天安門事件告発「最後の象徴」、香港大が撤去要求 強制執行も

天安門事件告発「最後の象徴」、香港大が撤去要求 強制執行も

  • 毎日新聞
  • 更新日:2021/10/14
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香港大のキャンパス内にある「恥辱の塔」=香港大で2020年7月9日午後0時54分、福岡静哉撮影

香港大当局が、1989年6月4日に起きた天安門事件を告発する彫像をキャンパスから撤去するよう、事実上の所有団体に要求している。香港では長年にわたり事件の犠牲者追悼集会をしてきた市民団体が9月に解散に追い込まれるなどし、彫像は、香港で天安門事件の記憶を受け継ぐ最後の象徴となっている。団体側は撤去を拒んでいるが、大学当局は今後、強制執行も辞さない構えだ。

香港の天安門事件記念館、一時閉館

天安門事件では、中国当局が民主化を求める学生らを武力鎮圧。多くの学生が犠牲になった。中国共産党は学生らの民主化運動を「反革命暴乱」と結論づけており、中国本土では追悼活動ができない。

香港大にある彫像は「恥辱の塔」。デンマーク人の芸術家が事件で殺害された人々をイメージして制作した。高さ約8メートルの「人柱」に彫り込まれた一人一人の表情に、無念の思いや苦悩がにじみ出ている。台座には「民主の烈士は永遠に朽ちない」と刻まれている。

作品は、90年から毎年6月4日に香港で事件の犠牲者追悼集会を主催してきた市民団体「香港市民愛国民主運動支援連合会」(支連会)に貸し出され、香港返還直前だった97年6月4日の追悼集会で展示された。集会終了後、香港大の学生らが、彫像をトラックに載せて大学キャンパス内に運び込んだ。大学当局の通報を受けた警察が阻止を試みたが、最終的に学生らの要求を受け入れた。学生会は98年、「永久に学内に設置する」と決議。毎年6月4日に学生会メンバーが丁寧に磨き上げてきた。

一方、学生会に彫像の展示を任せた形になった支連会は、97年7月の香港返還後も、中国の民主化や中国共産党による一党体制の終結などを掲げて運動を続けた。2014年には、天安門事件犠牲者の遺品などを展示する「六四記念館」を開設した。

だが、習近平指導部が20年6月、反政府的な言動を取り締まる香港国家安全維持法を制定すると、香港当局は新型コロナウイルスの感染対策を理由に追悼集会を禁止した。今年9月上旬には警察が六四記念館を国安法違反容疑で家宅捜索。記念館は閉鎖に追い込まれた。また当局は支連会の幹部らを「国家転覆を図った」などとして同容疑で相次いで逮捕。支連会は9月下旬、解散を余儀なくされた。

彫像については、親中派団体が「国安法に違反している」と批判し、署名を集めて大学側に撤去を求めていた。大学当局は、解散した支連会の清算に当たっている元幹部の蔡耀昌氏らに対し、13日夕までに彫像を撤去するよう要求。蔡氏はこれを拒否した。大学当局は「(彫像を)どのように処理するかは大学側が決定する」としている。【台北・岡村崇】

毎日新聞

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