盛り上がる日本発の仮想通貨「モナコイン」とは

盛り上がる日本発の仮想通貨「モナコイン」とは

  • ITmedia NEWS
  • 更新日:2017/11/15
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仮想通貨といえば「ビットコイン」が代表格だが、ほかにもさまざまな仮想通貨が開発され、ビットコインとは違った特徴を競っている。そんな中、特徴的な広がりをみせているのが、日本発の「モナコイン」(モナーコイン・Monacoin)だ。

その名の通り、「2ちゃんねる」発のネコキャラクター「モナー」が由来の仮想通貨。コインのイメージイラストにはモナーが描かれ、ほんわかした雰囲気だ。その冗談みたいなネーミングや2ちゃんねるという出自から、“お遊び”コインと思われ、「ニートのおはじき」などとバカにされることもある。

だが、今年に入って価格は急騰。1月には3円前後で取引されていたが、春にビットコインに先駆けて「Segwit」(取引データの圧縮)を導入したことで注目を浴び、10月には日本の仮想通貨取引所最大手「bitflyer」に上場したことで話題に。一時700円以上の高値を付け、「価格が急上昇した仮想通貨」として知られるようになった。

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モナコインの価格チャート(Zaif Exchangeより)

モナコインの真価は、値上がり率ではない。その実用性だ。モナコインを使ったサービスを日本のエンジニア有志が多数開発しており、広く使われているのだ。その規模は「仮想通貨コミュニティーとして国内最大級」とも言われるほど。モナコインのファンは「モナコイナー」と呼ばれ、普及のために身銭を切る人も少なくない。

今年10月末。あるモナコイナーが、約130万円もの自腹を割き、東京・秋葉原の公衆ビジョンで、モナコインの動画広告を流した。その広告を見るため、全国各地のモナコイナーが秋葉原に集合。自腹で作ったグッズを無償で配る人もいた。

なぜ、彼らはそこまでして、モナコインを盛り上げようとするのか。「モナコインが値上がりすれば、手持ちのモナコインの含み益で儲かるから」――だけではない。

彼らを熱くさせるのは、モナコイン独特の「面白さ」だ。

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開発者は「わたなべ氏」 “投げ銭”サービス広がる

モナコイン誕生は2013年末。2ちゃんねるの「ソフトウェア板」に登場し、2014年に正式リリースされた。「ライトコイン」(Litecoin、元Googleの社員が開発した仮想通貨)をベース作られており、取引処理のスピードが高速なのが特徴。ビットコインの6倍超の速さで処理できる。開発者は「Mr.Watanabe」(わたなべ氏)を名乗っているが、素性は明かしていない。

リリース直後から、有志の個人が、モナコインを使ったさまざまなサービスを開発しており、活発に利用されている。主な用途は、相手への評価や感謝を伝える“投げ銭”。掲示板やブログ、Twitterで、面白い投稿に投げ銭できるプラットフォームがそろっているのだ。

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掲示板サイト「Ask Mona」。「モナコインをばらまく」人が多数いる

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Ask Monaでは、メッセージとともにモナコインを送ることも可能。「114」(いいよ)、「5963」(ごくろうさん)、「39」(サンキュー)など、送金額にメッセージを込めることも一般化している

例えば、掲示板サイト「Ask Mona」は、気に入った投稿に「いいね!」する代わりに、モナコインを投げ銭できる。人気の投稿は文字が太くなったり文字色が変わったりして目立つほか、モナコインをあげたりもらったりするとユーザーの「段位」が上がる仕組みで、「モナコインまくよー!」と他人に無差別にモナコインを配る人も毎日のように現れる。

「評価の高い投稿をすると仮想通貨がもらえる」という設計のサービスとしては、ICO(Initial Coin Offering:仮想通貨による資金調達)で4億3000万円を集めて話題になった「ALIS」があるが、ALISは企画だけで資金を集めており、サービスは未公開。Ask Monaはこれを、2014年から実サービスとして展開しているのだ。

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「tipmona」で受け取ったモナコインを教えてくれるTwitter bot「モナコインちゃんbot」

Twitterユーザー同士でモナコインを投げ銭できる「tipmona」もよく使われている。登録不要で誰でも利用でき、モナコイナー同士で活発にやりとりされているほか、ドナルド・トランプ米大統領など著名人のTwitterに送り付けて遊んでいる人も。Wordpressで作られたブログに投げ銭できる「monage」というプラグインもある。

フリマもあれば、「神社」もある

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Monappyでは「モナコインクッキー」といった商品やデジタルデータなどさまざまなまものが売買されている

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有志が建立したモナコイン神社(CC-BY-SA4.0 International photo by aya_yagi)

なぜか「神社」もある。モナコインで売買された長野県山中の土地に、有志が祠などを持ち寄って“建立”した「モナコイン神社」だ。山深い場所だがモナコイナーたちが定期的にオフ会を開いては開拓を進め、階段の設置や防雪、草刈りなどを行いながら維持・管理している。

モナコインが活発に利用されている背景を、モナコイナーの1人・にゃんたろうさん(30・男性)はこう解説する。「感謝を伝えたかったり賞賛したいなど、見返りなくお金をあげたい相手がいても、日本円というプラットフォームには、そういう仕組みがあまりない。モナコインならそれができるんです」。

店舗にモナコイン決裁を導入したアークの浦田優樹さん(33)は、「モナコインは1円以下の単位でも送れるため、チップを渡すような感覚で流通できる」と分析。「すでに活発に利用されており、気づいたころには“モナコイン経済圏”ができているのでは。店舗に導入することが、その一助になれば」と可能性に期待を込める。

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アーク店頭ではモナコインステッカーも配っていた(10月27日)

