最後のJR四国松山運転所一般公開屋外展示でも見られた、JR四国の「新幹線への執念」

最後のJR四国松山運転所一般公開屋外展示でも見られた、JR四国の「新幹線への執念」

  • ハーバービジネスオンライン
  • 更新日:2019/11/22

前々回前回に引き続き、今回もJR四国松山運転所一般公開について写真を主体にお伝えします。今回は、屋外展示編です。

◆展示されていた車両

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JR貨物EF65-2087電気機関車2019/10/19撮影 牧田寛

まず目に付いたのは、JR貨物の展示です。直流電気機関車EF65-2087(1977年川崎重工・富士電機製造)にムーンライトのヘッドマークを付けていました。このヘッドマークがかつてのムーンライト松山のものか、貨物列車のものかその正体は全く分かりません。

このEF65は、1965年に配備の始まったもので筆者の小学生時代の鉄道図鑑には、新系列電気機関車と紹介されていましたが、途中改造を経て製造後42年経過しても現役で本州四国を走り回っています。

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JR貨物EF65-2087電気機関車2019/10/19撮影 牧田寛

夜行客車列車の事実上の廃止によって旅客輸送からは撤退しており、JR貨物においても新型電気機関車の配備によって数を減らしています。

松山駅からは、荷役線18:00発、本線20:52発の一本だけで、全列車大阪・吹田貨物駅で積み替えをしますので、貨物駅としては小規模です。対九州、対中国貨物も一旦大阪・吹田に行きますので、到達日数は、大阪と一部の駅は翌日ですが、九州で3〜4日後とコンテナとしては速いとは言えません。一方で北海道の場合は、同じく4日後でトラック輸送に比して大きく見劣りはしません。

次が国鉄キハ32形気動車とJR四国7000系電車です。キハ32は、国鉄分割直前に手切れ金代わりにおいて行かれたものですが、国鉄末期だけに経済設計が徹底しています。

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キハ32-12とJR四国7105 2019/10/19撮影 牧田寛

車体が短く狭いのでどんなに悪い線形の路線にも入れる一方で、軽すぎて勾配のきつい区間では車輪が空転して走れなくなる、トイレがないなど不具合がありますが、ホームのかさ上げ未了駅が多い愛媛県内では、新型の1000系気動車が使えないので松山運転所と高知運転所に集まっています。八幡浜駅・宇和島駅間では、空転で急坂をまともに登れないために運行されていません。

JR四国7000系電車は、二両一組または一両のみで運行できる近郊・通勤兼用電車です。ドア配置、座席配置などJR四国専用仕様の電車ですが、やはりトイレが無いために長距離運転には向かないため、瀬戸大橋線には乗り入れていません。

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洗車体験で一日中洗われていたJR四国7012 2019/10/19撮影 牧田寛

◆ホーム嵩上げ未完成区間故に生き残る国鉄型

次は国鉄キハ54形気動車ですが、これは前々回ご紹介したラッピング列車です。標準色のものは、写真のように少し離れて留置されていました。キハ54形も国鉄末期に手切れ金代わりにおいて行かれたものですが、エンジンが二台あり、単行運転も可能なことから急坂でも走れる汎用性の高さがあります。やはりトイレはありません。

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留置中のキハ32-6とキハ54-9 2019/10/19撮影 牧田寛

これら国鉄時代の一般型気動車は、陳腐化(ちんぷか)が著しく、本来1000形気動車で淘汰されるものなのですが、ホームのかさ上げ未完成区間が多い愛媛県内の非電化区間では、1000形が使えないために国鉄型のキハ32形とキハ54形が高知と松山に集まっています。その中でキハ54形は、八幡浜・宇和島間の急坂をキハ32形が走れないために松山運転所に集められています。

次が特急型のJR四国2000系気動車です。特急宇和海向けで松山・宇和島間で運行されています。かつては、一部岡山まで乗り入れていましたが、2016年に系統分離されました。

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転車台体験中のJR四国2117 2019/10/19撮影 牧田寛

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転車台体験を終えたJR四国2117 2019/10/19撮影 牧田寛

この形式は、気動車特急に革命をもたらしたと言えるもので、JR四国ご自慢の形式なのですが、初就役から30年経過しておりその間に発達した高速道路網との激烈な競争に晒されています。

