現役警察も嘆く、自転車を使った悪質な「当たり屋」に有利な制度

現役警察も嘆く、自転車を使った悪質な「当たり屋」に有利な制度

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  • 更新日:2017/11/13
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メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者で交通ジャーナリストの吉田武さんが、現役の警察官であるTさんへのインタビューで「自転車の取り締まり」に関する裏話を暴露する当シリーズ。今回は前回から続く、解決に3年かかったという「チャリテロ」裁判で浮き彫りになった、日本の道路交通法の理不尽さについて。現役警官Tさんが匿名であることを良いことに告発する、日本の警察の問題点とは?

軽車両の自転車はどこまで車両や歩行者と共存できるのか? その17

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(前回までのあらすじ)現役警察官のTさんが実際に関わったという、ワゴン車と自転車の接触事故。車道を走っていた自転車が、主要幹線道路に停車していた自動車を避けて走行車線へはみ出した瞬間、ワゴン車と接触。どう考えても目視で後方確認せずに飛び出した自転車に過失がある事故と思われたが、自転車側は「停車していた車にも原因がある」と、停車中の車に罪をなすりつける始末。この「チャリテロ」に納得の行かないワゴン車の運転手は、自ら「人身事故」として捨て身の覚悟で裁判へ持ち込む。危険な自転車乗りを反省させるために始まった裁判は、終わるまでに3年もの月日を要することに。悪質なチャリテロ裁判の行方は……。

Tさん:例えばクルマ同士が交差点で片方が一時停止無視して飛び出してしまい、優先道路を走っていたクルマと接触したとします。その場合はクルマとクルマなので飛び出してきたクルマ側に大きな過失が生じます。これがクルマ対自転車の場合はどんなに自転車側が一時停止無視して飛び出しても弱者救済措置が働き、優先道路走っていたクルマに過失が7割被されてしまうんです。私はこのような交差点での事故を散々取り扱ってきましたが、いつも心の中では「クルマの方が気の毒」「自転車は当たり屋と一緒だよな」って思いながら事故処理に務めていました。

一時停止無視で飛び出して接触事故を起こす自転車側の過失が3割って……本当にどうかしていると思うんです。絶対間違っていると思います。もっと全国の警察署から現場の声としてお上へ届きまくれば少しは変わるような気がするんですね。

自転車に運転免許制度を今から施すのには超えなくてはいけない壁が沢山あって現実的ではありません。日本を変えようと思う警察官がもっと増えてくれれば、そして現場からの声を大にして届けられるようになると変えられる……私はそう思い続けています。

道路交通法を改正して自転車に対し厳しくなったとか言われていますけど、事故処理を担当していた私から言わせてもらえば「あんたらがもっと安全運転に務めれば発生しない事故ばっかあるんだよ!」と魂の叫び、いや、遠吠えをしたくなる時もありますね(苦笑)。スマートフォンいじりながらの自転車操縦している人が多すぎます。イヤホン付けて自転車乗る人は昔から多いですが、イヤホン+スマートフォン操作な最悪すぎる自転車乗りだけは絶対私も許しません。

吉田:感動しました。警察官という職に就いているんでしたらTさんみたいに自転車の事故に対して理不尽な処理させられているんだよなぁと思うほうが普通ですよね。で、裁判まで発展して、3年間戦った結果……過失割合は最終的にどうなったんですか?

Tさん:過失割合はワゴン車の運転手の方も弁護士と一緒に戦いましたが、結果的に6:4となったそうです。お互い走行中の事故でしたから、10:0みたいなことはなりませんけども、当初の7:3から一歩踏み込めた形だったようです。

吉田:うーん、うーん、それでもクルマ側は納得いかないですよねぇ。自転車側は自賠責保険を活用して最大120万円まで得られる保険金をまず得ているわけですし、それが治療費として使われています。自分が後方確認せずに車線変更したことで後ろから追突されておいてケガしたのに保険適用からの治療費&仕事の休業補償も行われている。

これじゃあ当たったもん勝ちですよ。チャリテロとしても最もやりなれた人間しかできない所業な気がしてならない。

Tさん:あ、まだ私の方から吉田さんへ伝えていなかったことがありました。この自転車の方が乗っていた車両がですね、1台38万円で購入されたチタンフレーム製か何かの限定版モデルだったようで、新車購入してまだ2ヶ月も経ってない自転車とのこと。一方でワゴン車の方は8年ほど乗っている型落ちの車両でして、自転車の修理費は全損ですので38万円で購入してから2ヵ月経過したことを差し引いても2割マイナス……とかおっしゃっていたでしょうか、30万円ほどの修理費用。

