ダルビッシュが選んだカブスは、「生ける伝説」の編成トップが率いる超優良球団

  • J SPORTS
  • 更新日:2018/02/15

ダルビッシュ有投手が新しい所属先として選んだのは、シカゴ・カブスだった。

ダルビッシュにとっての究極の目標が「ワールドシリーズ優勝」であるなら、カブスはその可能性を持つチームの一つである。昨季まで3年連続プレーオフ進出を果たしただけではなく、3年連続でナ・リーグ優勝決定シリーズに進出。一昨年の2016年にはナ・リーグ優勝だけではなく、108年ぶりのワールドシリーズ優勝まで果たしている。

カブスは過去数年、ファーム生え抜き選手、過去の主力選手のトレード放出で獲得した他球団の元有望株、FA選手のバランスをうまく取って、今後3年から5年ぐらいのスパンは毎年、確実にナ・リーグ中地区の優勝を狙えるようなチーム構築法をしてきた。

ファーム生え抜きの選手は、2011年のドラフト1巡目指名ハビアー・バイエス内・外野手、2012年のドラフト1巡目指名アルバート・アルモーラJr.外野手、2013年のドラフト1巡目指名で2016年のナ・リーグ最優秀選手クリス・ブライアント三塁手、2014年のドラフト1巡目指名カイル・シュワバー外野手、2015年のドラフト1巡目指名イアン・ハップ外野手、ベネズエラ出身でドラフト対象外のウイルソン・コントレラス捕手と多く、これは「長期的な視点に立ってのチーム構築」が上手くいっている証だろう。

過去の主力選手のトレード放出で獲得した他球団の有望株は、「カブスの顔」であるアンソニー・リゾ一塁手(元々はエプステイン編成部長がレッドソックス時代に獲得した選手)、アディソン・ラッセル遊撃手、2016年の最優秀防御率カイル・ヘンドリクス投手、クローザー候補カール・エドワーズ・Jr.、セットアッパーのペドロ・ストロップとワールドシリーズ優勝時の主力ばかりで、これは「ワールドシリーズ優勝のためにはどんな戦力が必要なのか?」を具体的にイメージできる証だろう。

FAではエースの左腕ジョン・レスター、2016年のワールドシリーズ最優秀選手で内、外野複数のポジションを守れるベテランのベン・ゾブリスト、ゴールドグラブ賞の常連ジェイソン・ヘイワード外野手と実力者揃いで、今オフもダルビッシュ、先発候補のタイラー・チャトウッド、クローザー候補のブランドン・モーロウ投手に加え、元先発の救援左腕ドリュー・スマイリー投手まで用意周到に加えた。

それは彼らが「育成が間に合わず、外部から補強しなければいけないポイント」を正確に認識している証で、そこにトレードで獲得した先発・救援のマイク・モンゴメリー投手や、先発左腕ホゼ・キンタナが加わる。トレードするにはそれなりの有望株を放出する必要があるので、それは単にエプステイン編成部長やホイヤーGMにトレードの手腕があるというだけではなく、スカウト部門がドラフト戦略や(中南米の)ドラフト外選手の発掘に優れ、育成部門が獲得したアマチュア選手たちを他球団が欲しがる有望株に育てた証でもある。

そう、カブスが何年も高い競争力を維持している理由は、実力のあるスター選手が大勢いることではなく、編成のトップにセオ・エプステインが君臨しているからだ。

レッドソックスで86年ぶりのワールドシリーズ優勝、カブスで108年ぶりの同シリーズ優勝に導いたエプステイン編成部長は、映画「マネーボール」で有名になったアスレチックスのビリー・ビーンGM(当時。現編成部長)のチーム構築法を参考にして頂点に上り詰めた。言わば「セイバーメトリクス(野球の統計分析学)とオールドスクール(野球界の守旧派)との融合」。それは育成とスカウトを統合するジェイソン・マクレオド副社長、レッドソックスやパドレスでもGMを務めたジェッド・ホイヤーGMと三位一体となった「トロイカ体制」によって洗練された。

チームの低迷期を脱した他の球団と同様、カブスもまた、スカウト部門と若手選手の育成に重きを置いてきた。その頭脳=ブレインとなるフロントの責任者は他球団からヘッド・ハンティングされる運命にあり、過去二十年の間にブレーブスやインディアンス、レッドソックスやレイズがフロントの優秀な人材を失ってきた。

レッドソックス時代にそれを自ら体験しているからこそ、カブスではマクレオドやホイヤーの下に、プロ・スカウト部長のカイル・エバンスや、アマチュア・スカウト部長のマット・ドューレイ、選手育成部長のジャロン・マディソンといった他球団が注目する優秀な人材を次々と雇い入れ、フロント育成も着実に進めてきた。

カブスはダルビッシュ加入前からすでに優勝候補なので、わざわざ「ダルビッシュの選択は正しい」と誇張するつもりはない。だが、選手よりも速いスピードで他球団への流出が危惧されるフロントの人材を、ここまで手際よく育成し続けるチームはそう多くないのではないかと思う。そして、それはレッドソックスを86年ぶり、カブスを108年ぶりのワールドシリーズ優勝に導いたことで、すでに伝説の存在になっている「エプステイン」という名の下でしか、成し得ないことなのかも知れない。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

MLBカテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
【MLB】イチローも苦戦...FAより若手有望株重視のストーブリーグ、米メディア特集
平野 25日インディアンス戦でOP戦デビュー
バムガーナー 5年連続5度目の開幕投手に カーショーと左腕対決
大谷 イチロー流実戦旅 マイナー戦で打席確保
マーリンズで「イチ・ロス」=ボア「メジャーで再会を」-米大リーグ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加