人と猫が仲良くできるのは奇跡?動物行動学で明らかになる猫の感覚

人と猫が仲良くできるのは奇跡?動物行動学で明らかになる猫の感覚

  • @DIME
  • 更新日:2018/01/14

■連載/ペットゥモロー通信

「動物行動学」で明らかになる猫の世界

私たち人間が猫たちと仲良くできること、当たり前のように思っていませんか? ノラ猫とは街中でもよく遭遇しますし、ちょっと足をのばせば猫カフェで好きなだけ推し猫とたわむれることができる現代。でも実は、それってすごく奇跡的なことなんです……!

そんなことに改めて気づかせてくれるのが、イギリスの動物学者ジョン・ブラッドショー博士の著書『猫的感覚――動物行動学が教えるネコの心理』(早川書房)。世界でも珍しいイエネコの研究で数多くの論文を発表している著者が、「動物行動学」の観点から人間と猫の歴史をひもといたものです。アメリカでは「ニューヨーク・タイムズ」紙でベストセラーになり、NPRブック・オブ・ザ・イヤーも受賞しています。

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ジョン・ブラッドショー/羽田詩津子訳『猫的感覚――動物行動学が教えるネコの心理』

猫が私たちと暮らしを共にするまでには、悲しい歴史が

犬は、番犬になったり人間の狩りのお供をしたりと、生まれ持った社会性から人間たちの生活をサポートするための資質を磨かれ、さまざまな犬種が生み出されてきました。でも、集団生活よりも単独で行動する性質がある猫は、人間とも主従関係を結びません。せいぜい米を食い荒らすネズミを捕ってくれるくらい。それでも人間は彼らをパートナーとして選びました。しかも純血種の猫たちは、人間の役に立つというよりもその愛らしい「見た目」だけで選ばれてきたところがあるのです。

最近はめったに聞かないと思いますが、子供の頃に「黒猫を見ると不吉なことが起こる」なんて、見聞きしたことがある方もいるのではないでしょうか。実はそんな迷信には、人間と猫との悲しい歴史もあったようです。

猫が人間と一緒に暮らすようになったのはおよそ1万年前からだと言われていますが、日本では鎌倉時代だった1232年、ローマ教皇が大勅書『ラマの声(Vox in Rama)』で「猫、とりわけ黒猫の正体は悪魔だ」と記述。それから300年以上に渡って何百万匹もの猫が虐殺され、猫を飼っていた何十万人もの女性が「魔女」の疑いをかけられたのです。

さらに遡れば紀元前、エジプトではたくさんの猫が「聖なる動物」として生け贄にされたりミイラにされたりして、人間の墓に埋葬されたといいます。神格化して猫を大切にするあまり、猫を殺すと死刑になったり、飼い猫が自然死すると家族全員が眉毛を剃って喪に服す習慣もあったのだとか。神様にされたり悪魔にされたりと、猫たちも大変ですよね。

そして近年、猫たちの生活はさらに激変しているのです。いつしかネズミを狩ることが人間の気分を害するようになり、彼らの「室内飼い」が奨励されるようになったのは、ここ10年20年の話。人間たちと暮らす人懐こい猫たちのほとんどが避妊・去勢手術をされ、人に強い警戒心を抱くノラ猫ほど繁殖を続けている現状から、人間と一緒に暮らす資質を備えた猫たちが減少していくのではないかという懸念も、ジョン・ブラッドショー博士は訴えています。

人見知りする猫、しない猫は生後3週間で決まる?

我が家の愛猫・睦月は、隙あれば甘えてくるくせに、何かと一歩距離をおく天邪鬼です。犬と比べるとその愛情表現は本当にまどろっこしくて「素直じゃないなぁ」と思うのですが、『猫的感覚――動物行動学が教えるネコの心理』は、その謎にも答えてくれました。

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ふと気づくと、遠くからそっとこちらの様子をうかがっている睦月。

現代の私たちは昔から人間と猫は仲が良かったと錯覚しているところがありますが、イエネコの祖先である野生のヤマネコは、街中のノラ猫とも比較にならないほど人と距離をおきます。そんな猫たちが今私たちと生活を共にしているのは、まさに奇跡的なのです。

