日銀が発した「誤ったシグナル」 先走る債券市場

日銀が発した「誤ったシグナル」 先走る債券市場

  • WSJ日本版
  • 更新日:2018/01/12
No image
No image

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

日銀のテーパリング(資産買い入れの段階的縮小)観測はひどく誇張されている。

日銀が今週買い入れた長期債は想定を下回った。予想の2000億円に対し、買い入れ額は1900億円だと発表したのだ。これだけで市場は動揺した。日銀が「ステルステーパリング」に着手し、事実上の金融政策引き締めに向かっていると投資家が受け止めたためだ。ここ数日、その余波は広がり、世界的な国債利回りの上昇を招いている。

債券市場は物忘れが早い。債券買い入れ額をある程度変動させることは、黒田東彦日銀総裁が2016年9月に金融政策の軌道修正を発表した際、まさに予告していたことだ。黒田氏が明らかにしたその長短金利操作(イールドカーブコントロール)政策では、買い入れる債券の量ではなく、長期金利をターゲットとしている。マイナス金利や債券買い入れなど必要な手段を総動員し、「イールドカーブ全体の金利に影響を及ぼす」ことを目標としているのだ。

ベン・バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、こうした金融緩和政策をチーズの価格設定に例えた。バーナンキ氏によると、政府がチーズの価格を引き上げようとする場合、2つの選択肢がある。チーズを大量に買い入れて価格設定を市場に委ねるか、あるいは、まず価格を設定し、その価格を維持するために必要なチーズを買い入れるかのいずれかだ。日銀の資産買い入れについて検証する際、市場はこれを肝に銘じておくべきだ。黒田氏はチーズの価格を設定することに決めたのだ。

ではなぜ、こうも騒がれるのか? 世界の債券投資家は中銀の変わり身の兆しを嗅ぎつけようと躍起になっており、ささいな兆候にも即座に反応する。日銀の今回のタイミングは、為替や債券市場にとってはサプライズだった。だが日銀が1年以上前にイールドカーブコントロールを開始してからの買い入れ動向を見ると、買い入れ水準はすでに総じて減少傾向にある。

ただ、これは政策が変化したという訳ではない。10年物日本国債利回りは日銀が目標とするゼロ%「程度」にほぼ張り付いており、日銀はそれほど国債を買い入れる必要がないにすぎない。

政策の核心を徹底周知させるため、イールドカーブコントロール政策はイールドカーブのフラット化を回避するよう設計された。その目標に向けて順調に進んでいる。1・10年債の利回り格差は16年9月時点よりも拡大した。国際金融市場における手掛かりを得ようとする投資家は、中銀の金融政策における戦略を今一度見直した方がよさそうだ。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

経済カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
北京新空港は世界最先端の構造、下車して8分以内に搭乗口に行ける!―中国
ダイエー消えてもドムドムは不滅。6年ぶり新規出店で復活目指す
ソフトバンクも副業解禁。「Smart&Fun!」で広がる自由な社風【ダブルワーク活用術】
日本の「お宝企業」が絶滅危機!廃業予備軍127万社の衝撃
想像以上の成果があがる非日常的な場所での会議
  • このエントリーをはてなブックマークに追加