近く新型のJR四国2700系気動車との置き換えが始まりますが、余った2000系が松山運転所に押し寄せてくるでしょう。

特急型気動車としては、国鉄キハ185系気動車も配置されていますが、奥に引っ込んでいて展示されていませんでした。3階から撮影した写真には奥に小さく写っています。

最後は、JR四国8000系電車です。特急いしづち、しおかぜとして松山・岡山・高松間で運行されています。一部の線形が悪い予讃線での高速走行を可能とした優れた車両です。やはり運用開始から30年近く経過しており改造が行われました。また、架線下DC(気動車)運行であった2000系の置き換えとして8600系が配備されています。

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展示中のJR四国8000系アンパンマン電車2019/10/19撮影 牧田寛

◆様々な体験乗車

鉄道の日協賛イベントの定番の様々な体験乗車は、松山運転所でもやっていました。

まずは転車台体験で、これは各運転所に転車台を配置しているJR四国ならではのものです。2000系、8000系と非対称の先頭車を持つ編成を運用する都合から、JR四国では各運転所、運転区に転車台を維持しています。松山運転所の移転で転車台が今後どうなるかは分かりません。

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転車台体験2019/10/19撮影 牧田寛

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転車台体験2019/10/19撮影 牧田寛

次が軌道自転車の乗車体験です。松山運転所ではなぜか両運転台式の軌道自転車が配置されており、前後に二人職員が搭乗しています。他の会場では、片運転台式ですので松山運転所の両運転台式軌道自転車は、目を引きました。なお自転車ですが、原動機付きです。

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両運転台式軌道自転車の乗車体験と軌陸車の走行演示2019/10/19撮影 牧田寛

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走行演示中の高所作業用軌陸車2019/10/19撮影 牧田寛

なぜか軌道自転車の隣で高所作業用軌陸車の展示が行われており、ゴンドラを上げたり下げたり行ったり来たりしていましたが、軌陸車の軌道上での運用をみることは結構珍しいです。筆者は、線路の上を走行しているのを日本で間近にみるのは初めてでした。

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人力遮断器の構内踏切を通過する軌道自転車と、演示中の軌陸車2019/10/19撮影 牧田寛

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演示中の軌陸車2019/10/19撮影 牧田寛

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洗車体験中の洗車機2019/10/19撮影 牧田寛

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洗車機の手前で一旦停車してスイッチを入れる運転士さん2019/10/19撮影 牧田寛

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洗車後、折り返し点まで到達した2019/10/19撮影 牧田寛

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洗車を終えて後進中2019/10/19撮影 牧田寛

◆松山運転所構内で見かけたいろいろなもの

いろいろなアトラクションも一通り見て回りました。それではここまでにご紹介できなかった構内で見かけたいろいろなものをご紹介します。

まずは、軌道自転車体験の後ろにあったPC(客車)車庫、DL(ディーゼル機関車)車庫です。実際には、2000系気動車二両が入庫していました。両車両とも空気バネの空気が抜かれており、左に傾いてお座りしていました。

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PC・DL車庫2019/10/19撮影 牧田寛

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PC・DL車庫の中にいた2000系気動車2019/10/19撮影 牧田寛

写真にはありませんが、松山運転所の一般公開は、業者の出店が多く他の会場と比べると食事環境がずっと良かったです。移転後も同様だと良いのですが、移転後は客層が大きく変わると思いますので未知数です。

次は、スマイルえきちゃん、れっちゃくんコンビの後ろにあったDC(気動車)・EC(電車)車庫です。こちらも中には入れなかったのですが、近づいて写真を撮りました。中には、キハ32が一両いて、もう片方は空いていました。

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DC・EC車庫 2019/10/19撮影 牧田寛キハ32が入庫中だった

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DC・EC車庫 2019/10/19撮影 牧田寛もう片方は、空きでありピットがよく見えた

◆どうしても新幹線に来て欲しい愛媛県

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どうしても四国新幹線が欲しいのです2019/10/19撮影 牧田寛愛媛県の半被を着た若い職員なので、愛媛県庁の出展と思われる

閉会時間が近づき、出口に向かいますとすでに屋台はすべて片付けをはじめていましたが、なにやら幟が見えます。

“COME ON SHIKOKU!!”

