があるとされています」
※週刊ポスト2023年2月3日号
NEWSポストセブン