そして、猫たちは生まれ持った資質だけではなく、人間たちとの暮らしの中で日々学習しているといいます。研究によれば、猫は生後3週間くらいから人とたくさん触れ合っていると、とても人懐こくなるそう。反対に生後9週目(2カ月と1週間)以降に初めて人と触れ合った猫は、その後ずっと人のそばでは落ち着かなくなる可能性があるようです。

白黒ハチワレの睦月は、もともとノラ猫。生後2カ月ほどで団体に保護され、3カ月くらいになって我が家に迎えました。今思えば、生後3週間よりはちょっと時間が経ってから人間の社会に入り、我が家に来たのは9週目より後。人の出入りもそんなに多い家ではありませんから、家人以外に一切顔を見せようとしない人見知り猫に育ったのもうなずけます。

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我が家に迎えた頃の睦月。よく遊ぶやんちゃな子でしたが、警戒心はとても強い猫でした。

猫がおもちゃにすぐ飽きるのには理由があった!

さらに、ジョン・ブラッドショー博士によれば、猫が「ごはんを選り好みするグルメ」だと言われたり、「おもちゃを与えてもすぐに飽きる」とわがまま扱いされたりするのには、動物行動学的な理由があるのだそう。

まず、猫たちは雑食の犬とは違って完全な肉食動物で、犬や人間よりもはるかに多くのタンパク質が必要な体をしています。そのため、自分で狩った獲物ではないキャットフードを食べるときに、たとえそれが栄養バランスの良いものであっても、そればかり食べて栄養に偏りが出るのを防ごうとする本能が働くのです。それでいろいろなものを食べたがる、というわけですね。

しかも猫たちにとって、おもちゃは狩りの疑似体験でもあります。どんなに攻撃しても壊れないおもちゃには興味を失い、バラバラになってこそ執心するところがあるのだとか。となると、壊れないから遊ぶのをやめるか、壊れて食べてしまいそうなのを飼い主がとめるかということになるでしょう。結果、「猫は飽きやすい」とレッテルを貼られてしまうのです。

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壊れてバラバラになってこそ、猫にとっては魅力的なおもちゃというジレンマが……。

まだ歴史が浅い「室内飼い」で猫を幸せにするために

集団で生活する性質がある犬とは違って、野生でひとり生きてきた猫たちには、そのポーカーフェイスも生きる術の一つだったといいます。全身で気持ちを表現する犬とは真逆の猫たち。それゆえに、さまざまな都市伝説も生まれてきました。

『猫的感覚――動物行動学が教えるネコの心理』は、そんな人間と猫が関係を構築していくまでの歴史から、最新の動物行動学で解き明かされてきた猫たちの心理も知ることができる一冊。まだ歴史としても浅い猫の「室内飼い」についての見解も興味深いところです。ジョン・ブラッドショー博士による室内飼いの猫たちを幸せにするための心得を、ここでいくつかご紹介しましょう。

●歩き回れるスペースをできるだけ与える。
●他の猫から見られる窓際を避け、目立たない場所にトイレを置く。
●室内に2種類のベッドを用意する。1つは床に置き、屋根と三方に壁があるもの。もう1つは天井に近くて簡単に登れ、家の入口か窓の外が良く見える場所に。
●日に何度か猫と遊ぶ。羽がついたりして獲物に似たおもちゃを頻繁に変えるのは効果的。
●多頭飼いをするなら、兄弟猫を2匹飼うことを検討する。

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我が家では冷蔵庫の上に簡易ケージを設置。いざというときは避難用にする予定です。

いかがでしたか? 知れば知るほど奥が深い、猫たちの世界。『猫的感覚――動物行動学が教えるネコの心理』にはその他、猫の五感から見た世界と人間が感じている世界との違いなど、興味深い内容が盛りだくさんです。ぜひ一度、彼らの深遠な世界をのぞいてみてください。

次回は、ジョン・ブラッドショー博士が犬の世界をひもといた『犬はあなたをこう見ている』(河出書房新社)もご紹介します。お見逃しなく!

文・中西未紀

構成/ペットゥモロー編集部

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