「さぁ、次は四国の番だ。」

「四国の新幹線実現を目指して」

「今こそ考えよう。四国の未来のために。」

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どうしても四国新幹線が欲しいのです2019/10/19撮影 牧田寛涙を誘う幟

高知運転所一般公開では、このような展示を見たことが無く、香川県ではJRが展示していましたが、松山運転所では愛媛県庁のようです。なにしろみきゃん半被を着ていますし、袖に愛媛県のネーム入りです。

いろいろ資料ももらいましたが、さすがは愛媛県、切迫感が高知県と全然違います。どうしても、どうしても、ど〜〜〜〜〜しても新幹線が欲しくて仕方ないのです。なにしろ試算したのは大分市ですが、大分から佐田岬半島三崎、八幡浜、大洲経由で松山市までの東九州・四国新幹線豊予海峡先行開業構想まで報じられたほどです*。

〈*九州と四国つなぐ新幹線は実現可能? 大分市が試算 2018/01/19日本経済新聞

豊予海峡は、八幡浜、三崎と大分県の間に数多くのフェリーが運航されており、人と物の流れは活発なのですが、流石にこの区間の新幹線先行開業は難しいものがあります。

実は、JR5社のなかで新幹線の乗り入れないのはついにJR四国だけとなってしまい、高速道路との競争も厳しくなる一方で今後を考えると現状では、JR北海道の二の舞はほぼ確実であるため、何らかのてこ入れが必要なのは確かです。

この、どうしても新幹線が欲しいJR四国と自治体(とくに愛媛県)については、稿を改めてご紹介します。

四国から自治体がすべて消えてしまうまであと50〜80年程度という最悪予測まである中、流石にキハ32改造新幹線(最高時速95km/h)ではシャレにもならないでしょう。

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去年撮影した現存の四国新幹線2018/11/04 宇和島運転区。撮影 牧田寛

◆閉会時間

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閉会の時間となり片付けが進む 2019/10/19撮影 牧田寛

閉会時間の15時となったので屋台はすべて閉店し、片付けが始まりましたので私も人の流れに乗って出口へと向かいました。

8000系アンパンマン列車の横ではミニSLの解体が数人の職員の手で行われていました。松山運転所のミニSLは、往復運転するだけの直線ですが、その一方でずいぶん長い直線でしかもアンパンマン列車の編成の横を走りますので子供は大喜びです。8000系の足回りの観察にも最適です。

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3人がかりでミニSL軌道の撤去中2019/10/19撮影 牧田寛

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ミニSLの片付け中2019/10/19撮影 牧田寛8000系アンパンマン列車の横を走るのでアンパンマンと足回りを堪能できる

よく見るとこのミニSLは、石炭でなくプロパンガスで走っているようです。実際、石炭の燃える匂いがしませんでした。おそらくプロパンに水を加えて白煙を出していたのでしょう。

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片付け中のミニSL2019/10/19撮影 牧田寛よく見るとプロパンガスを牽いている。ガス管の内側に水滴が付いている

北門に近づくと、正面にキハ32-1が屋根の下に留置されていました。国鉄最後の製造となったキハ32のトップナンバーですので貴重な車両と思いますが、屋根下留置は偶然でしょうか。

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北門近くに留置していたキハ32-1 2019/10/19撮影 牧田寛トップナンバーなので将来確実に博物館行きだからか、屋根の下に留置してある

筆者は、北門をでて車に戻り、前回ご紹介した写真を撮るため松山駅の周りをぐるりと一周して帰路につきました。おわりの頃になるとすっかり日差しも戻り良い天気になっていました。

この松山運転所一般公開、現在地での公開は最後となりました。現在地は、住宅街に隣接しており、松山市街からも楽に来ることができますが、来年以降の移転先からは、田んぼの中に新設の南伊予駅が最寄りとなり、列車か自家用車でのアクセスとなりますので客層はかなり変わると思われます。

来年、大きく変わる会場と展示とお客さんがどうなるのか今から楽しみです。

【訂正とお詫び】

松山運転所の記事第一回目で、徳島運転所は、郊外移転済と記していましたが、徳島運転所は移転計画が大幅遅延しており、いまだに計画が具体化していませんでした。

徳島運転所は、牟岐線の文化の森駅付近へ移転するという話が徳島在住時の90年代半ばにはほぼ決まっていましたので、20年以上を経た今日ではすでに移転済と思い込んでおり、執筆前に確認をしていませんでした。その後徳島県、徳島市、JR四国の思惑の違いから何度も計画が白紙化されてきたとのことです。

お詫びして訂正いたします。

◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」JR四国松山運転所一般公開編3

<取材・文・撮影/牧田寛>

【牧田寛】

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Twitter ID:@BB45_Coloradoまきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

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