明るかった彼が、友達のものを盗んだ。「暇だったら遊ぼ」メールが届いた次の日、彼は退学をした

明るかった彼が、友達のものを盗んだ。「暇だったら遊ぼ」メールが届いた次の日、彼は退学をした

  • かがみよかがみ
  • 更新日:2021/02/23
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高校を卒業してもうすぐ10年が経とうとしているのに、そんなに時が過ぎたようには思えずに私は未だにあの日のことを後悔している。

彼は今どこで何をしているだろう。

あの日に後悔を感じる私はただの痛い勘違い野郎だろうか。

10年越しに友人から指摘された事実。「お前、いじめしてたよな」

明るく華がある彼は、部活仲間の私物を盗んでいた

クラスも違った彼と初めて話をしたのは選択授業の時間だった。

彼は授業で顔を合わせるようになって数回で私をあだ名で呼ぶようになった。

それも誰からも呼ばれていない彼が勝手につけたあだ名だ。

彼は顔が整っていたし、明るく華もあり、女の先生から可愛がられるタイプの生徒だった。

そして、何を考えていて何をしでかすか分からない危ない雰囲気も持ち合わせていた。

勉強は頑張らないが地頭が良かったし、運動神経も良く、部活でも活躍していた。

しかし彼は色々と問題がありすぎた。

部活内で彼がトラブルを起こしたという話は、彼と同じ部活に所属する私の彼氏から数回聞いていた。

彼のせいで部活内での話し合いは既に数回開かれているらしかった。1回目の時には許していた仲間も2回目3回目と続くことで誰も彼に対して良い感情を持たなくなった。私の彼氏も彼の名前を出すことすら嫌がるようになっていた。

それもその筈だ。彼のした事が事だった。

彼は部活仲間の私物を盗んだのだ。

それも1回では無く、数回。

彼氏から聞いたような彼の姿を感じることはできなかった

彼氏からその話を聞いた時、不謹慎にも思わず笑ってしまった。

彼のお遊びの延長に起きた事故だったんじゃないの?ふざけた遊びだったんじゃないの?誤解じゃない?と。

しかし彼氏は「そんなんじゃないんだよ。アイツ、ほんとにヤバい奴なんだよ」と冷たく冷静に言うだけだった。

そのうち彼の保護者はよく学校から呼び出しにあうようになった。彼の両親は離婚をしており、毎回母親が学校に来ていた。彼の母親は若く、彼が起こした事に対して興味も無さげであるようだった。

そんな彼の噂が学年に広まるのはあっという間だった。

それでも選択授業や休み時間にふと声を掛けてくれる彼の姿は相変わらず可愛いもので、彼氏から聞いたような彼の姿を感じることはできなかった。

彼がふざけて答えなかったとしても直接聞いたらよかっただろうか。

「ほんとにしたの?なにかあったの?」

私が真実を怖がって目を背けたのだろうか。

私は事実を聞きたく無かったのだろうか。

その後も私に映る彼は変わらなかった。彼はいつもと変わらない日常を平気に過ごしているように見えた。

きっとそれは絶対に違っていたのに。

「今日暇だったら遊ぼ」メールが届いた次の日、彼は退学をした

ある日曜日、彼からメールが届いた。

「今日暇だったら遊ぼ」

私は彼氏のことが頭に浮かんで用事もないのに断った。

彼からの誘いのメールの珍しさに僅かな違和感があったにも関わらず、ただゴメンねと返信をしただけだった。

そして次の日、彼は退学をした。

私はその後、彼に連絡を取っていない。

彼はどうしているだろうか。

あの日もしも、彼に会っていたら何かしら違っただろうか。そんな事を考えてしまう私は自分に酔いすぎだろうか。

どうせ何も変わらなかったと分かりながらも未だに考えを巡らせてしまう自分がいる。

異性として好いていた、とか付き合いたいと思っていた、とかそういうことは無かったのだが弟を想うような感覚で彼を好いていたのは確かだ。

でもそれは私が彼を危険な男だと頭や体で理解した上で無理矢理にでもそう思い込もうとしていたからなのだろうか。

今、彼はどこで何をしてるだろうか。

彼は恐らくあの日、私にメールを送ったことなど覚えてはいないだろう。

でも、私はあの日の彼に謝りたい。

私はすごく、彼に会いたい。

当時の彼が家でどんな時間を過ごし、一人で何を考え、どんな心情で学校生活を過ごしていたのかは今はもう私の想像でしか分からない。

けれど、当時私が見ていた嘘の無い純粋な彼の中には処理の仕方も分からない闇の部分があり、一人で毎日戦っていたのだと思うと、何も言わないでギュッとしたくなってしまう。

大丈夫だよ。ひとりじゃないよ。

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