とめどない恋心、秋を彩る - 『ハニーメモリー』 aiko

とめどない恋心、秋を彩る - 『ハニーメモリー』 aiko

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  • 更新日:2020/11/22
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今年2作目のシングル。前作の表題曲“青空”では止められない気持ちと散りゆく恋を爽やかさと切なさで表現していたが、今作の表題曲では長い時間をともに過ごした人との別れへの後悔と未練を、曲と詞ともにクリアに落とし込んでいる。

つぶやくような歌唱と、今にも崩れ落ちそうな掴みどころのないメロディ。それらは人知れず抱えてきた心の痛みが、時間が経過すればするほどに肥大していく様子を生々しく描いてゆく。その一点のみをじっくりと抽出した同曲は不格好かもしれない。しかし、だからこそ自分がこの主人公と同じ経験をしたかのように錯覚するし、何より同じ苦しみを持つ者をそっと抱きしめるような優しさに満ちている。狂おしいほどの愛を軽やかに歌う“58cm”、穏やかなサウンドに消化しきれない恋心を込めた“心焼け”と、3曲ともにどんな状況下の人間も曲の世界へと瞬時に引き込んでしまう、aikoのソングライティング力の真骨頂。《味がしない》や《最近はおとなしく家に帰ってるよ》など、時世とリンクするワードを大胆に用いて物語のスパイスにしてしまう技法にも唸る。(沖さやこ)

『ROCKIN'ON JAPAN』2020年12月号より

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