不安定な時代に注目を集める“ポートフォリオワーカー”の可能性

不安定な時代に注目を集める“ポートフォリオワーカー”の可能性

  • ZUU online
  • 更新日:2020/09/17

執筆者:株式会社ZUU

※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途HP等でご確認ください。

新型コロナウイルスの影響により、多くの業界で業績悪化が伝えられています。ひとつの仕事だけを続けることに不安を覚え、副業によって収入の確保を考えている人も少なくないことでしょう。そんな中、注目を集めているのが“ポートフォリオワーカー”という働き方です。本記事では、その定義を紹介しメリット・デメリットについて解説していきます。

■ポートフォリオワーカーとは?

ポートフォリオワーカーは、リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットによるベストセラー『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(東洋経済新報社、2016年)で広く知られるようになった概念です。

同書では、仕事のステージが長期化・多様化する人生100年時代の新たな働き方として、一ヶ所に腰を落ち着けることなく幅広い進路を見据える「エクスプローラー(探検者)」、組織に属さず小さなビジネスを起こす「インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)」と並んで、「ポートフォリオワーカー」が紹介されています。

簡潔に表現するなら、ポートフォリオワーカーとは複数の仕事や社会活動に同時並行的に携わる人のことです。

例えば、プログラマー、エンジニア、ライター、デザイナー、講師、コンサルタント、投資家などなど、1人の人間がさまざまな肩書きを持ち、それぞれのコミュニティと関わりながら仕事をするというスタイルのことで、雇用の流動性が高い欧米の先進国を中心にすでに確立されてきているようです。

“ポートフォリオ”とは、しばしば使われる「カメラマンやデザイナーの作品集」といった意味ではなく、「投資家がリスク管理のために分散投資する金融資産の組み合わせ」のことを指します。この場合、ポートフォリオを組むといった言い方をします。

この投資の分割(リスクヘッジ)の発想を働き方に応用した結果、ポートフォリオワーカーという概念が生まれました。

■ポートフォリオワーカーのメリットとは

ポートフォリオワーカーとして働くことのメリットは、どんなことでしょうか。

第一に、さまざまな仕事を手がけることによって、社会情勢や業界ごとの好不調に左右されず収入を維持できる可能性が高いことがあげられます。

投資におけるポートフォリオと同様に、自身の労働力を資産に見立て、複数の投資先に分割してヘッジしていれば、仮にひとつの仕事が立ち行かなくなっても問題ないという考え方です。

高校・大学・専門学校などを卒業して就職した場合、当然ながらひとつの会社に自分自身のスキルと時間の大部分を投資することになります。

このたびのコロナ禍で大きな影響を受けた観光・外食産業のように、社会的な要因から事業が不調に陥ると、当然ながら失職や収入減のリスクを背負うことに。また育児や介護など、個々人の家庭の事情が、働き方とミスマッチすることも少なくありません。

ポートフォリオワーカーなら、収入が激減するリスクを回避できることに加えて、自分の生活スタイルに合った方法で自由に働き方をデザインできます。

加えて多種多様な仕事の経験値を得ることで、複数のスキルを伸ばし、それらを組み合わせて価値創出できる点も大きなメリットです。所属する会社ではあまり役立たなかった能力を、別の場所で最大限に発揮することもできるでしょう。

■ポートフォリオワーカーの厳しい現実

一方で、ポートフォリオワーカーは決して楽な働き方とは言えません。

複数の仕事を自ら選び、運用していく能力が求められるのはもちろんですが、それぞれの分野におけるキャリアの蓄積も中途半端になりがち。もし一朝一夕で身に付けたスキルなら、各ジャンルのスペシャリスト的な人材に競争で勝つことは、到底難しいでしょう。

また日本では、一般的に複数の仕事をかけもちすることはあまり推奨されていません。原則として副業を認めていない企業も多いため、現状では会社員として勤務しながらポートフォリオワーカーになることは困難です。

もしポートフォリオワーカーを目指すのなら、会社員である間に最低でもひとつのジャンルにおいては、フリーランスとして通用するだけの専門的知識と人的ネットワークを確立しておくことが求められるでしょう。

そして、軸となる仕事以外で生活の支えとなるレベルの収入を得るためには、旺盛な知的好奇心と、努力を努力と思わないほどのモチベーションが必要不可欠です。

フリーランスになれば年金など社会保険料もすべて自己負担となります。また、確定申告も必要になるため、しっかりとした独立心と計画性がなければ、むしろ生活上の負担が増す結果にもなりかねません。

あらゆる困難を覚悟したうえで、それでも自由な生き方や将来的なリスクヘッジを重視するのであれば、まずはフルタイムの仕事をしながら、将来的な収入につなげるための知識やスキルを積極的に蓄えていくことからスタートしましょう。

なろうと思えば誰でもなれるものの、誰でも続けられるわけではない……というのが、現在の日本における“ポートフォリオワーカーのリアル”と言えそうです。

■まずは、自分に合うかどうか考えてみよう

いまだに終身雇用制度が残り、1社で正社員として働き続けるという選択肢がある日本社会では、まだまだポートフォリオワーカーは育ちにくいかもしれません。

一方でポートフォリオワーカーは、長期的な視野を持ちながら自己投資に取り組み、身に付けた複数のスキルを生かしてキャリアをのばせるでしょう。気に入った仕事を組み合わせながら働くことは、人生を楽しむ“豊かな働き方”とも言えます。まずは自分に向いている働き方かどうか、吟味することからはじめてみてはいかがでしょうか。

(提供=UpU/ZUU online)

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