ワゴン車の修理費用は左前方バンパーがへこんだだけですので修理費用は3万円。

吉田:これって……自転車の修理費用の方が高額だから……過失割合で勝負してもお互いの修理費用を合算して33万円。つまり、6:4の場合はワゴン車の運転手は6割負担で、自転車は4割負担。しかし、高級自転車のおかげで自転車の修理費用が断然高額になっているので、ワゴン車の方は自分自身で修理すれば3万円で済みますけど、自転車の修理費用も負担しなくてはいけない結果ですので……これは釈然としませんよねぇ。

Tさん:そうなんですよ。ワゴン車の方はその費用負担も不愉快すぎて裁判まで持っていけば少しでも過失割合が変わってくれるんじゃないかと考えたそうなんですけどね。結局、月額の車両保険負担額が増えてしまうのがバカバカしいとのことで、ご自身のワゴン車は車両保険を使わず運転手自己負担で賄ったそうなんですが、ワゴン車の運転手の方は任意保険の対物賠償を使って高級自転車の修理費用負担を適用させたそうなんです。しかし、その高級自転車はイタリア製だったかの限定仕様でしたのでもう購入不可能ということで、自転車の方には現金で支払われたと。

さらに続くのですが、自賠責保険で120万円のケガに対する治療費を負担しましたが、首をケガしたとのことで病院治療が長引いてしまい、120万円を超えてしまったことから、こちらも対人賠償を任意保険で賄い、最終的に300万円ほど支払われたそうです。

まだ続きがありまして、自転車の方は首を痛めたということから3年経過した今も病院へ通っているようです。自賠責保険で適用される後遺障害による損害も適用されているようで、その等級まではお聞きしてませんが総額で500万円以上は自転車の方は保険金を得ているようなことをおっしゃってました。

吉田:ほんとクソ野郎ですね。一体いつまでこんな古臭いままの昭和で時間が止まった状態な法律を適用しているんでしょうか。もう怒りが僕も頂点に達してしまいますよ。

吉田:自転車vsクルマの事故で良く相談受けていますが、大抵自転車側のミスなのにも関わらず、クルマが悪くなって保険会社が勝手に定める過失割合のせいで加害者扱いになるこのご時世。未就学児以外の自転車走行におけるミスは全て自己責任にしないと当たり屋的な人たちは一向に減る気配はないと思います。政府や役人たちはそういう危機感を持ってないんでしょうかね。運転手に運転させている輩たちには現場の現状は理解できないのが現実なんでしょうか。もうワゴン車の方が気の毒でなりません……。

Tさん:吉田さんの正義感はとても強く感じますけども、政府と保険会社は蜜月な関係でもありますので中々簡単に事は進まないのも現状です。高速道路の合流ポイントの設計やらも現場を知らない方々が行なっていますので、日本の高速道路は合流時の渋滞が発生してしまうおかしな状態ですからねぇ……。運転手が付いている方々には現場の声をあげてもマイノリティーな扱いで興味示さないみたいですから、大勢で声をあげないといけないわけなんです。私も一人の警察官として変えられない現状に歯がゆさは多々ありますが……恥ずかしいことに……。

吉田:なんとも言いようがない現状ですね。そういえばこの裁判の決着は示談という形でついたんですか?

Tさん:ええ、そうです。複雑な経緯だったらしいですが、裁判官から示談を勧められたそうで。ワゴン車の方は過失割合を7:3のままでは納得行かなかったのが要因ですから、6:4になっただけで一歩前進しましたとおっしゃってました。

吉田:裁判まで戦えば過失割合を少しでも変えることができる……そんな勇気はもらえたと思いますね。決して、ワゴン車の運転手を人柱にして終わらせないよう戦わなければいけない気がしてきました。

道路交通法を守らないサイクリストに対して自己責任で事故を発生させた責任を取らせる運動を僕はマスコミ側の人間として積極的に今後も行なっていこうと思います。ワゴン車の方が3年かかって戦ったことを無駄にしないためにも!

Tさん:吉田さんって本当に熱血漢ですね。警察官向きな性格です(笑)。

吉田:僕も高校生の頃、白バイ隊員になりたくて警察署へどうすればいいのか手続き取ったことがあるんですが……残念ながら家族に前科者がいたおかげで警察官に採用することができないので、試験を受けてもダメだと言われ未遂に終わった過去があります(苦笑)。

Tさん:人生色々ありますねぇ……。

吉田:今回Tさんからお伺いしたチャリテロの当たり屋なんかは可愛いもんじゃないですか。関西から関東へ昭和の時代から攻め込んでくる、クルマを使った当たり屋の現状ってどうなんですか?

(次回へつづく)

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