
テレビ愛知
超高齢社会とその市場を研究しているニッセイ基礎研究所の前田展弘さんに、高齢労働者の増加などについて聞きます。
---働かなくてはいけない高齢者が増えたのは一体なぜですか。
経済的な理由というのが一番大きいですね。高齢者が働く理由も、半数以上の方が経済的理由で働いているということですので、働かざるを得ない社会になっているということは課題だと思います。
---一つ課題として捉えるべきなんですね。
年金の問題にも関連しますが、そうした社会になってしまっていることは課題であり、同時に、働かざるを得ないという仕事に対してネガティブになってしまっているということも課題だと思っています。
本来、高齢期に働くことも、健康のことなどを考えると決して悪いことではないんですよね。それが、後ろ向きに捉えられてしまうというのは課題であって、原因が何かということで言いますと、働く、選べる選択肢が非常に少ないことが一番問題だと思っています。
---選択肢が少ないというと、この仕事は本来したくないが、それを選ばざるを得ないとか、そういうことですか。
そうですね。その選択肢をいかに社会全体として広げていけるかというのが非常に重要だと思っています。
また中長期的に考えますと、中年層、若者の将来を考えますと、より経済的な理由で働かざるを得ないという問題は深刻になっていくと思いますので、そう考えますと、人生100年時代と言われている中で高齢期をどのように過ごしていくか活動していくかといったときに、理想は年金プラスアルファ、このプラスアルファの部分をいかに稼げるかっていうことが大きいと思います。
そのプラスアルファを稼げるための選択肢を広げていくということが大事だと思っています。
---プラスアルファを稼ぎつつ、満足するような仕事の選択肢も同時に増やしていってほしいということですか。
そうですね。自分の仕事を通じて得られる満足度とか、喜びとか楽しみとか、そういったところを選べる、確保できるということが重要だと思います。
---実際にそういう社会になるためには何が必要ですか。
企業に対してと、地域自治体に対してと、話しますと、まず前提として、これから日本は少子高齢化、そして人口減少となり、人手不足が深刻になっていくわけです。
その前提の中では、企業としても、この日だけとかこの時間帯だけ、この業務だけというように、あくまで経営の効率化等を意識して、シニアの方の力をいかに経営に生かしていくか、そしてその中で選択肢を広げていただくことを非常に期待しています。
また自治体地域の方をみても、子育てから福祉からまち作りから様々な課題、やるべきことがたくさんあって、一方で、地域を支える人材というのはどんどん減っていくことが心配されています。
ですので、その地域の課題をシニアの方の力で解決していくような、そのような取り組みやモデルを作っていくことがより大切になるのではないかと思っています。