個人が100万円以上投じた「広告プロジェクト」

「モナコインが普及すれば面白い」。そう考え、宣伝のために自腹を切る人もいる。

東京・秋葉原の駅前ビル・「秋葉原UDX」と「秋葉原ラジオ会館」の巨大ビジョンで10月末の1週間、モナコインをPRする動画CMが流れた。CMを流すのに必要な資金・約130万円は、個人投資家でモナコインエバンジェリストの田中さん(29・男性)が投じた。

「モナコインの広告を出したら面白い」と、仲間内のSlackで盛り上がったことがきっかけ。動画制作や声優のアレンジ、配信の手配はにゃんたろうさんが請け負った。にゃんたろうさんはCM製作のため、わざわざMacbookを購入したが、Macを使うのは初めてで操作も分からず「心が折れそうになった」と笑う。

実際にCMが流れると、多くのモナコイナーが秋葉原を訪問。CMの写真や動画を撮ってTwitterなどにアップし、「本当に流れた!」と盛り上がった。

田中さんが投じた130万円は、一般の人にとっては大金だが、「僕、お金持ちなんで」と涼しい顔だ。ビットコイン投資などで財を成しており、懐はそれほど痛くないという。「来年はもっと大規模なことをやりたい」と意気込んでいる。

「モナコインは、名前も変だし、ネットではバカにされることもある“おもちゃ”だけど、おもちゃが広がったら面白い。モナコインがいっぱい売買に使われ、送金されてたら笑える。『モナコインっていうのがいま流行ってて〜』なんて女子高生が言って使ったりしたら、面白いじゃないですか」(田中さん)

1枚1000円のコイン、タダで240枚配る人

10月末の秋葉原にはほかにも、「自腹を切るモナコイナー」がいた。10月28日、モナコインをイメージしたキャラクターイラスト入りの金銀のコインを240枚も気前よく配っていたのは、そばちょくさん(61・男性)だ。Ask Monaで配布を告知し、訪れた100人以上のモナコイナーに2枚セットでプレゼントした。

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「本物のコインが欲しくて、自分で作ろうと思った」――これまで3回にわたってコインを作り、無償で配ってきた。製作原価は1枚1000円以上。かけた費用は累計約80万円。今回、想定以上の人数が集まり、用意したコインが足りなくなったが、「追加製作し、欲しい人全員に無償で郵送提供する」と申し出ている。

なぜ、自腹を切ってそこまでするのか。「モナコインで仲間ができて楽しい」ことが1つの理由だ。それ以上に、「モナコインを世界に普及させたい」と本気で夢見ており、普及活動の一環としてコインを配ってきたという。

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この日、そばちょくさんが配ったのは、金銀のモナコイン2枚と、北海道のモナコイナー「もな雀」さんから無償提供を受けたモナコインロゴ入りライターだ。コインに描かれた「モナコインちゃん」のイラストは、モナコイナーの「あるひ」さんから提供を受けた。コインに彫り込んむ文字をどうするかは、Ask Monaでモナコイナー達に相談して決めた

2013年にビットコインを知り「衝撃を受けた」。「通貨は国家が発行するもの」という常識を覆し、運営主体がなく、P2Pで動く新たな通貨に「大きな魅力を感じた」という。

モナコインもビットコイン同様、P2P型の仮想通貨だ。「秋葉原の広告もモナコイン神社も、政府や大企業ではなく、1人1人の個人が参加してうまくいっている。すばらしいと思う。モナコインがビットコインに匹敵するような大きな存在になってほしい」(そばちょくさん)

自前のPCでビットコインやモナコインのマイニングを行ってきた。ビットコインは売ることもあるが、モナコインは値上がりしても売らないつもりだ。「売ったら寂しいじゃないですか」

モナコインの魅力とは

そばちょくさんがコインを配った日、秋葉原UDX前には100人以上のモナコイナーが集まった。「モナコインクッキー」や「モナコインのロゴ入りポーチ」を配る人も。ネット上でモナコインを投げ銭するように、お互いに物を贈り合ったり、感謝を示し合っていた。

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モナコインCMに注目・撮影するモナコイナーたち。20〜30代の男性が多かったが、若い女性や、子連れの姿もちらほらあった(10月28日)

福岡からわざわざ来たという女性(34)は、最近、堀江貴文さんの発言でモナコインを知り、興味を持ったと話す。「ビットコインは知っていたが、日本発の仮想通貨もあると知り、愛着がわきそうだなと。Ask monaのやりとりを見て『モナコインの投げ合いが楽しそう』と感じた」。

「Monappy」「tipmona」開発者のPalonさん(20・男性)が両サービスを開発したのは高校生のころ。「モナコインは当時、生まれたばかりで、利用できるサービスがなかった。新しい技術で新しいことができればと思った」と振り返る。

わきやまPさん(31・男性)は、モナコインコミュニティーを通じて「10代の若い技術者さんや異業種の人など、いろんな人と知り合える」ことが魅力と語る。彼は「モナコイン神社」の地主で、ゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」のキャラ「脇山珠美」の情報を提供してくれた人にモナコインを贈るサービス「脇山珠美価値記録協会」の運営者でもある。

子連れで訪れていたCryptcoin Junkeyさん(47・男性)は、モナコインを使ったトークン発行システム「Monaparty」の開発者だ。「コミュニティーに濃い人がたくさんいて、適度な距離で仲が良い」ことが魅力だ感じている。9歳の息子さんは「モナコインが貯まったら家族で寿司祭りだから、モナコインが好き!」とニコニコだ。

コミュニティーに参加する理由は人それぞれだが、モナコインを愛し、コミュニティーに心地の良さを感じているのは共通項のようだ。

モナコイン経済圏はどれだけ広がるか――。モナコイナー達の“普及活動”は、これからも続きそうだ。

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